卒業: 雪月花殺人ゲーム

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062027281

感想・レビュー・書評

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  • 初期作品ってことで、まあトリックが理系全開だな〜って思いました
    時代も感じながら読んでた
    加賀恭一郎はやっぱりよい男

  • 「東野圭吾」の初期の長篇ミステリー『卒業-雪月花殺人ゲーム』を読みました。

    『怪笑小説』、『毒笑小説』、『黒笑小説』と連続して「東野圭吾」の短篇集を読んでいたので、久しぶりに長篇を読みたくなったんですよね。

    -----story-------------
    大学4年の秋。
    就職、恋愛に楽しく忙しい仲よし7人組・その中の一人、「祥子」がアパートの自室で死んだ。
    部屋は密室。
    自殺か、他殺か!?
    残された赤い日記帳を手掛りに、死の謎を追及する友人たち。
    だが、第二の全く異常な事件が起って…。
    錯綜する謎に挑戦する、心やさしき大学生「加賀恭一郎」。
    卓抜な着想と緊密な構成で、現代学生のフィーリングを見事に描いた、長篇ミステリーの傑作。
    -----------------------

    乱歩賞を受賞した『放課後』で鮮烈なデビューを果たした「東野圭吾」の第2弾作品。

    最近の作品に比べると完成度は低い感じを受けましたが、、、
    その分、瑞々しさが感じさせられ、ミステリー作品というよりも青春群像として楽しめました。

    『赤い指』等、最近の作品で警察官として活躍を続ける「加賀恭一郎」の初登場作品(本作では大学生)なので、そういう意味でもファン必見の作品ですね。

    本作品でのトリックは二つ。

    ある鍵を使った密室トリックの方は、解りやすく、まぁ納得の内容でしたが、、、
    雪月花式カードを使った毒殺トリックの方は、かなり複雑で理解し難く読むのに疲れちゃいましたね。

    図解を見ながら、なんとか理解できるレベルだったので、もう少し易しくして欲しいなぁ… と思いました。
    (読み飛ばす方も多いのでは… )


    物語の方は、卒業を間近に控えた仲良し7人組+高校時代の恩師の8人を中心に展開し、主に「加賀恭一郎」と「相原沙都子」の視点から描かれています。

    親友で、何でも知っていると思っていた仲間同士が殺人(自殺?)事件を機に、、、
    仲間に言えない悩みを持っていたり、仲間を裏切る行為をしていたり、恨みを持っていたりしたことが、徐々に発覚します。

    これって、現実にもあることなんですよねぇ。
    お互いを良く知っていると思っても、所詮、知っている部分なんて、その人のほんの一部でしかないんですから。

    「藤堂正彦」と「牧村祥子」、「若生勇」と「井沢華江」の二組のカップルに生じた出来事を発端に、仲間やカップルの中で憎しみや殺意が生じ、それが、やがて二つの殺人事件(自殺)に繋がります。

