論文の書き方 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061581531

作品紹介・あらすじ

論文が書けず、また研究のしかたも知らないという人が多い。本書はそうした人々に、そもそも論文を書くということは、物事を合理的に考えて、それを説得力ある言葉で表現することだ、という観点から、その方法を具体的な例を示しながら、わかりやすく説明している。本書によって読者は、どうすれば論文が書けるのかを学ぶとともに、論理的な物の考え方をも身につけることができよう。研究者や学生は勿論、一般の人々も必読の名著。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、いかに研究するか、それをいかに論文としてまとめあげるか についての実用的手引きです。

    論文にまとめあげるまでの研究過程に関する戦略知識です。本書の重点は、その過程面におかれています。過程というのはトピック選び、資料集め、カードとり、アウトラインの組み立てから、書き上げにいたるまで過程です。

    研究し、論文をまとめ上げるには、多くの資料を集め読むことが必要です。
    「書く」「読む」「話す」「聞く」は、根本的には同じひとつの「ことば活動」の4つの働きという考えだからです。

    ■問題の場からトピックへ
    ・研究する、論文を書くというしごとの第1の課題は、何について研究し書くかというトピック選びです。
    ・時間の3分の2を、資料集めに、もう3分の1でで論文を書くのが原則です。
    ・論文を書くには、早く「問題の場」を制限し、せばめて適当なトピックを発見することが大切です。
    ・「問題の場」を問題、トピックだと勘違いして、そこに長らくうろつくのは時間浪費になります。
    ・トピックを論文のトピックとして確定する前に、少なくとも5点を確認しておかなければなりません。
     ①このトピックの研究に必要な資料があるか
     ②自分の力で扱い切れるか
     ③新しい研究トピックであるか
     ④自分はこのトピックに興味、関心をもっているか
     ⑤意義のある研究トピックか
    ・いったん研究トピックを手にしたら、それをこれからの研究過程に生かすには、さらに細かいサブ・トピックに細分することが必要です。細分トピックは主要トピックと同様に、なるべく問いの形にしておくことが望ましい
    ・トピックに関して最後に申したいのは、これで確定したと思ったトピックでも決して最終的なトピックだとは限らないということです。
    ・論文に最適の標題も、資料の研究調査が終了するまでは最終的には決定できません。

    ■資料探し
    ・資料集め:この仕事はかなり手っ取りばやくやらなければならない。だから体系的、合理的にやらなければならない。
    ・仮読み 資料探しをしながら軽く速く、おおざっぱに資料を目を通すことです。
    ※ 最終的に使用すると決めた資料は、念を入れて研究カードをとりながら精密に読むので、「本読み」といえるでしょう。
    ※ 仮読みの檀家で興味あると思われた情報も研究カードに記録しておきますが、これも本来の研究カードではなく、仮カードです
    ・図書館 資料探しは、まず、図書館のカード目録を調べることが第一です。

    ■研究の準備
    ・参考図書 図書館にある参考図書に目を通しておく ①人名辞典 ②地図 ③年代事典 ④言語辞典 ⑤引用句、用語辞典 ⑥専門別・事項別辞典・ハンドブック・アンソロジー ⑦百科事典
    ・文献カードの作成 研究の全過程を通じて参考にした文献が対象 ①論文を作成した後、文献表を作らなければならないため ②研究カード=資料カードを作るため
    ※ 一度使った資料をあとでもう一度検証したいというときに、すぐにその所在を明らかにしてくれる

    ■資料研究
    ・ノートよりも、カードに書く 研究カードもしくは、ルーズリーフに書いていく
    ・カード記入心得
     ①ボールペンかタイプアウトする 鉛筆や、インクの使用は避けること、消えやすいから
     ②カードの1面だけをつかう
     ③1枚に1項目のみ
     ④項目見出しをつけること
     ⑤項目の設定 仮アウトラインの設定と修正
    ・研究カードの内容
     ①要約
     ②言い換え 
     ③引用
     ④コメント
    ・資料の信ぴょう性についてのチェック(内的批判といっています)
     ①ことば、文章の意味
     ②由来
     ③無理・矛盾
     ④可能性・蓋然性・確実性
     ⑤正確度・批判性
     ⑥報道能力
     ⑦意図
     ⑧偏見
     ⑨研究者自信の偏見・能力・読むこととは

    ■書く
    ・論文にとって大切なことは、論文全体がやさしく、わかりやすく書かれていること
    ・論文を構造的に展開するためには、主問と副問を手がかりに進めていくこと
    ・最初につくったアウトラインはあくまでも仮のもの、変更してもかまわない
    ・いきなり書き始めない、仮でもアウトラインを作ること
    ・書くとは、説明する、解釈するということです。

