あした、裸足でこい。 (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 127
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049144956

作品紹介・あらすじ

【『三角の距離は限りないゼロ』タッグが贈る、青春×タイムリープストーリー!】

「一緒にいてよ、今度は」

 卒業式、俺は冴えない高校生活を思い返していた。成績は微妙、夢は諦め、恋人とは自然消滅。しかも彼女は今や国民的ミュージシャン。すっかり別世界の住人になってしまっていた。

 だがその日。
 その元カノ・二斗千華(にとちか)が失踪した。

 呆然とする俺は……気づけば入学式の日、過去の世界にタイムリープしていた。
 この世界でなら、二斗を助けられる?

 ……いや、それだけじゃ駄目なんだ。
 今度こそ対等な関係になれるように。彼女と並んでいられるように。
 俺自身の三年間すら全力で書き換える!

 卒業(おわり)から始まる、青春やり直しラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • タイムリープして元カノを救うべく奮闘する青春物語。
    ひたむきに頑張る主人公・坂本巡と、可愛くも若干不思議な雰囲気を纏うヒロイン・二斗千華を中心とした、熱さと甘酸っぱさを兼ね揃えた、非常に面白い作品でした。
    主人公が様々なトラブルを、周りに助けを求めつつも何とか解決してゆく様はとても好感触で、読んでいて応援したくなることこの上なしでした。
    まだまだ謎も多いですが、既に2巻の発売も決定しているとのことで、これからの展開に期待しています。

  • キャラクターの導入、瑞々しい時間と物語の核心との結節、それから大切なものを得る代わりに他の何かが喪われる予感が、とにかく抜群に巧い。
    千代田先生とminaseさんが見守るこの物語の中で、「Q太さん」の恋に引導を渡したサキさんがどのような役割を担えるのか、楽しみです。

  • ヒロインを救うために主人公が高校三年間をやり直そうとする、流行りの青春タイムリープもの。
    無気力だった主人公が2度目は後悔しないように頑張るところは王道だよなあ。
    いくつもの困難を努力とアイデアで乗り越えていく様はまあ読ませる。
    ただ、高校3年間をやり直す中でこの巻では最初の一ヶ月だけしか描かれてないので、なかなか先は遠いなあと思ってしまった。
    また、直近に同じタイムリープものでも12時間だけ戻れる設定のお話を読んだので、それに比べて切迫感とか焦燥感があまりなくてちょっとぬるく感じてしまった。

    途中ヒロインのある言葉で彼女も時を繰り返しているのでは?と感じたのだけど、さて、どうなんだろうか?

  • ”三角”から数年後の荻窪が舞台。タイムリープによって過去をやり直そうとする作品ですが、一ひねり二たひねりしてあって、名作揃いの主題でもまだまだ新機軸があるのだなと、岬氏の想像力&創造力には脱帽するばかりです。失踪してしまったヒロイン二斗を助けるだけじゃなく、彼女に相応しい自分になりたいと奔走する主人公の巡の頑張りに強く胸が打たれ、ラストシーンの二斗の言動にはとても驚かされました。続きが大いに気になるエピローグですね。この先、彼らは無事に幸せな未来を掴むことができるのか。今後の展開がとても楽しみです。

  • タイムリープ系
    シュタゲやリゼロのように何度もやり直して伏線を回収するというよりはリライフのようなヒューマンドラマに焦点を当てているように感じる。

  • 青春やり直しモノなんだろうけど、やり直したいと思ったタイミングが高校卒業時とは随分と早いタイミングのような…
    まあ、卒業式そのものではなく元恋人である二斗失踪がトリガーなのだから仕方ないけど

    本作の特徴を上げるなら、時間移動が任意に行えるという点だろうか
    そのお陰で過去改変によって生じた現代への影響をすぐに確認できるというのは随分と便利かも


    高校生活をやり直そうと主人公の巡が考える時期は早いものだけど、そもそもやり直さなければならない時間軸は高校生活の初めに在る。むしろ彼にとって、高校卒業時になってようやく、もっと前に二斗を理解して彼女の助けになるべきだったと考えた点は遅いと言える
    二斗失踪に拠る絶望的な心境、それを味わったからこそ彼は二斗を救う為に再度の高校生活を本気でやり直すわけだ

    当面の目標としては天文同好会の継続。二斗救出だけが目的であれば独り善がりで空虚なものになったかもしれない
    でも、ここで巡自身が最初の高校生活では目指せなかった天文学者の夢を提示できたのは良い展開。このやり直しは二斗の為でも在って、同時に巡自身の為でも在る
    だから巡は天文同好会継続に二重の意味で本気に成れるわけだ

    一度目の学校生活は怠惰に過ごしてしまった。その果てに自分は何も得ず、二斗は居なくなった。そんな未来を本気で回避しようと思い行動している巡は控えめに言っても格好いい
    特に2日で活動実績を作らなければならないという無理ゲーを前にした場面は印象的。二斗達は諦めたのに、それを受け容れない彼の姿は場合によっては我が儘を言い続けているように見えるかも知れない
    けど、真琴の力を借りた形であっても彼は事態打開の鍵を見出した。彼がそうやって真剣に困難を切り開く遣り方を見つけ出してきたのだから、他のメンバーも巡に釣られて動き出す
    巡が作り出した動きが前の時間軸なら廃部となっていた同好会に熱い血潮を流し込んでいるわけだ

    だから二斗の身に起きたトラブルに拠って動画制作が出来ないかも知れないなんて局面に陥っても彼はその程度じゃ絶望しない
    「『大変』で済む程度なら、楽勝だろ」なんてなかなか言える台詞じゃない

    まだ二斗の失踪回避は実現できてないけど、同好会は存続した。巡の努力を労うかのように二斗から驚きの告白が2つもあったね。彼女からの交際宣言、そして……
    彼女が告げたあの言葉はどのような意味であり、それは巡の遣り直しにどう影響してくるのだろうね?


    本作は主題からして、どうしても巡と二斗が主役に成り過ぎてしまうのだけど、それでも二人の周りを固める人物達も充分に魅力的だね
    二斗に焦がれ二斗の一番になりたいと思いつつ、依存から卒業し新たな関係を模索する五十嵐。改変前の世界では二斗と何やら因縁が有ったようだけど、今は気の良い先輩として協力してくれる六曜

    また、巡のやり直しに協力しつつ何か含む所がありそうな真琴もこれからどのような掘り下げが為されるのか気になるね

  • 【君の隣に相応しく並び立てる様に、過去を全力で書き換えよう】

    道を違えた少女と少年が、過去に戻る事で、今を全力で書き換える物語。

    過去は不可逆だからこそ、振り返った時に良かったと思える様に今を精一杯に足掻くしかない。
    しかし、その理が大前提から覆されたらどうだろうか?
    付き始めて間もない頃は、対等な関係を築けていた巡と千華だったが、時が経つにつれ、巡は天文学者になる夢を諦め、千華はミュージシャンになる夢を叶えた。
    後悔に苛まれた巡が手にした過去に戻る力。

    この力を存分に活かすべく、全力で足掻く青春の躍動があったのだ。

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著者プロフィール

第19回電撃小説大賞〈電撃文庫MAGAZINE賞〉受賞。同受賞作『失恋探偵ももせ』でデビュー。以降、電撃文庫・メディアワークス文庫で青春小説を中心に執筆。

「2023年 『あした、裸足でこい。3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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