    真相を探ることが仲間を裏切る行為になりかねないことに悩みながら「加賀恭一郎」と「相原沙都子」が推理を進めるところが、青春モノっぽくて良かったですね。

    そして、「加賀恭一郎」は遂にある仮説に辿りつく、、、

    「加賀恭一郎」の推理は完璧じゃなく、真実とは異なる部分もあるんだけど、犯人の独白や会話から、読者には真相が知らされる構成になっています。

    自分の幸福のために友人を犠牲にすることについて、色々と考えさせらる作品でした。

  • 大学4年生の加賀恭一郎の物語。友人がアパートの自室で死亡した。友人の死の真相を調べていると、別の友人が茶会で死亡した。茶道の雪月花之式を利用した殺人事件なのか。
    大学生時代が描かれることでキャラクターに深みが増す。大学生には高校までとも社会人とも異なる自由があるためである。高校までは管理されているし、社会人になると組織に縛られることが多くなる。自由の中で人の本質が出る。大学生の自由さに溺れて中退する学生も出る。大学を卒業することは自律できていることになる。
    加賀は「高級レストランより大衆食堂のほうが性に合っているんでね」と言う(88頁)。これは『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーと共通する。「格式の高いレストランだとかえって窮屈で食事が咽喉をとおりません」(田中芳樹『銀河英雄伝説外伝4 螺旋迷宮(スパイラル・ラビリンス)』)。価格の高さをありがたがらず、コスパを重視する堅実な消費者感覚がある。
    警察官の人相の悪さが描写される。「こちらはいかにも内容が薄そうな男だ。年齢は三十前といったところだろうか、目つきの悪いことが刑事の条件だと考えているかのようだ」(176頁)。シャーロック・ホームズら推理小説の定番はアマチュア探偵の活躍である。それは警察の無能の裏返しである。アマチュア探偵の設定が受ける背景には、強きを助け弱きをくじくような警察の無能を現実に十分に感じているためだろう。
    「推理の方向としてはこれしかないと俺は思うんだ。と言うより、とにかくひとつの方向を決めてかからないと何も進んでいかない」(260頁)。これは見込み捜査で冤罪を作る日本の警察の発想そのものである。加賀恭一郎は自白強要をしない点が異なる。

  • 加賀恭一郎シリーズ第1作。雪月花のルールが今ひとつ飲み込めない私の頭の悪さのせいで、深く納得できないところはあるが、流石にプロットの回収は見事。特に茶道の先生の役割がなかなか。相手を思いやる気持ちがこじれる結果になるところが切ない。しかしこのタイトルをつけた付けた作者なのか編集者なのかのセンスの無さはどうかと思う。

  • 悲しいんだけどでも読んでほしい一冊。
    悲しくて、救いのない終わりな感じは好みではないけど、この話忘れないだろうな~と思った。
    雪月花のくだりは図解されてて理解するのがちょっと面倒だけど、
    事件の背景がひとつではないところが面白かった。

    加賀恭一郎が出てくる話は他で先に読んでしまったけど、この本で好きになりました。

  • 謎解きからおもしろかった。
    友達も仲間も恋人も所詮他人でしかない、
    知ってるつもりで知らないし、
    結局自分が一番大切。

  • 突然、加賀恭一郎シリーズを読んでみようと思った。まだまだ東野さんの本は読んでないものが多いし。

    なんとも悲しいお話だった。
    ずっと仲間だと思っていた中で、被害者・加害者が出てしまうなんて。
    いろいろ疑っていかなきゃいけない苦悩。

    茶道はまったくだし、雪月花の解説されてもまったく頭に入らず流し読み。

    馴染みのカフェがあるっていうのはいいものだ。

  •  藤堂とその彼女の祥子、沙都子、波香、若生とその彼女の華江は学生時代の加賀恭介の仲間であった。
    祥子が自殺、まだ息があったが見過ごした藤堂、それを知っていた同じアパートの波香。藤堂はお茶会の
    中で波香を毒殺。
     加賀恭介がそれらのトリックを暴き、事件解決。

  • 東野圭吾作品をいろいろと読み、あらためて「加賀恭一郎」シリーズを最初から読んでみようと思って読みました。
    トリックのところ、面倒で読み飛ばしてしまった。おバカだから仕方ない。

  • 加賀恭一郎シリーズ1作目。
    30年前の作品ということもあって、一昔前の大学生の感じです。今の大学生が読んでも感情移入しにくいかもしれません。
    とはいえ、学生時代に人がぶつかる悩みや感情は普遍的なものだなと思いました。特に大学生って、中学や高校とは違う独特な人間関係ですよね。主人公達は高校時代からの知り合いという設定ではあるんですが、卒業後はどんな関係になったんでしょうか。

    雪月花のトリックはややこしかったですね。
    アパートの入り方のトリックは、東野さんらしいなと感じました。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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