二分割幽霊綺譚 (講談社文庫 あ 23-2)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061836938

感想・レビュー・書評

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  • 作者の ナショナリズムと妖怪に対する考へ方に、金を払ふ価値はあると思ふ。
     読後、「モグラは超音波で鳴く」(ヒミズは知らん)「知的生命体で可能性があるのは肉食獣」「ヒツジの語源説に「牧畜の対象となるもの(養獣と書いてひだしじしが訛ったヒツジ)」」と言ふのを知る。
     NHKで「若者が読む小説」でこれが紹介され、そのモグラ語表記が出て、新井素子先生がなんか言ってた気がする。
     その番組で新井素子と言ふ人を知った私は、ほかの本を買った。ので個人的にはこの本自体が何年か「第13あかねマンションがある東京で売ってる本」であった。
     今にして思へばかう言ふ関係世界は「ドアを開けたら異世界でした」と言ふものだよなぁ。

  • 帰省中に再読。『扉を開けて』と同じ第13あかねマンション(どうやら飯田橋にあるらしい)が舞台。ちょこちょこ「扉~」の登場人物たちが顔を出すけれど本筋とは無関係。

    男の子として生まれ育った斉藤礼朗(もとあき)は、13才で突然「仮性半陰陽」だったことが判明、周囲には内緒で手術をし引っ越し転校、以降は女性・斉藤礼子(のりこ)として生きてきた。稀有な人生ゆえ親しい友人も作らなかったがある日偶然、砂姫(さき)と名乗る美少女を助けた縁で彼女を同居させるはめに。実は彼女は齢300年を越える吸血鬼。

    さらに男子だった頃のガールフレンドの兄で親友だった真弓猛と再会、同じマンションに住む真弓の友人・山科善行とも親しくなるが、むかいの部屋の怪しい女・東くらこの掘った穴に落ちた礼子は、催眠暗示後くらこに殺されてシチューに煮込まれ、それを食べた真弓と山科の元へそれぞれ半分になった幽霊として出没するはめに。モグラに異常な愛情を示すくらこと異世界で巨大化したモグラたちの戦争に巻き込まれた彼らの運命やいかに。

    奇想天外なドタバタ喜劇の中に、環境破壊の問題などをさりげなく組み込むあたりが安定の新井素子。男性から女性になってしまった礼子の生き辛さ、男性女性どちらの本性も知っているがゆえの幻滅など、現代のジェンダー問題にも通じるものがあるのだけれど、そこはやはり80年代の壁か、礼子が自身の性別について肯定的になれることは良しとしても、その理由が女の子は男の子より弱いもの、頼もしい男性に守ってもらいたいもの、という落としどころになっていたのはちょっとモヤっとした。

  • NHKか東京FMか忘れますが、ラジオドラマで聴いたのが先だと思います。
    ラジオドラマが面白かったです。
    本が出ていたので買って読みました。
    ラジオドラマの声を思い出しながら読みました。

  • 第13あかねマンションつながりで続けて読む。みみずの大群って描写がうへっで、気持ち悪い。表紙も地味で、あまり思い入れのない話なんだよね。

  • 久しぶりの再読です。
    マンションがあるとされている場所がまた昔通っていた場所で。
    13あかねマンションがあればいいのになあと。

  • ライトノベルというやつだろうか?少女漫画のプロットを雑に書きだしたような、一人称で助詞や語尾が荒っぽく、主語のないような文体によって組み立てられた小説(と言っていいのかどうか?)。とにかく、その一人称語りが非常に不親切で、まずこの手の書き方に拒否反応を示す人は少なく無いだろう(ワタクシもその一人である)。
    内容の方も、お世辞にも人を楽しませるに充分と言えず、たくさんのSFネタ、テレビか本で仕入れただろうファンタジーネタ、科学ネタなどが消化不良でごっちゃと詰め込まれている。
    タイトルに有る「二分割幽霊」に関しても元ネタは小松左京か手塚治虫の、あの作品であろうというのは、それなりに本やマンガを読んできた人ならすぐにピンとくるはずである。そして、その「二分割」が全く活かされること無く終了するのである。
    結局、雑居アパートのラブコメ(少女漫画チック)という読み方をするのが最も正しいのかもしれない。なまじSFなどの知識があると、最低の評価を下さざるをえない出来である。

  • ずいぶん昔に読んだ本の再読。全くストーリーを覚えておらず、楽しく読んだ。
    キャラクターがみんなかわいらしい。

  • ヒズミって初めて。

  • いかにもこの作者らしい話。もっとこのマンションにまつわる話を書いてほしい。

  • 読みやすいけれど、あまり好きではない文体。登場人物や話の内容は個性的で面白かった。

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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