ビゴーが見た明治ニッポン (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061597945

作品紹介・あらすじ

1882年に来日し、十七年間の滞在生活をおくったフランス人画家ビゴーは、その卓越した描写力で、写真や活字では記録し得なかった日本人の本質を鋭く描きとった。明治政府を皮肉る痛烈な諷刺画のほか、西洋文化にとびついた人々の滑稽な姿、日本的風習にあふれた庶民の生活、日本軍に従軍して描いた戦争報道画など、百点の作品を通して、近代化する日本の活況を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 中国で駅に降りると、「俺のタクシーに乗れ」と
    言わんばかりに、運転手が
    たくさん寄ってくる。明治時代に人力車に乗れと
    赤ら顔の日本人に寄ってこられて、困っていた西洋人が
    いたそうだ。今も昔もおなじです。

  • 外国人の手による日本の記録は貴重だと思います。何が誤解されている(いた)のか解りますし、日本人にとって当たり前すぎて気に留めていないけれど大切なものに気付かされるからです。特に海外にとって「フシギの国ニッポン」だった時代のものほどそう思えます。この本ではひとりのフランス人の目に映った明治の日本がさまざまな形で紹介されています。日本人が残した記録からは見えてこない物もあるので、大変重要な史料だと言えます。ビゴーの視線は庶民にも多く注がれいて、特に女性を温かい目で見ているあたりはパリ生まれらしい気がします。

  • 読み終わったと言うより、ジョルジュ・ビゴーの描いた絵を一枚一枚とても興味深く味わったという感じですね。 日本人の姿形の多くは背が低く、一重瞼で、出っ歯でどことなく猿に似ているのだが、憎めないのです。

  • 寝る前にチマチマ読みました。
    私としては、前の「ビゴーが見た日本人」の方が好きでした。
    そちらのほうが風俗習慣についての作品が多く掲載されていたからです。
    好みの問題でしょう。

    ただ、この本で注目すべきなのは「写実の日本−報道画」の章です。
    彼は日本で、まだ写真が普及していなかった時代、現場を取材して絵に描くといったジャーナリストとしての仕事もしています。
    その絵が大変写実的で、しかも原画はカラーとのことです。(この本では白黒で掲載されています。)
    カラーで見てみたいーーー。
    普段の、ちょっとデフォルメされたビゴーの絵とはまた一味違った面白さがあります。
    写真が普及するにしたがって、その需要がなくなり、報道画は廃れていくようですが、これは一見の価値あり。

    最後の章、「無念の日本−不安画」では、ビゴーが日本を離れることを決意した中で書かれた、諷刺色の強い作品が掲載されています。
    ビゴーのようなすぐれた画家がそのまま日本に留まっていられるような環境だったら、他にもっといろんな作品が生まれただろうにな・・・と思いますが、当時の日本人の対外国人感情を考えると仕方の無いことかもしれません。

    次は、「ビゴーが見た明治職業事情」を読んでみることにします。

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著者プロフィール

2018年12月現在
漫画・諷刺画研究家/元 帝京平成大学教授

「2018年 『日本の漫画本300年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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