眠れる遺伝子進化論

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062061957

作品紹介・あらすじ

「適者生存・自然淘汰」の固定観念を覆す複雑系の生き残り戦略。私たちはどこから来て、どこへ行くのか。ダーウィン進化論をひっくり返し、人間の生き方・社会のあり方に知の変革をもたらす「競争的共存説」の衝撃。

感想・レビュー・書評

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  • かつて生態学者の今西錦司がネイチャーで発表した
    進化のメカニズムとして「種は別れるべくして別れる」
    と述べたそうだが
    残念ながら観察以外の具体的な証拠を示すことができず
    欧米のネオダーウィニストたちの利害に弾き飛ばされた

    その共生することによる「棲み分け論」をも納得させる
    実験による共生関係にある生命の証拠を示しているのが
    四方さんの仕事でありこの本の内容である

    大腸菌を使った何世代にも渡る実験で
    弱肉強食論や突然変異による最適化論や自然淘汰論や
    適者生存論など主観的な「なぜ?」と
    競争原理社会に都合の良い初めに答有りきの議論が多い中
    客観的に「どのようにして?」と問う科学の原点に戻って
    研究した結果相互作用による変化を突き止め
    四方が「競争的共存」と呼ぶ多様性による共生関係を示し
    効率化による勝ち残り説の矛盾をいくつか上げるなら
    わかりやすい後付による説明であり
    最適だと権威付けた途端に肝心な進化を
    止めてしまう皮肉な事になってしまう
    つまり普遍的な説明になっていない

    コレに対して四方は「複雑化による負けない生き残りが」
    大方の自然界の姿だと言う

    残念ながら題名に魅力を感じなかったので
    半信半疑で読み出してみるまでは
    これほど面白いとは思えなかった
    題名が内容を的確に表していないように思う

    競争原理による
    弱肉強食社会を推進するために都合のいい
    ダーウィンの進化論が示す対立する「自然淘汰論」に対して

    その矛盾を実験データーによって突き崩し
    私達の住むこの自然界を
    相互作用による多様な「共生的環境」だと証明した

    相互作用はそれぞれに役割分担を生み出し
    その組織が大きくなると分担が複雑化して
    安定(無限性)に向かう
    それを部分的に見ると非効率を意味する
    ここで言う非効率はゆとりの有り過ぎるDNAや脳
    更にはややこしいオスメスの分離にも通じ
    一見無駄を孕んだ環境にも見えるが
    急がば回れという全体観から見れば合理的なのだろう

  • 四方哲也は、ダーウィンの進化論の本質をつかんでいないような気もする。
    ダーウィンは、『自然選択説』と言っていた。
    自然選択という言葉は、神が選択したとおもわせるダーウィンの配慮。
    自然選択は、自然淘汰に近い言葉となっている。
    ダーウィンは、ハーバードスペンサーの適者生存という言葉を、1872年に採用した。
    しかし、『生き残ったものが適者』というのは、環境に適したからという根拠は、
    あげにくいはずである。どうも、結果論とも言える。
    適者生存に対応するのが、『不敵者不生存』

    ラマルクの『使用する器官は発達し、そうでない器官は、発達しない。』
    用不用説。

    「適者=強者」と解されたり「弱肉強食」と言い換えられることもあるが、環境にもっとも適応した結果の適者なのであるので、「強い弱い」の価値尺度は意味がない。捕食者が「強」で被捕食者が「弱」であるという解釈も成り立たない。
    生存競争ということであるなら、「勝った負けた」という発想もない。
    人間が、生き残っているので、選ばれしものという選民主義になりそう。

    四方哲也はいう
    『科学はどのようにしてを知るものであって、なぜに答えるものではない。』

    なぜ?
    キリンの首はなぜ長いのか?
    高いところにある木の葉を食べようとした。(目的的)
    自然選択の結果 キリンの首の長いものが残った。(因果関係)

    さて、四方哲也の研究テーマを見てみよう。
    『ある環境の中に生物がいると、その生物が生活することによってその環境も動かされる。すると他の生物から見た場合には、環境は動かないものではなく、いくらでも変化するものとなる。さらにこの逆の関係もあって、自分が変えた環境のために他の生物の生活状況が変わり、それによって環境が変わる。』

    別に、何の珍しいことでもないことだが、
    それが、ダーウィンの進化論とどう違うのだろうか?
    相互作用を認めていなかったというのだろうか?
    ちがうねぇ。
    これで、ダーウィンを超えたと思っているのが、情けない。

    四方哲也はいう
    『同じ種どうしの生存競争に%E

  • ドーキンスも「拡張された表現形」みたいな感じで他個体や他種への影響を書いてたような気がするけどそれとは違う話になるんだろうか

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