時かけラジオ ~鎌倉なみおとFMの奇跡~ (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA (2023年3月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784049144123
作品紹介・あらすじ
ローカルラジオ放送局「鎌倉なみおとFM」の最終番組は22時で終了する。しかし、なぜか時々、23時から番組が流れる夜があり、それは1985年を生きるDJによるもので……。
親友の婚約を素直に祝うことができない女性・三回転半ジャンプさん、母親の再婚相手と距離を置いてしまう小学生・ラジコンカー君……悩めるリスナーが、時を駆ける真夜中のラジオと繋がる時、優しい波音がきこえてくる――。
聴き終えた後、心の声に耳を傾けたくなる不思議なラジオ。
『東京すみっこごはん』『今日は心のおそうじ日和』の著者・成田名璃子、新境地!
感想・レビュー・書評
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『 勝手に「ラジオ」特集 #1 』
ー成田名璃子さん『時かけラジオ』ー
浅葉なつさんの『どうかこの声が、あなたに届きますように』が、この勝手な特集開始の発端です。ラジオが鍵になる他作品はあるのかな? と素朴に思いました。鮮やかに過去を思い出し、ラジオのよさを再認識するような作品‥。
勝手ながら、この発端作品を<特集#0>にしちゃいます。ただ、Podcastを扱った青山美智子さんの『月の立つ林で』もとてもよかったのですが、リアルタイム性を鑑み、ラジオと棲み分けしようと考えました。
さて本作は、「しゃべり」に悩む「鎌倉なみおとFM」 のDJトッシーが、缶チューハイ片手に、時間外のでっち上げ番組で、(届くはずのない)リスナーのエピソードを募集すると、時を超えて2020年代の4人の悩めるリスナーに届く‥、という連作短編集になっています。
ただ伝える一方向だけの形ではなく、リスナーと電話で話す双方向のやりとりがあるからこそ、人は変わるヒント・きっかけが得られるのでしょう。
時の隔たりは、文化や流行のギャップを生みますが、人の心の中の根っ子(喜怒哀楽)については、普遍的なんだなと思わされます。
昭和の時代を、楽しくも懐かしく思い出させてくれ、かつ、「聴くこと」「伝えること」の大切さを教えてくれる一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『時かけラジオ』
穏やかさ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
鎌倉に行ってみたくなる⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
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「子供電話相談室」
当時、ラジオ聴いていたことを自然に思い出すのでした。
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1.購読動機
ブクログの読者レビューです。ブクログがなければ、出会いがなかった作家さん、物語です。
レビュー内容が、ほっとする、ほろりとするという穏やかな内容でした。
わたしは、ハラハラ、そしてドロドロな物語(映画も)は得意ではありませんので、、、。
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2.主人公
舞台は鎌倉です。海沿いにある地元のラジオDJが主人公です。20代の彼は、流行を案内するではなく、生み出すDJになりたいという志を持っています。
彼の性格は穏やかです。そして、海沿いで広がる物語も、同じく穏やかです。
ほっとしたいときにピッタリの小説です。
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3.はじまり
年代は、バブルはじける前の1985年。
そう、ラジオ全盛の時代です。
DJの彼は、都内で活躍する同年代のDJの仕事ぶりを目にします。
その姿は、まさに彼が憧れるDJのあり方そのものでした。
鎌倉に戻り、意気消沈した彼。ひとりラジオブースにただずみ、独り言をマイクに向けて語り始めます。
もちろん、電源はオフ。
届くことのないラジオの電波。
しかし、視聴者が存在したのです。
そして、その視聴者は、未来、2020年代に生きる人々でした。
1985と2020という二つの時代。
ラジオが時を超えて、人と人を紡ぎます。
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4.読みどころ
DJの彼は、時を超えていくつかの出会いをします。
①幼ななじみの異性の友人、そして同性の友人の結婚スピーチに悩む女性。
②両親が離婚し、新しい父親に馴染めない男児。
③定年まで務め、いよいよ妻とゆっくり過ごそう思う男性。しかし、引き出しから離婚届けが、、、
④女性。この四人目の登場が、時を、物語の展開を加速させます。
いずれの出会いに対しても、DJの彼は、聴き相手になります。
視聴者は、ラジオをきっかけに踏み出せることになります。
そんなやりとりに特別なことはありません。
だからでしょうか?
