今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856271

感想・レビュー・書評

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  • アルコール依存症の小島容が、入院生活の中で出会った人たちや出来事。
    それが、アルコール依存の恐ろしさと、またその逆でアルコール依存を楽しむような雰囲気で描かれている。
    いや、酒好きにはきついかな(笑)

    2013.12.19

  • Kindle

  • 2013.10.18読了。
    今年43冊目。

    ガダラに続き中島らも。
    著者の経験を元にしたアル中のお話。

    まず笑ったのは途中で出てくるアルコール依存症のスクリーニングテスト。

    私間違いなく重篤問題飲酒群でした笑
    というか私の周り重篤な方多いはずw

    アル中で入院するところから始まったので、とっても暗い話なのかと思いきや面白すぎるやないか!
    もちろんアル中について恐ろしいことがたくさん書かれていたし、シリアスな部分もあったけれど、それにもまさる愛すべき酒呑みたち笑
    まさかの先生が酒乱w

    酒呑み以外の登場人物たちもなんか憎めない可愛さがあるし。

    読み終わってから今夜、すべてのバーでってタイトルがツボにハマったw
    なんだかとっても愛おしく感じる一冊。
    うん、読んで良かった。

    中島らも読み漁るしかないな。

  • 「俺のアルコールは、お前さ」

     アル中で入院した経験をもとに書いた、フィクションな長編小説。
    長編と言ってもあっという間にサラッと読める。
     秀逸な伏線とかドラマチックな展開とかはとくにないけれど、一文一文をゆっくりと目でなめるように読みたくなるような小説。
     なんか文体から中島らもの気分が伝わってくような気がします。

     私は中島らもに青春の一部分をガシッと掴まれたのですが、今思えばそれは彼のピュアネスもさることながら、その柔らかな語り口に心をほぐされたということもあったのかもしれません。
     どちらかというと文体が好きな小説家で、そんな風に思える小説家はそういないなと、今気づきました。

  • 人間ドックで病院に泊まりながら一気に読んだ。リアルな内容に、ゾッとするも、酒は辞められないなと思う

  • 有名な題名なので、以前から読みたいと思っていた本です。

    文庫本の裏から抜粋するとあらすじは
    ・アルコールにとりつかれた男「小島容」が行き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた長編小説

    ・感想
     アルコール中毒で無骨な主人公がなぜ中毒になったのか、また中毒になってからの荒れた生活模様などの描写が多い冒頭は不快に感じますが、読み進めると憎めない人のが主人公の小島さんです。
     入院患者達に壁を作らず交流をはかっていたり、入院中の検査をお遊び感覚で捉えて楽しんだり、はたまたいろんな話題に対して自分の意見を持っており、しっかり相手に意見を伝える姿に親しみやすさを感じます。
     主人公が中毒なのに、お酒を飲み続けたいがためにお酒について詳しいという設定であること、また作者のらもさん自身も酒乱だからか、作中にはお酒、人間、中毒、死などについて述べられていることが多いです。これが20年も前に書かれた作品にも関わらず興味深かったです。例えば、薬物接種者は犯罪者として捉えられ健康にも悪影響を及ぼすと言われているが、これはアルコールによってもたらさせる結末も同様ではないのかという指摘など、らもさんの視点が鋭くてかつわかりやすくて勉強になりました。
     他に感じたことは、天童寺さやかの言葉が冷たいにも関わらずなぜ響くのかということについて。さやかは過去に大切な信頼する人から受けた傷があるからこそ、もうこれ以上傷つきたくないという自己防衛の感情があり、そのため冷たい口調でも人の心を動かすのだと思いました。その点、今の自分は大して傷つけられたことがないので耐性がなく、少し否定されただけですぐ悲しくなり傷ついたと勘違いしていると思います。
     小島さんと担当医である赤河先生は作中こう言っています。「面白いのは大人になってからだ。ほんとに怒るのも、ほんとに笑うのも、大人にしかできないことだ。なぜなら、大人にならないと、ものごとは見えないからだ。」。作中の登場人物のストレートな物言いは私を叱咤激励してくれているように感じました。一時の些細な感情や欲に流されず、自分の意思を持って日々を楽しめる大人になりたいと思いました。

  • ものすごい一冊。なんかなんとも形容しがたい。時代を感じるものの、古びてない。うーむ

  • 私はアル中

  • アル中の主人公の鬱屈した心情を描きつつもコミカルに読めておもしろかった。

  • 折しもつい先日、デンゼルワシントン主演の「フライト」を観たばかりでしたので、アル中芸術を立て続けに味わうこととなりました。
    とは言ってもこちらは著者らもさんの、半分実話の小説。
    基本的にはコメディタッチでサクサク読めますが、終盤描かれる霊安室での飲酒シーン、そしてアルコホリック家族に関する報告書はもう最高に痺れました。まさにらもワールド!
    酒やドラッグを題材にした作品はもれなく社会派と呼ばれ、否定を唱えられることを覚悟でよくぞ世に出してくれたと一部の層に奨励されがちですが、シニカルな私の目には、そういった物語の裏にどうしても「酒やドラッグかっこいいだろ」というナルシズムを感じずにはいられない。
    ともすればこの美学に憧憬する人間が現れ、結局何の解決にもならないかもしれない、だから中途半端に語るなよ!と何様目線で言いたくなります。
    けれど本作は違う。
    勿論個人の価値観はあれど、少なくとも私は酒に怯えました笑。
    これ程伝わるのは恐ろしい程博学な著者ゆえ、特に終盤の報告書の場面はアルコールを取り上げた作品において見たこともないような展開でした。
    頭の良い人はたくさんいるし、文章のうまい人もたくさんいるだろうけど、双方を兼ね備えてプラスアルファの魅力ある人はなかなかいません。
    私の中でらもさんはそういった存在になりつつある…今更。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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