日本の遊園地 (講談社現代新書 1520)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061495203

作品紹介・あらすじ

「メリーゴーラウンド」や「飛行塔」の起源は?人々に愛され続けてきた「遊園地」は、時代とともにどう変容したのか。東の浅草「花やしき」から、西の「宝塚」「甲子園」まで。懐しいヴィジュアル資料満載。

感想・レビュー・書評

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  • 鉱山館のビジュアル、何度見てもマジで現実とは思えない…あらゆる意味で…

  • 遊園地から社会や都市を見る。とくに社会学的視点が強かった。
    外観なので一つの遊園地にスポットを当てた形での紹介はそこまでなかった。

    郊外であることの意味の考察が面白かった。

    ジョークが一々面白いので筆者はたぶんおもしろい人に思える。

  • 日本の都市史を遊園地という施設から眺めるとどんなふうに見えるんだろう、ということに興味があって読み始めたんだけど、途中から飽きてしまってなかなか進まなかったこともあって、読もうと思った時の気分からはかなり冷めてしまっていた。
    それはそうなんだけど、テーマはおもしろいと思った。重要な視点だと思う。

    <内容>
    遊園地は、近世都市における庭園や遊山地の伝統に、「公園」という都市施設の要素が加わり、さらには遊戯機械の導入を受けて確立された。庭を遊戯化し、そして大衆化することで、近代的な遊園地が誕生したというシナリオは、洋の東西を問わず等しい軌跡を示している。
    そこから遊戯機械の発展などによって、人々の非日常的な遊びの場となった。
    しかし、「遊び」を主とするライフスタイルを志向する若者の増加によって、非日常の場であった遊園地が、もうひとつの「日常」になった。そして、遊園地でしか用いられなかったような演出やデザインが、普段の生活空間に応用されてきた。さらに、遊園地で培われた事業の方法論が様々なほかの業種に影響を及ぼし始めた。ペットパークや住宅展示場、スーパーマーケットなどである。極論を言うならば、物販店やショールームを問わず、産業社会の産み落としたあらゆる商業空間が、「物語」を獲得することでテーマパーク化することが可能なのだ。公的な施設も例外ではなく、大阪の「海遊館」のように、従来、社会教育の場と位置づけられてきた水族館も、作り方によっては一種のテーマパークとなることが証明された。

    ここにおいて私達は、都市と遊園地の境目があいまいとなりつつある現実を確認するべきだろう。いよいよ「偽者の街」と「本物の街」の区別が明瞭ではなくなりつつあるのだ。
    情報化と消費社会の進展は、田舎を「都市化」した。
    これからも、やはり人は「都市」に集中することだろう。工業化の時代には、学習のため、そして仕事と評価される機会を求めて、人は村を捨てて「都市」を目指した。今後は違う目的で、例えば文化的な喜びやエンターテイメントを欲して、人は「都市」に集うのではないか。二十世紀を「都市化の時代」と呼ぶならば、二十一世紀は「都市の時代」となるはずだ。

    遊園地の研究として考えられるアプローチ方法

    1、いかなる「遊び場」の伝統の上に今日の遊園地があるのか、その端緒にさかのぼりつつ、その意味を比較する歴史研究の立場。
    2、今日における同時代の文化、とりわけアメリカ文化の影響のもと、遊園地が地域や民族文化をときに破壊し、ときに守っているという事実への評価。→国境や民族の境を越えて、いかに各地で参照され受容されているかを眺めることで、「楽しみ方」に関わる同時代の普遍性をはかることができる。
    3、遊園地がある種の価値観やライフスタイルを伝えるメディアとして機能している点を見据える視点。

  • 遊園地学。やっぱり公園とのからみで公共性と結びつくのかー。

  • 橋爪先生の本は,いずれも興味深く,野心的に読ませて頂いています.こういう視点で都市を眺めることができると,ほんと何かできそうな気がする.

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著者プロフィール

大阪府立大学研究推進機構特別教授・大阪府立大学観光産業戦略研究所長

「2020年 『まちライブ06』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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