百人一首 (講談社文庫 お 13-1)

著者 :
  • 講談社
3.60
  • (0)
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 10
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061316522

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  百人一首でかるたとりをしたことがあるという人は沢山いるでしょう。けれども、それぞれの歌がどういう意味なのかは意外と知らないのではないでしょうか。古い言葉ですし、耳で聞いただけではわかりづらいものです。でも、和歌というは本来とても面白いものです。
    <br>
     例えば、
    <br>
    「君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ」
    <br>
    という歌があります。君のために春の野で菜の花を摘んでいる私の衣の袖に雪が降り積もっているという素直で何気ない歌ですが、春のうららかな日に、一面に咲いた菜の花の黄色と緑、そこにはらはらと舞い散る雪の白さ、綺麗な情景が目の前に浮かんできます。
    <br>
     もう一つ面白い歌を
    <br>
    「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしというふらむ」
    <br>
    これは「あらし」が肝です。一吹きすれば草木は萎れてしまう、なるほど山風は荒いというのはもっともだなあという意味ですが、「あらし」には「嵐」という意味も掛けてあります。つまり後半の部分に、なるほど山風を嵐と呼ぶのももっともだなあという意味も含ませているのです。さらにさらに、小粋な仕掛けがしてあります。ここでは横書きになっているので分かりにくいですが、縦に書いてみてください。そうです、意味だけでなく、見た目にも山風=嵐なのです。こういう言葉遊びが随所に見られるのもまた和歌の楽しみの一つです。
    <br>
     ここでは2首だけを取り上げましたが、この本では、このように一つ一つの歌に簡単で分かりやすい解説があり、その魅力を十分に味わうことが出来ます。和歌が大好きになること請け合いです。是非一読をお勧めします。

  • 小学生の時に、一生懸命覚えた、百人一首。
    意味を詳しく知りたいと思って購入。
    うたと、意味しか読んでません・・・(汗)

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

昭和6年、静岡県三島市生まれ。詩人。東京芸術大学名誉教授。日本芸術院会員。昭和28年、東京大学国文学科卒業。『読売新聞』外報部記者を経て昭和45年、明治大学教授、63年東京芸大教授。平成2年、芸術選奨文部大臣賞受賞。平成7年恩賜賞・日本芸術院賞、8年、1996年度朝日賞受賞。平成 9年文化功労者。平成15年、文化勲章受章。著書に『大岡信詩集』(平16 岩波書店)、『折々のうた』(昭55〜平4 岩波書店)など多数。

「2012年 『久保田淳座談集 空ゆく雲 王朝から中世へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大岡信の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×