舗石の思想 (講談社文芸文庫 あD 2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061983069

作品紹介・あらすじ

石ころの存在を自らの「生存の原基」として団地居住者となった著者が、少年時に戦争から学んだ「生の綱領」をハカリにして、団地という場所から行なった定点観測。結婚、家庭、生活、社会等、そこに見えてくる戦後の「新しい生のスタイル」に「虚偽」の匂いを感じとる。目前の現実と自身の「生の綱領」との対峙のなかで、「私とは何か」を徹底究明した代表的長篇エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • ―2003年4月―

  • 再読。秋山駿の文章には、石原吉郎と同じく『日本の名随筆 96 運』で出会った。読み終えた瞬間、頬を平手打ちされ、叩き起こされるような痛みを感覚した。収録されていたエッセイ『簡単な死』には、彼は死への恐怖と不安を、「生に刺激を与える微量の劇薬」のように使用しているとあったが、わたしは彼の言葉を、生に刺激を与える微量の劇薬のように服用している。
    関係性の中でしか名付け得ない「何者か」からの脱却。個/孤として自己を合理的に突き詰めていくときに露になる空虚。圧倒的密度の空虚が、おまえは本当に生きているのか、と問う。

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著者プロフィール

1930年東京生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。文芸評論家。60年に評論「小林秀雄」で第3回群像新人文学賞受賞。90年に『人生の検証』で第1回伊藤整賞を、96年に『信長』で第49野間文芸賞と第50回毎日出版文化賞を、2003年に『神経と夢想 私の「罪と罰」』で和辻哲郎文化賞を受賞。著書『舗石の思想』『知られざる炎』『内部の人間の犯罪』(ともに講談社文芸文庫)、『歩行者の夢想』(學藝書林)、『内的な理由』(構想社)、『信長 秀吉 家康』(廣済堂出版)、『信長と日本人』(飛鳥新社)、『忠臣蔵』(新潮社)ほか。

「2014年 『「死」を前に書く、ということ 「生」の日ばかり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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