密室ロジック (講談社ノベルス ヒD- 4)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061823105

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  • 論理的な密室状況の中で、起きた殺人。
    鍵のかかった密室ではないけれど、殺人現場の外部にはどのルートにも他人の目があり、犯人が逃げおおせたはずがない。
    不可能犯罪に見える状況を、バーボンで思考の冴えるピアニスト探偵氷川透はいかに解き明かすのか。

    章ごとに視点人物が次々に変わっていく。
    その流れで、「自分は自分をこう思っているけれど、他人には全く別のように思われている」という主観・客観の齟齬が次々に描かれて興味深い。
    人の態度には表裏があって当たり前。他人の本心など読みとれないものだ。
    以下ネタバレ。




    最後まで読んでから再読すると、最初に殺意を表明した人物Aと被害者、犯人は三角関係だったのかと思う。
    しかも被害者は冴子を脅迫するような卑劣な人物。
    Aは「強く望んだことは叶う」と信じているし、実際に相手が死んだ後、「これは自分のせいかも」と振り返っている。つまり実行犯ではない。

    本編では、詳しい動機が解明されるには至らないが、犯人視点の章では、三角関係の経験がありそうなことをほのめかしたり、他人の痴話喧嘩に遭遇し、下らないと思いつつ口を出してしまうという不安定な心理状況が見て取れる。
    犯人はこの関係のもつれで仕事のミスが増えたのか、それともミスの多さをダシに犯人につけこまれて関係を迫られたのか。
    犯人が飲み会の日におこしたミスに、被害者から侮辱的な言葉を吐かれたのか。とにかく被害者は恨みをかいやすい人物っぽい。

    野毛が何時に誰に電話をしなければならないかは、本筋には関係なく、「犯人がそれを知っていた、そのとき野毛は持ち場を離れると思った」ということが大事なのかな。
    それとも野毛は犯人にそそのかされて、その時間に電話をすると決め、かけたのか?

    せっかくケータイを入手したのに、相手とじっくり話すために会議室に行って普通の電話からかけてたのがなんともはや… 世慣れない彼のキャラを物語っている。
    でも通話の相手がそれを隠していなかったら、この作品の論理的密室状況は一瞬でついえ去る。
    この密室状況を作るために、野毛の通話相手が「なぜこのことに関して嘘をつく必要があったのか」を伏線として提示してたのかな。不倫や脅迫の件とかね。 

    ……などなどと個人的には推測してしまう。
    動機なんぞは脇において、純粋に起こった事実から真相を導き出すのが、なんとも氷川氏らしい。

  • 「真っ暗な夜明け」のバンド仲間が再登場。氷川が密室殺人をロジカルに解き明かす...と思いきや、ロジックにそこまでキレはなく、やや肩透かし。多人数視点による内面描写は割と好きなのだが、後半の推理パートと繋がりがないため、ちぐはぐな印象を受けた。(それが狙いという見方もあるにはあるが)

  • 密室の謎を解き明かしていくロジックは面白いけど、どうも登場人物に共感が持てないし、こまかい心理描写が多すぎてちょっとくどいかも…。

  • 正直物足りない! 結末が投げっぱなしジャーマン。挑戦状もなかったし、事件の後日談もなかったし……。
    これで氷川シリーズ完では悲しすぎるので、新作待ってますいつまででも待ってます。

  • うーん。今回は氷川透が事件の現場に居合わせず、安楽椅子探偵のポジションで、論理から犯人を絞り込んでいく展開なのだが、前半の事件に至るまでの各登場人物毎の視点の記述部分がどうもいただけない。
    ここは完全に、個人の好みによる感想となるが、自己の行動に関する分析・評価を行い、時にはセルフ突っ込みを入れつつ思考の過程を読者に披露するのは、氷川透君の専売特許であって欲しかった。
    今回、登場人物全員にそのような記述を適用したのは、作者のこの作品を書く上での狙いであったことは判るが、全員の人間関係が、自己分析と打算と負い目に彩られた世界は、とても悲しい。
    解決編の論理部分の展開は相変わらず面白かったが、前半が物語として読んでて悲しくなったので☆3つ評価。

  • 作者にとって都合のよい話が多すぎるのでは?
    人物設定にゆらぎを感じる。

  • 2008年2月

  • 2008年2月読書分。
    探偵:氷川透さん第五弾。

  • 殺される前も後も室内には被害者ひとりきり。左右の廊下には複数の人間が、
    非常口の前には監視カメラが出入をずっと見張っている。こうして密室状況は
    作りだされた。一見平凡な殺人事件は、論理的に不可能犯罪へと飛躍したのだ!
    最終章に登場する“彼”の研ぎ澄まされた論理が眩く光り輝く純粋本格ミステリ

  • 【STORY】
    殺される前も後も室内には被害者ひとりきり。左右の廊下には複数の人間が、非常口の前には監視カメラが出入をずっと見張っている。こうして密室状況は作りだされた。一見平凡な殺人事件は、論理的に不可能犯罪へと飛躍したのだ!最終章に登場する“彼”の研ぎ澄まされた論理が眩く光り輝く純粋本格ミステリ。


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    推理の課程を楽しむにはいい作品だと思う。。。が、想像力のないわたしには最後断定が欲しかったなぁというちょっと不完全燃焼が残った。
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