高杉晋作(1)(山岡荘八歴史文庫77)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061950771

作品紹介・あらすじ

黒船をひきいて1853年、ペルリが浦賀に来航した。開国佐幕派と倒幕勤皇攘夷派に2分された国内は混乱をきわめた。そのさなか、革新を叫ぶ吉田松陰の刑死は、松下村塾(しょうかそんじゅく)の塾生たちを動揺させた。師の志をどうしたら活かせるのか?動乱の世を生きる若き志士高杉晋作は、日本国再興のため苦悶する。

感想・レビュー・書評

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  • 幕末に倒幕運動を推し進めた高杉晋作。松下村塾四天王と呼ばれていたが、吉田松陰さえも扱えないほどの暴れ馬だったとは知らなかった。
    黒船が日本に着いてから、日本が侵略されない強い国となるために命をかけた人物。ここから展開していく物語がとても楽しみ。


  • メモ
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    周布政之助が、高杉晋作に宛てた言葉。
    「つねに大局を見るの明も必要ながら、その局面、局面の狙いが何であるかを鋭く洞察してゆく洞察力も、大事をなすには欠くべからざるものなのだ。」

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    水戸の加藤有鄰が高杉晋作に宛てた言葉
    「新しい世を開くほどのものは、第一に詩人でなければなりません。」
    「第二に、無頼でござるぞ」
    「第三に、新しい世を開くほどの人物は、至誠の人でなければならぬ。おわかりかな」

    続けて

    「人間は心の中に、八、九分までの無頼の賊を棲まわせている。したがって無頼を咎める立場に立つと、人間の八、九分までを敵に廻さなければならなくなる。無頼を無頼のまま抱きとって時勢の大河に流してやる…その力と愛情の出所がつまりは至誠なのじゃ」

    「古来、偉人英雄と言われるほどの者は、みなこの無頼さと至誠の花で支えてきた人々じゃ。至誠の支えがあると奇行はそのまま奇略と化し、失敗はそのまま人気のもとともなる。ところが、至誠の花が添えてなければ無頼はただの道徳破壊、これでははた迷惑、近所迷惑じゃ」

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    趙州の佐久間象間が高杉に宛てた言葉
    「人間などは、明日ありと思うが間違い。まして、君のような倣岸な男は何時誰に斬られるかわかるまい。要は百年の計を胸に描いて、今日一日を如何にそれに適合した生き方で生かしきってゆくかにかかっている。」

    高杉晋作
    「これは陽明学の訓えであると同時に松陰先生の精神だ。先生は蜜柑畠の草むしりや、屋根ふきや、米搗きの間に学問をさせたじゃないか。机上の空論は力にはならん。ほんとうの勉学はそのボロ船で渡っていって、未知のところで苦労してみることにあるのだ。」


    アメリカの選挙制について

    バカな人間も賢い人間も入札の場合の権利は同じ一票といいことに納得できない晋作

    晋作
    「バカな人間の多い時にはバカな大統領が出てくるのでは?」

    チャールス
    「そんなことはない。個々には愚かに見えても、その総意は決して無視出来ない。人間はすべて神によって作られた平等なものなのだ」

    晋作
    「おれはそうは思わん。人間は神によって、それぞれの能力差をつけられて生まれてきた不平等なものなのだ。その不平等なものに、それぞれ平等な幸福感を与えてゆく、これが名君と言われるものの政治だろう。だいいち神様が平等に生んでくれたのなら、そのまま放っておくのがいちばんよい政治ということになるではないか」

    チャールス
    「それは、もう古い考え方だ。神は常に平等なのだ。それなのに、人間はさまざまな階級や貧富の差をつけて、いかにも不平等な社会に歪めてしまっている」

    晋作
    「ぜんぜん納得できない。人間は生まれながらにして能力の差をつけられている。この差が神仏のご意志なのだ。ただ能力の差はあっても、ひとしく仏性を持っているという或る一点だけで平等なのだ。」

