シェイクスピア劇の名台詞 (講談社学術文庫 747)

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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061587472

作品紹介・あらすじ

シェイクスピアが語りかけているものは何か。彼の遺した作品を愛・史劇・悲劇に分類し、その核心の立体的解明を試みたのが本書構成の要訣である。即ち各台詞の冒頭で有名な一節を読み、次に場面、情況を理解し、改めて台詞全体を味読する。かくて台詞がもつ劇中での意味を訊ね、シェイクスピアの思想にまで鑑賞を進め、更に原文の熟読によって、台詞がいかにダイナミックで、かつ繊細な魅力に満ちているかがおのずから体得できる。

感想・レビュー・書評

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  • シェイクスピアの主要作品の山場での名台詞に背景となる場面説明と評釈を加えたもので、巻末には原文と語注までついており、手軽ではあるが心憎いシェイクスピア案内である。シェイクスピアは劇作家であると同時に詩人である。その詩魂ほとばしる台詞を原文と照らし合わせて味読することは、最良の入門と言えるだろう。現代英語にない言い回しや古語が多く、最初はとっつきにくいが、繰り返し音読することで言葉の響きや抑揚を味わいたい。また本書は「ロミオとジュリエット」や「ベニスの商人」、四大悲劇といったメジャー作品だけでなく、取り上げられることが比較的少ない史劇についてもかなりの分量(全体の約三分の一)が割かれており、その意味でも貴重である。シェイクスピア史劇の多くは百年戦争から薔薇戦争に至るイギリス王室の権力闘争が舞台になっているが、イギリス史の流れとともに諸作品をシリーズで眺めることで、個々の作品を歴史的な奥行きのもとに俯瞰できる。本書ではそれがコンパクトにまとまっており大変便利である。ここには利己心、欲望、罪、良心、虚無、運命といった四大悲劇のモチーフの原型がつまっており、四大悲劇へのプロローグとして読むこともできる。絶版になっているのは何とも残念である。

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  • シェークスピア劇入門。
    p244「地上の一切はただ束の間の命しかない。その後に残るものは、愛とか、許しとかいう、精神的な価値ばかりである。」
    『十二夜』p88「本来なら、彼らは知恵を働かせて、単なる恋の夢想と本当の愛とを見分ける分別があってしかるべきだというのに、賢者であるはずの彼らにはその賢明さが欠けているのだ。」

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著者プロフィール

安西徹雄 (あんざい・てつお)
1933年、松山市に生まれる。
愛媛大学文理学部卒業。
上智大学大学院文学研究科博士課程修了。
英国バーミンガム大学シェイクスピア研究所留学。
上智大学文学部英文学科教授を経て、現在、上智大学名誉教授。
シェイクスピアを中心として英文学の研究・教育に
あたる一方、演劇集団「円」を拠点に演出を手がける。
著書
『シェイクスピア——書斎と劇場のあいだ』(大修館書店)
『シェイクスピア劇四〇〇年——伝統と革新の姿』(NHKブックス)
『仕事場のシェイクスピア——ある伝記の試み』(新潮社刊、現在、ちくま学芸文庫)
『この世界という巨きな舞台——シェイクスピアのメタシアター』(筑摩書房)
『英文翻訳術』(ちくま学芸文庫)
『彼方からの声——演劇・祭祀・宇宙』(筑摩書房)ほか

訳書
ピーター・ミルワード『イギリスのこころ』(三省堂選書)
ピーター・ミルワード『シェイクスピアの人生観』(新潮選書)
イアン・ウィルソン『シェイクスピアの謎を解く』(河出書房新社)
ピーター・ミルワード『愛と無—自叙伝の試み』(人文書館)
シェイクスピア『リア王』(光文社古典新訳文庫)ほか

「2007年 『愛と無 自叙伝の試み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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