戦争は女の顔をしていない 3

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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049141252

作品紹介・あらすじ

500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けた、ノーベル文学賞受賞作家の主著。『狼と香辛料』小梅けいとによるコミカライズ、第3巻が登場。

感想・レビュー・書評

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  •  今、ウクライナで起こっていることは、わずか百年もたたない前に他国によって行われていたことだ。

     百年も平和が持たない世界。男も女も銃を取り、大統領は核ボタンを押すことをためらわないと語る。

     わずか30年前、世界は一つの節目を迎えたソ連邦の解体、ベルリンの壁の崩壊。そして、偉大な研究と言われたEUができた。

     長い歴史の中ではまばたきのような一瞬であることが哀しい。

     ここに描かれている彼女たちはどう思うのだろう。

     『戦争が終わるまで生き延びられたら、戦争の後の人々はどんなに幸せな人だろう!』

     『どんなに素晴らしい生活が始まるんだろう』
     『こんなに辛い思いをした人たちはお互いをいたわりあう』

     『それはもう違う人間になるんだね』

     その言葉は焔の中で今も焼かれている。

  •  ほぼ1年ぶりのコミック第3巻。この第3巻が出版される前に、原作の方は読み終えた。

     独ソ戦を共に戦ったロシア人とウクライナ人が、今は敵同士としてとして戦っている。とくかく戦争はダメです。勝っても負けても、それぞれに傷を残してしまう。とても悲しいことです。

  • 今読むべき漫画に挙げられる『戦争は女の顔をしていない』の制作者たちの想い(小梅けいと,速水螺旋人) | FRaU
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94239

    ノーベル文学賞作家の「戦争は女の顔をしていない」マンガに ソ連女性兵士の戦争、実相をすべて|好書好日(2020.3.16)
    https://book.asahi.com/article/13069876

    「戦争は女の顔をしていない 3」 小梅 けいと[コミックス(その他)] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322108000701/

  • 1~3巻の感想をまとめて。
    戦争の最前線に行っていた女性たちのインタビューをもとに書かれた原作を漫画化したもの。
    ひどい話がたくさん。
    第二次世界大戦時の話なのだが、今も彼の地で繰り広げられている戦いを思うと、昔の話という一言ですませられない。
    ただ、漫画にすることで読みやすくなる一方、自分の考えを掘り下げづらい印象に。
    ぜひ原作を読んで、絵ではなく文章から受け取る自分の考えをまとめたいと思う。

  •  小梅けいとさんがコツコツ続けておられるお仕事が、まさか現実と響きあうようになるとは、さすがの彼女も予想しなかったのではないでしょうか。
     ブログにもあれこれ、覗いてやってくださいね(笑)
      https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202205050000/

  • スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』のコミック化第三巻が出た。

    本書では、過酷なスターリングラードの戦いのエピソードや、戦地に出た後に結婚した女性が、夫の家族から妹たちの婚姻にも悪影響があると言って受け入れられなかったエピソードなどが描かれる。

    「戦争が終わるまで生き延びられたら、戦争の後の人々はどんなに幸せな人たちだろう!どんなにすばらしい生活が始まるんだろう。こんなにつらい思いをした人たちは、お互いをいたわりある、それはもう違う人たちになるんだね」と疑いもなく終りを待ちわびて語りあったエピソードも描かれた。そして、現実はまったくそうではなかった、と。この本の舞台にもなったウクライナでの戦争が続くタイミングで出た第三巻の中にこのエピソードが置かれたのはどこか象徴的である。

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    『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032951
    『戦争は女の顔をしていない 1』(小梅けいと)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4049129825
    『戦争は女の顔をしていない 2』(小梅けいと)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4049135957

  • 3巻刊行直前にロシアがウクライナ侵攻を始めるとは。
    いや、もっと前から進んでいたことが見えるようになっただけなんだろう。

    この3巻、原作の最初と最後を結構近くに配置している。
    選択や並べ方などの意図も知りたいところ。

    本書162pで、戦争が終わったら人はお互いをいたわり合えるようになるんだねと、戦時中語り合ったのに、「ところがどうよ…え? またまた殺し合っている 一番理解できないことよ… いったいこれはどういうことなんだろう? え? あたしたちってのは…」

    忌野清志郎 IMAGINE
    https://www.youtube.com/watch?v=QnKykvIp4Yg

    ジョン・レノンが、生きてたらね、どう思うんだろうね、今の状況を。こう、全然世界は平和になんないじゃないか。戦争がずっと続いてる。21世紀になったのに。21世紀になったら、世界が平和になると思ったのに。ますますひどくなってる。イエー。OKベイベー。中学生の時から、ビートルズとジョン・レノンには、すごい影響を受けました。OKじゃあもう一曲、ジョン・レノンの歌やります。

  • 第3巻。女性たちの口から語られる当時の記憶、そのあまりの惨禍は想像を絶する。
    絵や文章でさえこれほど凄惨なのに、それを現実に目の当たりにし生きるというのはどういうことなんだろう。
    「この戦争に勝利しさえすれば素晴らしい人生が待っている、と信じていた」と話した女性の言葉が、心の底に澱のように留まって、ずっと繰り返し考え続けている。

  • 3巻で印象に残ったエピソードは、第16話タマーラ・ステバノヴナ・ウムニャギナ赤軍伍長(衛生指導員)の話だ。
    戦時下の過酷な環境で、なんとか生き残り、戦後を迎えるものの、戦地から帰ってきた女性軍人には冷たい仕打ちが待っていたことを知る。戦争は、戦地から日常に戻れば終わるようなものではないことを教えてくれる。長期間、全ての人に影響を与え続ける負の力がある。
    現実の世界では、ロシアがウクライナへ軍事侵攻を始めて50日くらい経過している。なんとも複雑な心境になる。
    我々は、歴史を学ぶことで、過去の事例を紐解き、未来に向けて歩んでいけるのだ。こんな現実だからこそ、学び続けることって大事なのだと思う。

  • メモ:苦難の意義付け『故郷は何故兵士を殺したか』に関する関心から、1巻から定期購入中。
    本書28ページで「~そういう人達は新聞や本で読んだ言葉ではなく自分の中から言葉を取り出す」「自分で体験した苦しみから出てくる言葉だ」「不思議なことに教養のある人ほどその感情や言葉遣いは時代の常識の影響を受けている」にどうしても目が吸い寄せられる。
    現在のウクライナ情勢だけでなく、日本が経験した戦争というものに思いが及ぶ日本人はどれだけいるのだろうか。
    残された人々だけでなく、それを知り得る立場にある我々が語り継ぐべき歴史とは何か?を考えさせる書籍である。

    この漫画を書いているのであれば某月刊誌等はしばらく良いので、是非とも最後まで描ききって頂きたい。

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小梅けいとの作品

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