神宿る手 (講談社文庫 う 27-1)

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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061853690

感想・レビュー・書評

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  • 第二次大戦を境に、40年余りに渡って姿をくらましていた天才ピアニスト、バローが突然アルバムをリリース。その連絡を取りまとめているのが、これまた謎の女夕子。バローを日本のステージに立たせることは可能なのだろうか?

    音楽雑誌の編集員蓮見と、島村夕子を絡めるために、あれやらコレやらスキャンダルを盛り込んでいるので、ストーリーとして飽きないようには作られている。

    さらに音楽評論家だけあって、クラシックの作品に関する素晴らしい解説だけでなく、演奏手法などに関する蘊蓄を絡めたりするあたりは流石である。

    ただ、デビュー作ということもあり、トリックやネタなどに出し惜しみがないところは好感が持てるところでもあるが、ラノヴィッツを失脚させる必要があったのかどうかは疑問だ。

    また、主人公の名前でネタにするのかと思いきや、全く触らずに終わったのは、自作でまた出すんでしょうかね?

    本人もあとがきでがいているが「ミステリではない」というのは本当であろう。最後でどんでん返し?と見せかけての大団円は、ちょっと蛇足であった。

  • 作者が頑張って書いたんだな、と思った。
    ちょっと言葉の使い方が読みにくいけど、まあしょうがないか。

  •  これが書かれたのは、元号が昭和の時代なのか。
     携帯電話がなかったり世界への距離感(インターネットや国際電話で簡単に連絡がとれない)があったりと、確かにその通りなんだけれど「古い」という感じのない小説である。
     そして小説では決して聞こえないはずの音(しかも普段縁のないクラシックである)が聞こえてくるような気がするんだから面白い。

     面白かった。

  • クラシック音楽が好きな人には楽しめるストーリーだと思います。
    ミステリーと言っても殺人は一切なく、気楽な内容です。

    著者の宇神幸男さんがどれだけ音楽に精通した方かは存じませんが
    ショパン・ノクターン遺作cis-mollについての表現には驚きました。
    ......孤独が純粋結晶したような曲尾の音階の反復......
    うおぉーーっ、言葉で表すとそうなるか…。
    なんて清らかで美しいのでしょう。目からウロコでした♪

    クララ・シューマンの小品は即チェックし、早速楽譜を購入しましたよ。

    続編「消えたオーケストラ」もあるらしいので、
    機会があれば読んでみたいです。
    でもその前に、、
    ピアニスト系恋愛小説「水のゆくえ」、、このタイトルは非常に魅惑的です♪
    きっとこちらを先に読むと思います。

  • クラシックの専門的な話はほとんど分からなかったけれど、
    恋の行方も含め続編が気になる

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著者プロフィール

1952年、愛媛県宇和島市生まれ。『神宿る手』『ヴァルハラ城の悪魔』(講談社)、『水のゆくえ』(角川書店)、『シリーズ藩物語 宇和島藩』、『シリーズ藩物語 伊予吉田藩』、『幕末の女医 楠本イネ――シーボルトの家族と肖像』『宇和島伊達家の女性たち』(現代書館)などの著書がある。

「2020年 『三島由紀夫VS音楽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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