- Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061489721
感想・レビュー・書評
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劉邦は漫画(元宮ひろ志)、小説(司馬遼太郎)、史記(司馬遷)と、馴染みが深かったので再確認、という感じでしたが、時代的に疎かった朱元璋(元を倒して明を立てた)、中国で大人気ながら初耳だった李自成、教科書レベルの知識だった洪秀全、同じく知識の少なかった毛沢東など、とても参考になりました。
高島さんは文章がざっくばらんで面白いです。随所に挟んでくる感想が、いちいち笑いを呼びます。とても親しみやすい感じ。巷間の研究者にして関西出身というのがその一因、と勝手に思っています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国史を盗賊の立場から解説した一冊。
漢の高祖劉邦や明の大祖朱元璋など、乱を契機として成り上がっていった盗賊たち。
また、歴史に名を残すような大乱を起こしながら、滅び去っていった、李自成や洪秀全などの盗賊たち。
これらの物語を、彼らが登場した社会的背景や、盗賊軍団の組織づくり、乱の顛末まで丁寧に描く。
冒頭において、中国史の二大勢力は紳士と流氓と言い切る本書。
中国社会が太古から内包していた、貧しさと不公平。この社会の自浄作用が盗賊の登場なのかもしれない。
数十年・数百年ごとに起こる盗賊の登場。
義賊伝説となったその物語は、貧しい民衆の希望となり、救世の願いとして次の義賊を生み出す。
巻末では、中国共産党の登場から中国統一を、婉曲
的に盗賊のケースになぞらえて語っている。
民族・宗教・コミュニティなど、様々な異分子たちがひしめく中国社会。摩擦しながら新しい時代の胎動を生み出す生命力の源泉が、この盗賊たちにあるのかもしれない。
近くて遠い国、それが中国なのだと再認識。