日本神話の源流 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061598201

作品紹介・あらすじ

太平洋の海洋文化圏、中国・朝鮮半島の遊牧・農耕文化圏、北方狩猟文化圏と接する日本列島。先史時代より、いくつもの波のように日本に到来した人々がいた。我々のルーツはどこなのか。日本神話は、東南アジア地域ばかりか、印欧語族の古神話と、同一の構造を備えていることも明らかになった。日本神話の起源・系統、その全体構造や宗教的意味を、比較神話学で徹底的に解読する。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740598

  • 古事記とギリシャ神話に似たような話があるのはなんでだろう?と思っていたところ見つけたぴったりな本。

    海外の神話の概要が紹介されていて、違う国でもその文化の根底に日本の神話と似たような神話があると思うとおもしろい。

    とはいえ、例えばなぜ桃が聖なる果実とされてるのか?みたいはそういう神話の細かいパーツに対しての疑問は解消されないので、今度はそのあたりがわかる本を探そう。

  • 最初は日本神話と世界の神話の類似点を見つける事にどのような意味があるのかあまり理解ができなかった。
    ただ本書を読み進める中で神話は日本と言う島国の中で脈々と培われてきたものと勝手に思い込んでいたが、外の世界からの影響もあり作られたものだとわかってたこと自体が面白かった。

    そしてグリム童話を筆頭に海外の童話を読む機会は昔からあったが、日本昔話から、日本の神話に進む事が今までなかった。
    イザナミとイザナギの話は知っているがそこまで詳しくなく日本の神話について知見を深めることで、自分のルーツへもつながりそうで少しワクワクした。

    ====
    ジャンル:サイエンス リベラルアーツ
    出版社:講談社
    定価:1,056円(税込)
    出版日:2007年05月10日

    ====
    吉田敦彦(よしだ あつひこ)
    1934年生まれ
    東京大学大学院西洋古典学専攻修士課程修了
    フランス国立科学研究所研究員、成蹊大学・学習院大学教授などを歴任し、現在学習院大学名誉教授
    専門は、比較神話学、西洋古典学

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    flier要約
    https://www.flierinc.com/summary/3037

  • 一気読み。現在日本列島に暮らす人々の祖先や言語については分子人類学等々の研究があり、最近も国際研究チームがNatureに寄稿していたので、これはもはや古いかもしれないけど、吉田先生のテンポとキレ味のいい文章の語り口がとにかく面白いです

  • 日本の文化・神話は吹き溜りによって形成されており、天岩屋戸〜天孫降臨に見られる支配者/被支配者の関係性は印欧神話から輸入されたイデオロギーだという説。面白かった。

    世界は最初からグローバルだったのかもしれない。と思った。
    ともかく、吹き溜りの国という表現が気に入った。

  • 日本の神話が、近く朝鮮や中国だけでなく、南方諸島やまた北方の遊牧民族の神話との共通点が見られることがわかった。しかし実際にどのようにして伝わっていったのか。交易や民族の移動?その伝播ルートや方法に興味を覚える。

  • 世界の神話と日本神話との類似性を論じ、日本の古代かそれ以前の文化、受けた影響について論じられている。日本の文化は北西、西、南西から来た文化の複合体だという主張であり、それ自体はかなり説得力がある。一方で、論じ方が、あくまで神話の内容の類似性を指摘するにとどまっており、十分条件でしか議論ができていないという感が否めない。統計的なアプローチがこの分野には必要ではないだろうか。

  • 比較神話学の立場から、日本神話の起源について考察している本です。

    著者は、日本神話のなかの海幸彦と山幸彦の話や、オオゲツヒメが食物を生む農耕の起源に関する話などが、南洋の神話と共通点をもっていることを指摘し、中国江南地方にそのルーツを求める見かたを示しています。その一方で著者は、イザナギとイザナミの黄泉の国の話が、ギリシア神話におけるオルフェウスが冥界に赴く話との共通性を指摘し、スキタイ神話や朝鮮の檀君神話などとの比較を通して、アルタイ系遊牧民を仲介する印欧語族の神話とのつながりを見いだせると主張しています。

    さらに著者は、デュメジルの比較神話学の観点から、日本神話と印欧語系諸民族の神話のあいだに個別的な共通点が見られるだけではなく、それらを統一的な神話へと組織するイデオロギーに共通の特徴が見られることを明らかにしています。

    河合隼雄も神話の比較をおこなうことで、日本神話のうちに「中空構造」という性格を見いだし、ヨーロッパ諸民族の深層心理との対比的な側面を強調していましたが、そこには母性社会と父性社会という河合独自の文化論が反映されていたように思います。これに対して本書は、デュメジルの神話学が下敷きになっていますが、日本神話の源流を印欧諸民族の神話に求めるのではなく、その構造的な類似性に注目することも可能だったのではないかという気がします。

  • 本書は40年も前に書かれたものが文庫としてよみがえったものです。神話・・・この古くて新しいテーマ。現在の研究がどのようになっているのか、私は全く知らないのですが、著者自身が文庫本の前書きで書かれているように、現在でも神話学の入門書として本書は十分に役立つものでしょう。日本の神話とヨーロッパやその他の地域における神話との比較研究によって、いくつもの共通項が見出されるそうです。それは偶然の一致では済ませられない。つまりルーツを同じくして、人類や文化の移動とともに伝わってきた神話が多々あるはずだというのです。少しこじつけのように感じられなくもないのですが、でも同じところと違うところを見つけ出すことで、古代の人々が何をどのように感じたかが伝わってくることもあるのでしょう。そのことが現在の日本人の心の奥深くにも刻まれているのかもしれません。それにしても何と不思議な神話が多いことか。読めば読むほど不思議な神話。そこから今何が読み取れるのか。もっともっと勉強の必要があります

  • 40年以上前に出された本を底本としているが、しっかりした内容でそんなに古さは感じなかった

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著者プロフィール

1960年、大阪府生まれ。
1988年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。
2006年、京都大学「博士(教育学)」(論文博士)。
現在、大阪府立大学大学院教授(2022年4月より、大阪公立大学大学院現代システム科学研究科/現代システム科学域教育福祉学類所属)。

日本ホリスティック教育/ケア学会前会長。日本ユネスコ協会連盟理事。日本シュタイナー学校協会専門会員。京田辺シュタイナー学校顧問。

主な著作(単著)
『ホリスティック教育論:日本の動向と思想の地平』日本評論社。『ブーバー対話論とホリスティック教育:他者・呼びかけ・応答』勁草書房。『世界のホリスティック教育:もうひとつの持続可能な未来へ』日本評論社。『世界が変わる学び:ホリスティック/シュタイナー/オルタナティブ』ミネルヴァ書房。
(共編著)
『いのちに根ざす日本のシュタイナー教育』、『ホリスティックな気づきと学び』、『ホリスティック教育入門』、『持続可能な教育と文化:深化する環太平洋のESD』、『ホリスティック・ケア:新たなつながりの中の看護・福祉・教育』―以上、せせらぎ出版、ほか。(共著)『変容する世界と日本のオルタナティブ教育』(永田佳之編)世織書房、『ケアと人間:心理・教育・宗教』(西平直編)ミネルヴァ書房、ほか多数。

「2022年 『教育のオルタナティブ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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