トウ小平 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061596108

作品紹介・あらすじ

稀代のリアリスト、〓(トウ)小平。「白猫黒猫」論の徹底した柔軟思考と、「発展」を目指す鉄の意志とが、百年変わらなかった中国を巨大経済国家に変えた。若き日のパリ留学。蜂起。三度の失脚を乗り越えて世界を牽引する経済建設へ。毛路線を覆し、現代中国の父となった「小さな巨人」の全貌。

感想・レビュー・書評

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  • 【小さき巨人】幾度の失脚を経験しながらも、その度に不死鳥のごとく復活し、中国の経済成長の実現に多大な功績を残した鄧小平。「綿中に針あり」と毛沢東に評された男の真髄に迫る作品です。著者は、『文化大革命』や『毛沢東と周恩来』といった著作を世に送り出している矢吹晋。

    鄧小平に関する研究書としてももちろんですが、鄧小平を軸として眺めた中国共産党に関する研究書としても実に魅力的な作品。権謀術数の渦中において、力のバランスを保ちながら自身の方針を通すことに苦心する、鄧小平の卓越した政治家ぶりが窺えるかと。初版から若干時間が経過した一冊ですが、古さを感じさせない作品でもありました。

    〜彼のせりふはこうであろう--改革しなければ活路はない。しかし、改革を成功させるためには、なによりも政治的安定、秩序の安定が必要だ。〜

    写真が豊富だったのも☆5つ

  • 鄧小平は 面白かった。
    『実事求是』をかたくなに守ったのが 鄧小平であることを理解した。鄧小平は 徹底したリアリスト だった。
    3度の失脚と復活は 徹底したリアリストだからできたのだろう。

    毛沢東の思想家、哲学者、理想主義者ということが、
    実務の中では 大きな失敗を経験した。
    理想と現実の乖離のなかで 
    大躍進運動における 飢餓者をたくさん作り出した。
    文化大革命における 伝統的文化の破壊と文化知識人などの抑圧。
    毛沢東は 単純化の天才だった。

    鄧小平は 政治体制は 共産党の指導という基本をはずさず
    経済的には 改革を進めていくということを推進した。
    ゴルバチョフは 政治の改革を進めて 
    経済を立て直そうとしたが 失敗した。
    政体を維持しながら 国を導いていく 
    鄧小平の進め方が 成功を収めていることは確かである。

    経済が豊かになれば 政治体制が民主的なシステムになれるのか?
    そのことが 一番の関心事となる。

  • 最近、鄧小平が好きになってきた。

  • 理想主義者の初代が世界を構築し
    実務の優秀な2代目が世界を安定させる.

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著者プロフィール

1938年生。東京大学経済学部卒。東洋経済新報社記者、アジア経済研究所研究員、横浜市立大学教授を経て同大学名誉教授。朝河貫一博士顕彰協会代表理事、21世紀中国総研ディレクター。『朝河貫一とその時代』(2007年)、『日本の発見――朝河貫一と歴史学』、『尖閣問題の核心』、『敗戦・沖縄・天皇』、『南シナ海領土紛争と日本』(2016年)、『沖縄のナワを解く』(2017年)、『習近平の夢』(2017年)、『中国の夢』(2018年)、『コロナ後の世界は中国一強か』(2020年)など著書多数。

「2021年 『天皇制と日本史 朝河貫一から学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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