- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061846432
感想・レビュー・書評
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UKロックの1シーンを築いた偉大なミュージシャン・トリス・スカ―の自伝を執筆するため,ロンドン郊外にやってきたホーギーと相棒ルル.一癖も二癖もあるロックスターと心を通わせ,あるセンセーショナルなエピソードを聞き出す.それは,麻薬中毒で死んだ彼のバンド仲間が,実は殺害されたというもの.
ホーギーがことの真相に迫ろうと,トリスの周囲にインタビューをする中,殺人事件が起こる.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第二作『真夜中のミュージシャン』を読みました。
このシリーズは、間を置いて読むのがよさそうです。厭世的な台詞にグッとくる。
今回の相手は元ロックスター。
伝記の執筆を頼まれたホーギーは、
「ビートルズ以来、アメリカに上陸した第二の旋風」
「ローリング・ストーンズやザ・フーやアニマルズの先がけ」
ロックバンドUsのボーカル、トリス・スカーと対面する。
スカーは、死んだ元メンバーは、実は殺されたのだと話すが……。
インタビューから偽のロック史が作られていく。ロックに詳しくない私も興奮しました。
76年の全米ツアーをキューブリックが白黒のドキュメンタリー映画にした、とかね。
ただ本筋はそこそこで…。なぜ第一作をさしおいて翻訳第一弾になったのか謎です。
ところでこんな一節も。
「レストランの中にはクリス・リーブがいて、金髪のあでやかな美女と食事をしていた。
「スーパーマン・Ⅱ」のロケに来ているのだろう」
今読むと痛ましい。 -
ホーギーシリーズ2作目。ホーギーとメリリーの場面が多くて良い。あと、家政婦のパメラ最高。あ、ルルも。登場人物・キャラ・会話・店・食事・服・小物・車・音楽、全部いい。
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ホーギー&メリリーもの、いやルル(バセットハウンド犬)もの。鮭缶の好きなルルと落ち目で哀愁漂うホーギーと超売れっ子メリリーがなぜか探偵するはめに・・
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<blockquote>「卵はどういうふうにするのがお好き、ホーギー?」<br>
「他のあらゆるものに対する好みと一致しているんです」僕はコーヒーをかき混ぜた。
「ソフトボイルド(半熟)がいい」</blockquote>
デビュー作で大きな賞を受賞し、有名女優を妻とした"ホーグ"という小説家が主人公のミステリ。愛称は"ホーギー"。
しかし、彼は二作目の小説が書けず、妻とも別れてしまいます。
<br><br>そんな彼の今の仕事はゴーストライター。
<blockquote>ゴーストライターは過去といわず現在といわず、有名人の秘密を嗅ぎまわるものだ。そしてその秘密を掘り起こされたくない人物が、たいていまわりにいる。僕が持っているのはペンであってピストルではない。変な騒ぎはごめんだ。だが僕の仕事自体が、変な騒ぎを呼ぶことがある。</blockquote>
そんな彼が今回受けた仕事は、「T・S」ことトリス・スカーの自伝を書くことでした。
<br><br>T・Sはかつて伝説的ロックバンド「Us」のメインボーカリストだった男です。
<blockquote>ホーグ:僕は今までいろんな有名人に会ったけどね、幸せな子供時代を送ったやつなんて、一人もいなかったよ。
<br>スカー:幸せな子供時代なんてものはどこにもねえのさ。たまたま聞かれてるのが、俺たち有名人だってだけのことよ。</blockquote>
T・Sはかつての大スター。ホーギーにとってのスターでもありました。
金と名声を手に入れ、クスリと女のやり放題。
<br>そんな男の本音と秘密を、ホーギーは引き出そうとします。
<blockquote>「パピー・ジョンソンは誰かに殺されたのかもしれないっていうことなのか?」<br>
「殺されたのかもしれないじゃねえ、殺されたんだ」</blockquote>
事故死として扱われたかつてのバンドのメンバー。
<br>T・Sは「あいつは殺されたんだ」と告白するのですが……。
<hr>
私は海外もののミステリは苦手にしているのですが、
これはとても読みやすくて面白かったです。<br>
何より、ホーギーとT・Sの、ホーギーとメリリー(元妻)の会話が
とってもカッコいいですね。大人の駆け引きってやつでしょうか。<br>
森博嗣さんが「S&Mのシリーズではこの作品の会話を真似したかった」といっていたのも納得です。
<blockquote>「君はなんでもよく似合うよ。自分でもわかってるだろうけど」<br>
「女の子はね、好きな男性がそう言ってくれた時にしかわからないのよ」<br>
「僕、君の好きな男性?」<br>
「それがわかっていたらどんなにいいか」震えるような声だった。「本当にごめんなさい」<br>
「だめだよ」僕は彼女のあごを手の平ですくうように上へ向け、緑の瞳をのぞきこんだ。一瞬、その満々と水をたたえたような緑の輝きは、僕にすべてを忘れさせた。「あと一晩は、君は僕のものだ」<br>
いや、これからだってずっと、彼女は僕のものだ。</blockquote>
大きなトリックがあるというのではなく、
ストーリーと会話を堪能する小説って感じですね。<br>
僕はこういうの好きです。
<hr>
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