    ■読む
    ・大切なのは、文字を言葉として理解するだけでなく、言葉の裏にある思想を理解することです。
    ・3つの読み方 
     ①分析的読み方
      ・分類:どういう本なのか
      ・統一:主要トピック範愛花
      ・部分:要するに何をいわんとしているか
      ・問題点:著者が解こうとしている問題とは何か
     ②総合的読み方
      ・単語から概念:単語の裏にかくされている概念は
      ・文章から命題、判断を:文章の裏に隠されている命題・判断は何か
      ・一連の文章から論議・推論を:一連の文章のなかにかくされている、推論・論議とは何か
      ・問題を著書がどの程度解決したのか。全部解決したのか、それとも一部分しか解決しなかったのか。
     ③批判的読み方
      ・この点は同意する、この点は同意しないと考えながら読む方法
      ・資料情報の不足:著者の資料情報は不足、不十分ではないか
      ・誤謬命題:著書は事実と異なる命題を立てていないか
      ・推理の誤謬:著者の推理・論議は非論理的ではないか
      ・制約:著者は意図した計画を全体的にどのくらい十分に実現したのか

    ■話す
    ・文法、論理、レトリックの問題
     ①聴衆と機会についての情報
     ②トピック選び
     ③資料選び
     ④資料の整理・組み立て方
     ⑤原稿・ノート・メモ作り アウトラインを書き出したメモを用意せよ
     ⑥視聴覚設備の点検
    ・論争、討議が必要な場がある、ただし、けんかと取り違えたらいけない
    ・聞いた話、質問については、ノートやメモを取る
    ・大きい声で明瞭に話すこと、何が問題で用件は何かを明らかにすること、そして問題、用件の構造を明らかにすること

    ■レトリック
    ・レトリックとは、「言問い」の技術
     ①人物・情景などの描写
     ②できごとの経過を示す、物語り
     ③概念、思想、状況、制度などを分析理解するための、説明
     ④考えや気持ちを変えさせようとする、論議、そして、説得
    ・弁論の5つの構成要素
     ①構想・発想 何をいくか、何について、どういうか
     ②論証 証明 呼びかけ、挨拶、陳述、陳情、末尾
     ③修辞・修飾 文体、語彙の選択、明晰
     ④記憶
     ⑤発声・所作

    目次

    はしがき

    第1章 問題の場からトピックへ
    第2章 資料探し ―図書館の使い方
    第3章 研究の準備 ―参考図書と文献カード
    第4章 資料研究・読みと整理 ―研究カードの作り方・インタービューとアンケート
    第5章 資料研究・確実なデータ作り ―資料の類別、資料批判
    第6章 書く ―アウトラインの発展、文章化、下書き
    第7章 書く ―説明の方法と概念の操作
    第8章 下書きから清書へ ―注と文献表、総点検とでき上がり
    第9章 小論文の書き方
    第10章 読む ―理解する読み方
    第11章 話す ―話す・書く、講演・講義
    第12章 話す・聞く ―討論・論争、聞く
    第13章 レトリックについて ―「書く」、「話す」の理論と技術
    付録

    ISBN:9784061581531
    出版社:講談社
    判型:文庫
    ページ数:258ページ
    定価:940円(本体)
    発行年月日:2009年10月27日 第62刷発行

  • 講談社学術文庫というだけあって難しい…σ^_^;
    とりあえず仕事に役立つ第6章から9章を精読します。
    論文の書き方って学ばないんですよね。
    この本では「起承転結」にとどまらず「構造的アウトライン」を用いることをおっしゃってます。
    「構造的アウトライン」とは最初に提示した主問に対して副問に答えていくことで主問の答えを論述していくというものです。
    どういった流れで文章を構成して行けば良いかよくわかる本でした。

    また夢の話ですがいつか落ち着いたら博士後期課程取りに行きたいんですよね。
    司法試験諦めたらそっちに進みたいなと思ってました。
    ただ今のところ「仕事」がんばらなあかんので先延ばしですが…
    出世を先延ばしした時点でまさかもう一度僕の人生が仕事中心になるとは夢にも思いませんでしたが…

    法律か生活保護か福祉に縁あってどなたか先生に師事することがあればこの本にまた出番があるということでd(^_^o)

  • 難しい
    108ページ アウトライン

  • やや古くはなってきたが、それでも衰えない不朽の名著。論文とは何か、どのように手を付ければよいか、そもそも研究の仕方とは何かといった疑問を解決してくれる一冊。これから論文を書き始めるという1,2年生だけでなく卒論を控えた高学年など様々な年代に当てはまる一冊。

    中央館2F:文庫・新書コーナー 816.5 Sa93
    https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN02746870?caller=xc-search

  • 3~5.8章は専門的すぎて飛ばしたが、本格的に論文を書く段階に入った時には、もう一度じっくり読んでみたい、読むべき本だと感じた。「本を読む本」も読もうと思った。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/491720

  • 500円購入2020-03-08

  • 研究トピック確定の5条件
    ①このトピックの研究に必要な資料があるか
    ②自分の力で扱いきれるか
    ③新しい研究トピックであるか
    ④自分はこのトピックに興味関心を持っているか
    ⑤意義のある研究トピックか

  • やっぱり論文の書き方は英語圏で学んだ人間のやり方なんだなというのが感想。日本の作文文化に慣れていると学ぶこと多いと思うが、一度英語圏で学問に触れてみるとよく言われていることがそのまま。

  • ── 沢田 昭夫《論文の書き方 19770608 講談社学術文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4061581538
     
    ── 沢田 昭夫《論文のレトリック 198306‥ 講談社学術文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4061586041
     
    ── 澤田 昭夫《革新的保守主義のすすめ ~ 進歩史観の終焉 199005‥ PHP》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4569527760
     
    (20161213)
     

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