核兵器のしくみ (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061497009

作品紹介・あらすじ

原爆、水爆、中性子爆弾…人類を消滅し尽くす超巨大エネルギーはどのように生まれるのか?核分裂・核融合の原理から放射能の怖さまで、現代人が知っておくべき核の知識を初歩から徹底解説。

感想・レビュー・書評

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  • これも万人にお勧めできる本。筆者の言う通り、我々は使ってる技術の知識を正しくつけないと、恐れたり不安がったりして闇雲に否定してしまいがち。

    核兵器、というタイトルだが、そもそも核エネルギーとは何か?という話が主題です。解説も非常にわかりやすく直感的に理解できる。

    原子力発電にまつわる話、水爆の話は知れてよかった。核融合も実現間近だというし、知ってて損はしない話。

    なんとこの本2003年執筆。

  • 『核兵器の仕組み』というタイトルだが、核兵器に加えて原子力発電と太陽内の核融合反応に関する解説本。内容は、先日読んだ多田将著『ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>』とかぶるところも多い。おそらく、先に多田さんの本を読んでいたので、この本の内容がすっと頭に入ってきたんだと思う。この本でも、核分裂の説明などがイメージできる形で表現されていてよくわかる。α線、β線、γ線、中性子線、のそれぞれの特徴についても再度理解できた。また広島に落とされた原子爆弾がどうやってあれだけの被害を与えたのかについても詳しい。そして、それは改めて知っておかないといけないことのような気がした。

    著者の山田克哉さんはブルーバックスなどの新書に量子力学系の本を多数書いている。『真空のからくり』という本を読んだが、それなりにわかりやすかった。同じ著者の本をいくつか読んでみるとさらに理解が深まっていったりするのかもしれない。

    紙の本としては、3.11の前に出版されたものとはいえ、2015年の今になって電子版を出すのであれば、福島の原発の事故や放射能の影響についても追記して収録をするべきだったのではないのかなと感じた。そうすることで、この本はより有益な本になったはずだ。なぜなら、この本の中で著者は福島以降で顕在化することになった問題の多くの点について、この時点ですでに触れているからである。「今までの経験から年間100ミリシーベルトを被爆しても人体に影響は出ていないという結果が出ているため、原子力発電所や放射線を取り扱う業務に従事している人達に対しては、年間被爆量50ミリシーベルトを許容量としている」や「人体はストロンチウムとカルシウムを区別できず、吸い込まれたストロンチウムは骨に吸収されてしまう」や「セシウムを吸い込むと人体はセシウムとカリウムの区別ができず、セシウムを排泄することなく吸収してしまう」といった放射能の影響にも触れているし、「チェルノブイリ原発事故は、低出力で原子炉の状態が不安定になったことが事故のひとつの原因であった。しかし日本の原子力発電所はそのような構造になっていないし、事故防止用の自動制御装置がチェルノブイリ原子力発電所のそれよりも遥かに優れている」といった今となっては(事実としては正しいとしても)誰もそのままでは賛同できないような記述や、「事故が起きて原発側が隠蔽しようとするのは「世間が騒ぎ立てる」ということと「誰が責任を取るか」というような問題が絡んでくるためであろう。しかしこれは必ずしも原発側だけを責めることはできない。そこには「説明したところで話が専門的になり、世間は分かってくれないだろう」という先入観もあるからだ。世間一般の人達がもう少し原子力の知識をもたねばならない」といったおそらくは今も(今だからこそ)正しい指摘だが、もはや言いにくい見解も書かれている。また、「今、日本にある全原発の運転を停止したら、停電や節電だけでは済まなくなるだろう」と、かつては発生しないと思っていたが、現実となった仮定も書かれている。さらには「もう一つ、気になるのは地震対策である。日本の原子力発電所はすべて地震が発生しても震動が最小限に収まるような地盤(岩盤)の上に建設されている。震度5以上の地震が発生した場合、制御棒が自動的に挿入され原子炉の運転は自動的に停止するようになっている」といった正に議論になった点(そして津波というここでも見落とされていたという事実)にも触れられている。核廃棄物についても「現在、日本では埋める場所は青森県六ケ所村にある。将来、埋める場所も増えることになる。どこへどのくらい深く埋めるかは目下の懸案である。いまのところ、この問題はさほどクローズアップされていないようだ」と言及がある。これらを踏まえて追加の章を加えて、著者の見解を示してほしかった。


