馬・船・常民 (講談社学術文庫)

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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061594005

作品紹介・あらすじ

考古学と中世史の論客が、日本の歴史学から抜け落ちていた事柄を掬いとり、それぞれの観点から縦横に論じ合う。東国騎馬軍団の活動、雄大なスケールで行われた海の交通、さまざまな物資のダイナミックな交流、知られざる女性たちの活躍…。そして「日本」とはなにか。常識を打ち破ったところに真の日本が立ち現われる。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史学者の網野善彦さんと考古学者の森浩一さんの対談集。

    「馬・船・常民」というタイトルは、馬が与えた影響に詳しい森さん、海民に詳しい網野さんが対談することで、日本列島に生きた人々(常民)の歴史を描いていることにちなんでいる。

    第一章では馬がテーマ。騎馬民族征服説が出るほど古墳から馬具が出ている。馬は軍事だけでなく、運搬や交通手段として使われたが、この辺りは詳しく知られていない。交通手段として重要だった船と共に広域的に見ていく必要がある。

    豆知識)馬は阿蘇の方で食べられたが、関西は食べられてなかった。

    第二章では海からの交流がテーマ。海辺の人は漁業だけでなく、製塩や運搬業もしており、土地を持たないながらも裕福な人々も多かった。僧侶は勧進を受けたり、会計業務などを果たすなど商業に大きく携わっていた。

    豆知識)種子島は中世の製鉄遺跡がある。海上交通、手工業生産、通商の要所で鉄砲伝来は偶然ではない。日本列島で書いたと推定される最後の文字は種子島で出ている。

    第三章は歴史の原像というテーマ。鋳物師は製塩業と密接に関係していて、作った容器をレンタルに出していた。
    女性の活躍。商業や金融に携わっていた。女性は一人旅したり、性的にもおおらかだった。卑弥呼や壱与もそうだが、地位が低いのは近世以降。

    豆知識)大君は天皇の前の名称と思われがちだが、権力を持つ人に使われていたもので1人とは限らない。

    古代の話題が多いので、そちらに興味がある人におすすめの本と言える。

  • なかなか示唆に富む内容だった。もう少しいろいろ探して読み込んでみよう。

  • こういう話を学校の授業の日本史の時間にしてもらえれば、もっと面白くなるのに。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/19063

  • 日本国内でも西と東は、生活様式が大夫異なる。
    馬への態度、海への接触の方法などなど。特に古墳の位置と当時の生活の関係は興味深い。

  • 馬具の出土数は、群馬県と長野県が群を抜いている。
    江戸初期の利根川の開削事業が治水のためとするのは明治につくられた物語で、実は内陸船運のため(林基)。

  • http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1594001
    馬・船・常民
    東西交流の日本列島史
    著者: 網野善彦
    著者: 森浩一

    発行年月日:1999/10/10
    サイズ:A6判
    ページ数:340
    シリーズ通巻番号:1400
    ISBN:4-06-159400-1

    定価(税込):1,103円

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著者プロフィール

1928年、山梨県生まれ。1950年、東京大学文学部史学科卒業。日本常民文化研究所研究員、東京都立北園高校教諭、名古屋大学助教授、神奈川大学短期大学部教授を経て、神奈川大学経済学部特任教授。専攻、日本中世史、日本海民史。2004年、死去。主な著書:『中世荘園の様相』(塙書房、1966)、『蒙古襲来』(小学館、1974)、『無縁・公界・楽』(平凡社、1978)、『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)、『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980)、『東と西の語る日本の歴史』(そしえて、1982)、『日本中世の非農業民と天皇』(岩波書店、1984)、『中世再考』(日本エディタースクール出版部、1986)、『異形の王権』(平凡社、1986)、『日本論の視座』(小学館、1990)、『日本中世土地制度史の研究』(塙書房、1991)、『日本社会再考』(小学館、1994)、『中世の非人と遊女』(明石書店、1994)。

「2013年 『悪党と海賊 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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