宮本武蔵(八) (吉川英治歴史時代文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061965218

感想・レビュー・書評

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  • 長き物語の終わり、武蔵と小次郎の決戦。二人を取り巻き戦いの行方を見つめる人はただ自分があるべきところにおさまり、二人の長く太く剣とこころが紡いだ因縁の糸は、プツと断ち切れるようにただ静謐であっさりと終わる。宇宙の真理、武蔵が垣間見た天と人と剣を包む円明の理は、この一瞬の閃光の果てただ完全に公平で広い青空と大海の間に余韻を残して消えて行った。

  • 宮本武蔵第8段。 ついに、天の時来たり。 なんという両雄。長き旅路の果てに、物語は完結する。多くの人々の思いを受け、試合に臨む二人。希代の達人でありながら、心では苦悩する二つの命。それはあまりにも人間らしい。 天の時。地の利。人の和。勝者は、最後に時を得たか。 「鞘は、汝の天命を投げ捨てた」

  • 試合前、武蔵が伊織に対してかける言葉が深く心に残る。「ひとたびお世話になった方のご恩を忘れないこと、武道だけでなく学問にも励み、謙虚に、人の避けることも進んでやること。肉親がいないため僻みやすくなるが、温かい人の中にすめ。人の温かさは、自分の心が温かくなければわからない。長い生涯があるが命は惜しめ。事ある時、国・武士道のため、捨てるために命を惜しめ。」
    美しい師弟関係が人を育てるのだと改めて思う。

    天稟の才能である小次郎の剣と努力で築いた武蔵の剣。最後は、武蔵の信じた精神の剣が小次郎の信じた技や力の剣を打ち勝ち、幕を閉じた。

  • 「『武蔵様も凡質とは思われませんが』
     『いや決して、天稟の才質ではありますまい。その才分を自ら恃んでいる風がない。あの人は、自分の凡質を知っているから、絶えまなく、研こうとしている。人に見えない苦しみをしている。それが、何かの時、しょう然と光って出ると、人はすぐ天稟の才能だという。――勉めない人が自ららん惰をなぐさめてそういうのですよ』」


    一人の人間のすさまじいまでの人間としての成長、道を求める苦難。それを続け抜いた生き方に感動します。三国志同様、一気に読んでしまいました。
    しかも、話としても非常に面白く、最後に向かいすべての人間が収束していきます。見事でした。本って面白いなぁと改めて思います。

  • クライマックスはあっけない気がしたけど、まあいい終わり方だったのではないかと思う。

  • ようやく全巻読了。
    この巻の感想。クロージングにある程度強引さがあったのが残念。8巻も書いたんだがら、最後がっつり盛り上げて欲しかったが。小次郎との試合は一乗寺下り松のところみたいに書いて欲しかった。サラッと終わってしまった。
    全体としての感想。前半(一乗寺下り松のところ?)で終わる予定だったのが好評だったんで、後半も書かれたんだとか?結果的に冗長だったと思うが、前半は何しろ面白かった。痛快で気持ちよかったし、哲学的でもあった。それでいて政治的じゃなくて、時代背景を理解してなくても楽しめたから、自分に合ったのかもしれない。今後好きな本はと問われたら、吉川英治の宮本武蔵、と言うかも。

  • 全八巻の旅を完了。宮本武蔵をもっと知りたくなる良書であったと思います。全体を通して7巻の沢庵宗彭の言葉が記憶によく残った。この沢庵さん、沢庵漬けの考案者っぽい。

  • 巌流島への宮本武蔵を知る。
    剣の道の面白さ。

  • 『宮本武蔵』では多くの決闘や多彩な登場人物との関わりが書かれています。良かれ悪かれ登場人物の「信念」に触れる中で、武蔵は人間性を磨いていきます。有名な佐々木小次郎との決闘も、勝敗を分けたのは「技や力の剣か精神の剣の差」と著者は綴っています。『宮本武蔵』は人間の成長の物語です。

  • 武蔵と小次郎の決着
    綺麗な終わり方だな、と思った
    技術的なことはほとんど省かれて、精神だけが強調されている

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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