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    『ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>』のレビュー
    http://booklog.jp/edit/1/4781680054
    『真空のからくり』のレビュー
    http://booklog.jp/edit/1/4062578360

  • 山田克哉『核兵器のしくみ』講談社現代新書 読了。核兵器や原発の仕組みが非常にわかりやすく解説されている。難解な数式や概念など相当な部分が割愛されているが、我々素人にはこの程度で充分。原子の基礎から説明され、核分裂や放射線の発生するメカニズムの概要が理解できる。核融合発電まだかな。
    2011/03/26

  • 震災前の本。原子力発電の仕組みや、放射性物質の概念、人体に及ぼす影響等が理解できる良書。

  • 難しそうな理論や専門用語を避け、とにかく読みやすくわかりやすく書かれている。原子爆弾や原子力発電所について、その仕組みを知るにはもってこいの一冊だ。

  • 技術系の本を読むと自分が賢くなった気がしますよね。


    核兵器というものがどのような仕組みなのか気になったので読んでみました。これもなかなかわかりやすく書いてあって勉強になりました。

    原爆と水爆の違いなんかはよく知らなかったので勉強になりました。だけどこれほどの破壊力を持つ兵器を作って一体どうしようってんだろう。


    戦争の本を読めば読むほど戦争ってのが無駄なことだと思う。核兵器を作るくらいなら戦争が起こらないようにお金使えばいいのに。


    戦争がおきたり、独裁政権になったりしたら、そこの国民がとりあえず避難できる場所とか作れないのかな?いくら独裁者でも、国民がほとんどいなくなったら滅びると思うんだけどなぁ。


    頭のいい人はいろいろとかんがえているんだろうから、きっとそうはいかないんでしょうね。。。

  • 山田さんの本は、判りやすいんだ。何度か、何冊か読んだことあって、頭に残ってないのは俺のせい。

    特段核兵器に特化してるわけではなく、そもそも核からエネルギーを取り出すってのはどういうことというわけで、核分裂も核融合も取り上げてるし、原発にも触れている。

    書かれたのが2004年だから、日本の原発は安全てのがちょっとあれだが。

  • falloutの核はやさしい核だなあ

  • 久しぶりに物理の勉強。当時、~崩壊とかって全く意味分からんかったけど、もちろん理系頭じゃないからって部分も大きいけど、実は教科書の説明がイマイチだったってことがあらためて分かった。こっちで読み直すと、なるほどって腑に落ちるからね。大学に入って物理専攻した人間を相手に、まだよく分かってない知識を講義するのはまだ分かるけど、高校のレベルで、よく分かってないことを教科書に載せる必要あるか?苦手意識を助長させるだけのような気がしました。って、感想とは関係なくなってるけど。

  • 良書。
    いかめしい文体の中にもユーモアがあって、なんだか名物教授の講義を受けているみたい。
    順を追って一からしてくれる説明はほんとわかりやすい。「ひょっとすると僕は化学の才能があるんじゃないか」と思ってしまうほど、多くのことを知ることができた。

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著者プロフィール

山田克哉(やまだ・かつや)
1940年生まれ。東京電機大学工学部電子工学科卒業。米国テネシー大学工学部原子力工学科大学院修士課程(原子炉理論)、同大学理学部物理学科大学院博士課程(理論物理学)修了。Ph.D.。セントラル・アーカンソー大学物理学科助教授、カリフォルニア州立大学ドミンゲツヒル校物理学科助教授を経て、ロサンゼルス・ピアース大学物理学科教授に就任。2013年6月に退官。アメリカ物理学会会員。主な著書に『原子爆弾』『光と電気のからくり』『量子力学のからくり』『真空のからくり』『時空のからくり』『E=mc2のからくり』(いずれも講談社ブルーバックス)などがある。「読者に必ず理解してもらう」意欲にあふれた熱い筆運びで、ブルーバックスを代表する人気著者の一人。1999年には、講談社科学出版賞を受賞した。

「2023年 『重力のからくり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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