    「この一点だけを見て、人間が能力においても平等だなどと考えるのはまちがいである。
    したがって、国中にバカ者が多い時には、必ずバカな大統領が出てくるに違いない。」

    チャールス
    「いや、そのおそれは全くない。人間は自分が愚かであればあるほど、賢いものに憧れる習性も持っている。」

    晋作
    「いよいよ否である。愚かな人間に賢愚の差がどうしてわかるか。したがって、バカな民衆の人気取りのうまいものが、あるいは偽善家、詐欺師の親玉などが選び出されてくるであろう。」




    晋作
    「物事に躓きは付き物だ。ただ躓いたからと言って落胆せぬこと。直ちに次の策を立てて進むばかりだ。」


    晋作
    こうした奇矯な晋作の行為を、子供のようだと思う人があるかもしれない。しかし、これが晋作の真面目なのだ。
    誰もやれないものと思い込んでいるところに道をつけて見せてやる。道をつけられると、初めて人々は自分たちが、意味もない習慣に金縛りになっていたことに気付いていくのだ。


    晋作
    松陰先生が外国の軍艦に乗りこもうとしたのは、失敗しても世の中の一大警鐘になるであろうと計算されていたのだ
    事の成否よりも、打鳴らす警鐘に意義があったのだ。

  • 信長さんと並び、晋作さん面白すぎ。
    先見、戦略、度胸、勇気が欲しい。

  • 幕末の志士として坂本龍馬がクローズアップされることが多いが、やはり一番やんちゃで人を惹き付けるのは高杉晋作です。様々な作家が書いた高杉晋作の中でこの作品は秀逸です。これを読み終えたら歴史上の人物で一番好きな人は?と聞かれたら高杉晋作‼️と答えると思います(笑)

  • 高杉が好きで読み始めた。
    暴れ馬と言われる高杉であるが、師である松蔭や理解ある周布や桂により強かさなども備えていく。もともと頭脳明晰であり、欠点である頑固さも改善していく過程が面白い。

  • 最終巻へ

  • 松蔭が刑死をきっかけとして目覚めた晋作。晋作の本格的な活動は次巻以降に。

  • とても難しい。
    時代背景に慣れるまでに時間がかかりますが
    日本人なら読んでおきたい本だと思います。
    熱い男の生き様が素敵です。

  • 山岡版高杉晋作は、晋作の破天荒さは健在だが、すごく考えている晋作が描かれている。この前に、司馬版を読んだが、こちらのほうが安心できる内容だと思う。やはり一国を束ねる人間になった日どの人物はこうあって欲しい。
    その反面、吉田松陰については、時代に乗り遅れているよううに表現されている。こういう考えもあるのかと思わされた。
    この後が、楽しみ!

  • 全三巻。

    最初は全くと言っていいほど、高杉晋作が登場しない。
    当時の時代背景、師である吉田松陰等のことに長く触れていて、高杉晋作を求めて読む歴史小説初心者さんには読み進めるのが辛いかもしれません。(私はこれが手に取った最初の歴史小説だったので、苦労しました(笑))
    話の本筋が高杉晋作のことになってからは、勢いよく読めます。
    途中は本当にいきいきとした高杉晋作が書かれていて、とても好きです。

    ただやはり、高杉晋作の人生を書ききって欲しかったです。ここまできて割愛!?と言いたくなります。

    最期の時へ向けての描写は、数ある高杉晋作小説の中でも一番好きかもしれません。

    三冊におさめるには無理があった作品ですが、間違いなく好きな歴史小説の一つです。

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著者プロフィール

明治四十年(1907年)新潟県に生まれる。十四歳で上京し、博文館印刷所に文選工として働く。長谷川伸に師事、山岡荘八の筆名を用いる。昭和二十五年(1950年)より、北海道新聞に『徳川家康』を連載開始。昭和二十八年(1953年)単行本の刊行が始まり、ベストセラーとなる、『徳川家康』により、第二回吉川英治文学賞を受賞。以後、歴史小説を中心に創作する。昭和五十三年(1978年)七十一歳で亡くなる。

「2023年 『水戸黄門 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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