百年戦争 下 (講談社文庫 い 2-20)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856639

作品紹介・あらすじ

世界中の動物戦争に小学生を送り込んでトーナメントを繰り広げさせている黒幕は、全神連合UGOWだった。人類に代わる生物を決めようという神仏に清くんたちは神学論争を挑み、ペルシャの大魔王や宇宙人Q少年を巻き込んで世界の運命をついに決する。新聞連載後未刊行のオリジナル井上ひさしワールド。

感想・レビュー・書評

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  • 複数巻の長編を平行に読破しよう月間。ゆるゆるとでも続けないと。

    秋子くんが猫になったまま行方不明となり、人間に戻った清と良三の間で、今後の猫 vs 鼠戦争をどうするのか、そもそもなんでそんな話になったのかという方向へ。

    「ドン松五郎」方面の動物大戦争でずっと進むかと思った上巻から全く方向性の変わる下巻。話は予想もしなかった、悪魔の仲間となって、神様仏様と対決するのだ。ネタバレ?いや、このくらい書いても、上巻を読んだ人にだって、わからんでしょ?

    上巻で銀座に有った店の名前を羅列するような、枚数稼ぎ的なものは無いとは言わないが(資生堂の話とか…)、かなり減り、過去の神話や伝説、昔話のたぐいを果てしなく網羅してはこねくり回す、壮大な薀蓄話は健在。原発を作ったくらいで宇宙線が減少するとか、わけのわからん薀蓄もあるが、井上ひさしだから。

    悪魔であるドルイさんの話が異様にスケールがちっさいのは気になるが、やたらと広げた話にきれいにオチがついて、ちゃんと元の世界に戻ってくるというところは大したもんであります。

  • p.274
    とくにきみたちの国には『天皇』というものが存在している。この存在は嘘をつくときなどには便利だねえ。曰く『天皇の思召しだから戦争をしなくてはならない』、曰く『天皇の思召しだから戦争をやめて、民主国家として再出発しなければならない』……。いったいこれまで天皇の権威というやつが何十回、いや何百回担ぎ出されたことか。そうしてそのたびにたくさんの嘘がまき散らされた。

  • 「我が輩は猫である」がなんで宗教SFになる!? 「神の支配への挑戦」という、「神狩り」のような展開に唖然。 こんなくだらない方法で神に対抗できるなら、 「神狩り」の主人公は苦労しないよなぁなんて苦笑しながら、 この人を喰った感じが井上ひさしなんだなぁとしみじみ。 それにしても、ここで繰り広げられる神学論争は痛快そのもの。 「神は"集団的想像力"の産物」という認識は、 僕のソレと本当に近い。我が意を得たり。

  • 初版

  • 井上ひさしの作品のなかでは、かなり知名度が低いが、かなり面白い。神学小説としての側面があり、著者の思想がはっきりと現れている。自分の宗教思想にも影響を与えてくれた作品。
    「神仏の存在は人間の想像力に由来する」

  • 上巻に同じく。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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