裏六甲異人館の惨劇 (講談社ノベルス カB- 7)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061813212

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  • 映画監督と助監督という珍しい設定の探偵コンビ。

    断片的な情報を組み合わせてプロットを組み上げ、シナリオを書くように全体像を把握する推理スタイルの五城監督。ロケハンでの土地勘と情報収集能力、あらゆるムチャ振りと雑務をこなし馬車馬のように働く助監督吉田。職業的なキャラ設定が意外にミステリと相性がよく面白い。

    ロケハンで訪れた洋館で殺人を目撃した助監督吉田が五城監督に救いを求め、二人は事件に巻き込まれていく。そこには『黒真珠夫人』の異名をもつ真隅夫人をはじめとする上流階級の一族が。

    2時間ドラマ的な展開で、メイントリックと犯人もおおかた予想がつき、ちょっと退屈しながら読み進めていました。ところがやっぱり梶龍雄。終盤で様相が変わってきました。「ああ、そういう展開もあるのね」なんて思ってましたが、驚愕したのは犯行動機。「そんな馬鹿な」と思いつつも、予想外の細かいところにまで伏線が張ってあって、そこまで丁寧にやられると笑って許してしまいます。

    いわゆる『バカミス』なのかもしれませんが楽しませてもらいました。

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著者プロフィール

1928年岐阜県生まれ。慶應義塾大学文学部英文科卒業。出版社勤務を経て文筆活動に。52年探偵小説専門誌『宝石』に短篇「白い路」が掲載され、ミステリ界へデビュー。77年『透明な季節』で第23回江戸川乱歩賞を受賞。『海を見ないで陸を見よう』、『リア王 密室に死す』など旧制高校を舞台とした清冽な作品で注目され、『龍神池の小さな死体』『清里高原殺人別荘』『葉山宝石館の惨劇』等、巧緻な作品で、本格ミステリファンの記憶に残る傑作を多数発表。90年逝去。

「2023年 『梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション2 若きウェルテルの怪死 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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