- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061473959
感想・レビュー・書評
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久しぶりのクレヨン王国。春はやはり児童文学が読みたくなる季節。新しい花札制定のため、毎月候補となった植物のモデル地を探す旅を始めたシルバー王妃。案内役にアラエッサとストンストンを引き連れ、道中死に神の影を感じながら名所を巡る。月のたまごシリーズ未読なので、彼らの魅力を存分に感じ取れなかったのが残念。冒頭の花札制定閣議が面白い。黄色はいろんな花があるからとたかを括り、最後まで残ってしまう黄色大臣好き。4月のみたらし団子が大好きな犬のゆうれいも可愛い。シルバー王妃の予想が正解だったのが意外。
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久しぶりに緊迫感があっておもしろかった。ストンストンとアラエッサ出てきたし。役立たずだったけど。
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これもぼんやりとしか覚えてなかったなあ。
p95 二月の景色を語ったあたり
「 ヨモギが灰みどりのこけのように新芽をふくなかに、オオイヌノフグリがるり色の花を点々とこぼしています。」
今、ちょうど春を迎えて、木々の新芽を見るだけではしゃぎたくなるほどなので、この一文がすごく応えた。あのやわらかな緑、緑になりきっていない、銀がかった薄い緑、茶、春の芽吹きは美しい。
p130 かげろうさんが、身体の中に入ってくるあたり。
「それから、シルバー王妃は、かげろうさんが鼻や耳の穴からそよそよとしのびこんできたのを感じました。とてもひっそりとやさしく、しずかに、体じゅうの血管の中まで入りこみました。まだ、目のひらかない赤ちゃんが、お母さんにだかれているように、王妃はしあわせな感じにくるまれました。光とかおりとが、最高のやすらぎの停止したすがたになってそこにありました。ちょうど神さまに見まもられているときのように。」
なんと気持ちよさそうなんだ……
健康優良児、子豚……だったストンストンが、食欲だけで生きていいのかと疑問に感じているのへ、アラエッサがぽつんと、
「おまえも、およめさんをもらって、家族をつくらなくっちゃいけないときが来たんだな。」
と呟いたときの寂しさ。
そうだった、ストンストンはパッパカちゃんといずれ結婚するけれど、私の中で、まだまだずっと、通行料の歌を歌った子豚ちゃんだったんだ。アラエッサも年をとったんだ……
この話から、王妃とアラエッサとストンストンは仲よくなるのかなあと思っていた。マーチャンから、マーガレットに戻るときの王妃の覚悟、そのつらさ。
ユカと一緒に、悪い癖12の退治に出かけた王妃と同一人物とは思えない。さすがクレヨン王国の王妃、という姿だった。
福永さんのあとがきが、とてもよく……どうしてお手紙を書いて感謝を伝えなかったろうと、また泣ける……しあわせにクレヨン王国でお過ごしになられていることでしょう……
「……略……
こんどは、人間対他の生物という関係において、強者である人間が、弱者である他生物をほろぼしていくという図式がさけられないのです。そうして、他生物をほろぼしながら人間自身も、滅亡していくのです。どうしたら良いのでしょう。
……略……
かつて、人間が自然の法則に反して、病める弱い同胞に愛をそそぎ、仲間をふやしたように、他生物をも人間として見つめ、おなじ仲間の中での弱者として、彼らに愛を注いでみたら、どうでしょうか。「汝の隣人を愛せよ。」の隣人の中に、鳥も虫もけものも加えてやりましょう。耳の形がへんてこでも、手足の数がちがっていても、ことばが通じなくても、仲間とみとめましょう。
それを拒否して、人間と他生物を従来どおりに区別すれば、どこまでも人間は強者として弱者の彼らをころしつづけるという自然の体系に組みこまれます。
もはや、ひとりの姓名は地球全体より重いなどと、かるがるしくいうべきときではありません。犬や鳥と人間をいっしょにする気か、と、すぐに青すじをたてておこるべきでもありません。せまいヒューマニズムや、そういう人間至上主義は、地球主義に切りかえねばならないところへきているのです。
――動物のために、人間の方が、ぎせいをはらう場合があったっていい。ゆずれるかぎり、ゆずってやれ、あれらは弱いんだから。――
と思うことです。彼らにくらべれば、人間はうんと物持ちで、長生きもできるんだから、と思うことです。そう思って楽しくなれる気持ちです。
それしか、人間が文明を保持したまま地球で栄えつづける方法はありません。そういう心が育つようにとねがって、わたくしは、クレヨン王国を書きつづけているのです。」
私は、こんなに、いきものにやさしくなれない。
困っていたら、きっと動物より人間を大事にする。そこまでいきものと心を通わせたことがないから、そうしてしまう。
でも、それじゃあ強者の傲慢で終わってしまうんだね。強者のおごりでもなんでんも、ゆずるということを、そういう心を育てようとしていかないと、ただの傲慢で、自分をほろぼしていくんだね。 -
購入日:1997/??/??
読了日:1997/??/??
最終読了日:2009/06/05
これもある目的の為に久し振りに読んでみたよ。
クレヨン王国シリーズはほぼ無条件で★★★★★を付けたくなってしまうよね。
実際読むと心が洗われる感じがするよ。
最近、僕に足りないものはこれだったんだなぁ、としみじみと思うよ。
この物語ではシルバー王妃の三度目の旅となる。
旅のパートナーは月のたまご救出隊のアラエッサとストンストン。
シルバー王妃はそっくりさんとして、マーチャンという名前で旅をする。
その旅の目的は新しい花札の図柄になる四季の植物を実際に見てくるというもの。
途中から死神も出てきて、怪しい雲行きに。
旅の道中が面白かったのは勿論のこと、僕は冒頭の十六色のクレヨンたちによる閣議のやりとりが一番面白かったよ。
十六色のクレヨンが余すところ無く十二ヶ月の植物を代表する。
文中にも多くの植物の名前が出ているけれど、植物についてよく知らなきゃ出来ないことだよ。
各月を満遍なく同じくらいの量の文章で表すのではなく、五月と八月を省略したり、月によっては二章分使っていたのは、少し残念だったかもね。 -
0803
あとがきが好きです。
季節の移り変わりって素晴らしい。 -
王妃が遠くなったり近くなったりして、寂しかったり嬉しかったりした。
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シルバー王妃が大活躍。シルバー王妃すごい立派になったものです。
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書店で講談社から新装版が出たのを発見してから、大好きだったこのシリーズを読み直しました☆