- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061496330
作品紹介・あらすじ
不良少年から天才人形作家へ。六〇年代の新宿を駆け抜け、唐十郎、渋沢龍彦らと出会った激動の半生と創作の舞台裏を告白。
感想・レビュー・書評
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お友達からのお勧め本。人形作家である四谷シモンが綴った自伝的エッセイ。彼を取り巻くメンバーが凄い。唐十郎、金子國義、澁澤龍彦、寺山修司、檀一雄、横尾忠則、瀧口修造、種村季弘など錚々たる面子。幼少期は決して恵まれた環境ではなかったけれど(寧ろそれだからか)人形制作にのめり込んでいったらしい。演劇をやっていたのは本書で初めて知って少し驚きました。唐十郎率いる劇団と寺山修司が率いる劇団同士が些細な誤解から大乱闘に発展したエピソードが好きです。
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四谷シモンと言うと寺山修司のアングラ演劇のイメージしかなかったが人形作家としての顔の方が有名だったらしい。金子国義の絵が好きな方とかがすきそう。60年代70年代の空気感に満ちた一冊。
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[ 内容 ]
不良少年から天才人形作家へ。
六〇年代の新宿を駆け抜け、唐十郎、渋沢龍彦らと出会った激動の半生と創作の舞台裏を告白。
[ 目次 ]
1章 人生が始まっちゃった
2章 問題児の青春
3章 新宿に漕ぎ出す
4章 女形・四谷シモン誕生
5章 ただごとじゃつまらない
6章 人形作家としてデビュー
7章 人形観を模索する日々
8章 答えはない
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
青白い肌と遠くを見つめているようなガラス玉の瞳を持った、リアルで美しい人形を作り続けている四谷シモンの自伝である。日本を代表する人形作家であり、俳優でもある彼の、生い立ちから創作の秘密までが、みずからの筆で語られる。これまでの作品の写真が豊富に掲載され、後半では制作現場の様子も紹介。人形作りの実践にも参考になる1冊だ。
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人形作家四谷シモンの自伝。
幸福とは言えない生い立ちから、日本がとても熱かった1970年代の状況劇場での女形時代、余りにも有名な大岡山の書店でのハンス・ベルメールと澁澤龍彦との出逢い、人形作家として個展を開くまで、現在の氏の人形観といった事が書かれてある興味深い一冊だった。
初期の四谷シモンの人形はモリニエの影響がするなと思っていたのだが、やはりモリニエの影響と書いていた。この頃の四谷シモンの人形は不必要なくらい過剰な「女性」を感じさせるモノで個人的にはあまり好きではないのだけれど、それは状況劇場での女形役者をしていたころの氏のイメージを投影させて創られたのだということを知った。
また、人肌の質感を出すために「紙」を使っているということをこの本を読んで初めて知った。
何より驚いたのは第1回目の個展の際、等身大の人形を12体創ったそうだが、1体を15日で創り上げたということだ。凄い。
他にも、何故氏の人形は常に靴を履いているのかという理由も述べられている。理由全てがとても納得出来、氏の考えにとても共感した。
最も共感した文章は「僕にとっていい人形とは、このお人形さん、まるで生きているみたいといわれるような人形ではなく、息がとまって死んでいるに人間に近い、凍てついた人体表現です。そして人形は動かずにずっと佇んでいるのがいいと思っています。」
嗚呼、ワタシもこういう人形を目指す。
人形は作者本人に似るとよく言われるが、これについて触れている文章もある。
「人形は具体的なものですから、表現に個が出やすいということはあります。料理や花の生け方などにもその人の個性は出ますが、いかんせん人形はヒトガタですから、明快に個性が露出するのです。人形には作者本人に似るなにかがどうしても出てしまうものなのです。そんなことを考えているうちに、逃れきれない自己愛、ナルシシズムが誰にでもあるならば、あえてそれをテーマにして意図的に作品化しようと思い立ちました。人形は自分自身であり、分離しているようでしていないという作為的、幻想的な考え方をするようになったのです。」
そうなのか、自分を出す=個性というのは自己愛だったのか、と実は愕然とした。そしてそれは逃れられないのか、と。自己愛についてはかなりワタシは否定的、というか自分が嫌いなので「自己愛なんて」という考え方が染みついてしまっていたという部分もあったのだけれど、その実、自分を否定すればするほど実は自己愛を希求しているのだなということに気がついた。
人形を創っている方にとって、とてもおもしろく刺激になる本だと思う。
これもまた有名な状況劇場と天井桟敷双方の劇団員の喧嘩についても触れている箇所があるのだが、寺山修司が四谷シモンを殴った事は知っていたが、殴るときに言った寺山修司の台詞が如何にも寺山らしく可笑しくて「クスッ」としてしまった。 -
日本における人形作家第一人者、四谷シモンの自伝。
彼の子供時代、当時の文化背景、人形作家になる過程など趣深い。 -
状況劇場の役者から人形作家へ。数奇で濃密な人生を、語り起こしの自伝形式で濃密に語った。嵐山光三郎の構成が的確で、とてもすっきりと読める。作品の図版も豊富に収録、生々しく冷ややかな人形の様子も見られる快著。
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シモン氏のエッセイは大好きだ。
サイン本も所有。
シモン氏の白い、清いお顔の御人形に魅入られた。 -
人形作家、四谷シモンの破天荒な人生が、独特の文章で綴られています。
作品からは想像もできない人生・・・。
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現代日本における代表的な人形作家四谷シモンの自伝。読んでいて何か心の奥底から熱くなっていく感触がある。この体験は一之瀬泰造の自伝を読んだときと重なるものがある。強烈にその時代、その場所で生きたいと願うからであろうか。