日本人の人生観 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 152
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061582781

作品紹介・あらすじ

戦後30数年を経た今日、外部の何ものかによって生き方が決定され、人々は敷かれたレールの上を走っておればよい時代は終ったはずである。しかし日本人は依然として画一的な生涯をめざす傾向から脱け出せないでいる。その背景には、われわれ日本人が無意識の内に従っている或る種の共通の人生観があるのではなかろうか。本書は、そういう「日本人の伝統的な人生観」を再把握し、新しい生き方への出発点を示すことを目標としている。

感想・レビュー・書評

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  • ものすごく、的確。

    「戦後生まれの人は、今の状態はずっと続くー社会は動かないという前提を持っている。そして自分の一生を、この動かない世界を通過していくもの、という形で把握している。
    今の常識を基準にして未来を考えても、それは未来を考えていることにはならない。」

  • 今から40年近く前の本だけどハッとさせられる内容。
    自分は本書に出てくる「日本人の人生観」に則っているかのごとく、流れに身を任せてふらふらする生き方をしている自覚がある。それでいいとは思っているけど、西洋式の終わりを意識し逆算して計画を立てる様な生き方を取り入れないとかなぁ…。

  • 今まで読んだ山本七平の本の中では気持ちが揺さぶられることか最も少ない本だった。戦後30年を経た頃意識された画一的な生涯を目指す傾向も、その後40年あまり経って少しずつ変わってきたような気がする。バブルの崩壊、長いデフレ、不景気、自然災害など、犠牲を伴う期間が長かったと思うが、年功序列型の世代が完全に抜けたら若い世代が上手く舵を切っていくだろう。コロナという外圧が黒船、敗戦と比べてどの程度の大きさのインパクトかは今後確認されていくだろう。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/739711

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    この本に書かれている内容でそのとおりだと感じたのは過去の思想や方法を服を着替えるように変えてきたため、直近の過去の思想や方法すら分からなくなるということだ。
    日本人の考え方として、直近の過去の考え方を忘れるということはよくあると思う。今で言えば、戦前、戦中の日本に関しては一方的に否定のみを行うだけで、それらについては詳しく調べられていないと私は考える。
    思考の切り替えが悪いことだとは思わないが、それらを忘却することは避けられるようになりたいものだ。

  •  日本人がベースに持っているだろう人生観についてメスを入れた、そんなコラム集である。
     広範な知識から展開される論理的な内容については、大変興味深い。伝統的な人生観というものについて見返す意味で、適した一冊だろう。
     ただ、掲載された場所の違いからか、表題のコラムについてはですます調で書かれていて、それ以外がである調で書かれているところは少し読みづらくもない。引用部分についても読み下すのにいささか労を要した印象がある。

     そうした部分も踏まえて、星四つと評価したい。

  • 日本人は依然として画一的な生涯をめざす傾向から脱け出せないでいる。その背景には何があるのか? 我々日本人が無意識の内に従っている「日本人の伝統的な人生観」を再把握し、新しい生き方への出発点を示す。

    1 日本人の人生観
    2 「さまよえる」日本人
    3 日本人の宗教意識
    4 文化としての元号考察
    5 あとがき

  • 日本人の人生観、宗教観などをテーマにした講演を4つ収録しています。

    「化為」(なる)と「作為」(する)を対比し、日本人はそのつどの状況に従うことを良いと考えるという指摘は、著者とは対立する政治的立場に立つはずの丸山真男の議論にも通じる考え方です。むろん丸山ほどの学識は期待できませんが、それでも本書の議論も単なる印象批評ではなく、日本人とキリスト教国の人びととの宗教意識にまで遡って、こうした発想の根底を探ろうとしています。

    キリスト教を信奉する国々では、終末観が歴史意識の根底に存在していると著者は言います。これに対して日本人は、「自然」をあるべき秩序として重視しており、歴史の中で自分の位置を確定して未来を創造していくという態度が欠如していることを、著者は指摘しています。

  • 日本人の間の"空気"を生み出す日本人の"人生観"、"世界観"について。キリスト教との比較から日本人の考え方を炙り出す。

  • おもしろくない、科学の割に浅い。

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著者プロフィール

1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。
著書には『「空気」の研究』(文藝春秋)、『帝王学』(日本経済新聞社)、『論語の読み方』(祥伝社)、『なぜ日本は変われないのか』『日本人には何が欠けているのか』『日本はなぜ外交で負けるのか』『戦争責任と靖国問題』(以上、さくら舎)などがある。

「2020年 『日本型組織 存続の条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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