ほっとする気持ちが最後のページまで続きます。
もし、鎌倉にいくのなら、鎌倉でもう一度開いてたくなる物語でした。
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成田名璃子さんの本は7冊目。
フォローさせていただいている方々の評価が高くて
読んでみたいと思っていた一冊。
1985年のDJトッシーが
令和を生きる”ひとり”のためにおくる深夜ラジオ放送。
まるで優しい波音を聴きながら読んでいるような本だった。
とっても懐かしくて、そしてあたたかな気持ちになれた。
昭和の深夜ラジオってよかったなぁ…
あの頃はみんなラジオを聞いていた。
翌日、学校で話題になるのはテレビよりもラジオだった。
私もセッセとハガキを書いていた。
読んでもらえるように色々工夫してね。
そのハガキが読まれたた時には
深夜にもかかわらず叫んだり、踊ったり、走り回ったり(笑)
そうそう、高校生の時。
友人が「通学沿線 気になるあの子」に「あの子」の方で出演した。
通学途中に見かけた、名前も知らないあの子を探し出して
番組中に電話して「友だちになって下さい」という
「ヤンタン(ヤングタウン)」のあのコーナー。
あぁ~、懐かしい! -
1985年と未来を繋ぐラジオ番組「ラジオがはねたら」のDJトッシーと4人の未来のリスナーを結ぶじんわりと心温めてくれるストーリー。
各章の主人公皆の、そしてトッシーの心の叫びが聴こえてくるよう。
何より第4章の「今、この時。」はかなり気持ち持っていかれた。
俊夫とビギが互いを心の拠り所とし、見守り支え合う関係性がとても美しい。
人の強さと儚さを感じる。
このお話には鎌倉がとても良く似合う!
元々鎌倉を舞台にした物語を書いてみせんか?と担当さんからの一言で生まれたお話(「あとがき」より)だから当たり前なんだけど、舞台が鎌倉だっからこんな素敵な世界観を味わう事が出来た気がする。 -
時を超え、人をつなぐ奇跡のラジオ
未来の人、誰か聴いてませんか。お電話を待ってまあす。ローカルラジオ局「鎌倉なみおとFM」の最終番組は22時で終了する。だけどなぜか時々、23時から番組が流れる夜があり、それは1985年を生きるDJトッシーによるもので…。親友の婚約を素直に祝うことができない「三回転半ジャンプさん」、母親の再婚相手と距離を置いてしまう小学生「ラジコンカー君」…真夜中のラジオが昭和と令和をつなぐ時、悩める4人のリスナーと、そしてきっとあなたに、優しい波音が聞こえてくる。 -
不思議なラジオ番組、「ラジオがはねたら」。過去からの放送は、未来の孤独な心の人々に寄り添ってくれる…。 とても素敵なストーリーでした。 「ラジオがはねたら」DJトッシーのあたたかい言葉は時代を超えて尚、未来の人達を前向きにさせてくれて…。言葉に嘘がないんですよね。真っ直ぐだから胸を打つ。 受け取る側も真っ直ぐな心だから、素直に受け止められる力がある。 懐かしいあたたかさに包まれる一冊です。
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なかなかよかった。
最初の話が一番好きかも。
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過去に生きるDJが現代に生きる人々とラジオを通じて心を通わせるお話です。
この著者の作品は読み終わった後にすっきりするというより胸にぼんやりと残るようなものがあると個人的には感じるのですが、本作も一章と二章は似たような印象を受けました。
しかし三章以降は読んでいてすっきりする展開になっており、過去作と比べて読みやすい作品になっているのではないかと思います。
章が進むごとに時間が一年遡るのが疑問でしたが、ラストでその意味が分かる部分があって腑に落ちました。