- Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062101691
作品紹介・あらすじ
「ここに三月以外に入ってくる者があれば、そいつがこの学校を破滅に導くだろう」-湿原の真中に建つ全寮制の学園に、二月の終わりの日に転入してきた水野理瀬。彼女を迎えたのは、様々なしきたりや、奇妙な風習が存在する不思議な学校だった。彼女と学校生活を共にする仲間、「ファミリー」もそれぞれに謎を抱えていた。功は、閉ざされたコンサート会場の中から失踪し、麗子は、湿原に囲まれて外に逃げ出せないはずの学園から消えうせていた。残りのメンバーは、麗子はすでに死んでいるのではないか、と校長につめよる。それに対し、校長が提案したのは、麗子の霊を呼び出す交霊会の実施だった。その場で理瀬に奇怪な現象が襲う。「三月の学園」での奇妙な学園生活を送る理瀬の隠された秘密とは。
感想・レビュー・書評
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読み応えがありました!もうこのひと言に尽きます!恩田陸さんの作品は「蜜蜂と遠雷」「祝祭と予感」に次ぐ3作目です。この不思議で独特な世界観にハマり込んでしまいました。
主人公は水野理瀬、14歳の少女、湿原の真ん中に位置する全寮制の学園に2月の終わりに転入…この学園は3月以外の転入生は破滅をもたらすとの謂れがある…。理瀬が転入後、生徒が巻き込まれる不自然な事故が過去にあったことがわかり、またその後も奇妙なことが相次ぎ、理瀬の抱える事情も明らかになるが…。
序盤と終盤では、理瀬がまるっきり別人かと思えるほどの展開で目が離せませんでした。『三月は深き紅の淵を』を先に読めばよかったのかともちょっと思いましたが、近いうちに読んでみようと、楽しみが増えました(^^)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
蜜蜂と遠雷を読んで感銘を受け、恩田陸さんの作品をもっと読んでみたいと思いセレクト。
学園ミステリー&ホラー?
理瀬の印象が終章で一気に変わり、理解が追い付かなかった。
よく分からないところもあり読み返したいが、躊躇う気持ちも。最後の黎二のくだりが切ない。 -
SL 2022.6.10-2022.6.13
現実離れした少女趣味のようなお話。
この世界観にどっぷりはまれたならもっと楽しかったのにと思う。 -
これは、めちゃくちゃ面白かった!!!
引き込まれる文体とストーリーの結末が凄く良い! -
先に「三月は深き紅の淵」を読んでいたことと、序章とあわせて混乱もありましたが、1日で一気読みしました。途中で止められず、読んだ後はグッタリでした。
閉じられた学校の中で非現実を感じさせる世界観は、本当にアリスの世界みたい。
主人公である理瀨も今までにない主人公てすね。
もう一度読みたい作品です。 -
設定に無理が・・・
お話もイマイチ
乗り切らないまま終わってしまった -
北国の湿原に囲まれた全寮制の学校。主人公理瀬は2月にこの学校にやってきたのだが、この季節での転校は極めてまれなのだという…
最初から不気味で、こんな学校に閉じ込められたらやってられない、と思っていたら案の定次々と事件が起こり、心もざわざわしてきた。主人公のいきさつが曖昧なので余計に不安になる。著者はそうした読者の心の隙がよくわかっている。
しかしそんな中で図書館や蔵書、さらに中庭の描写には心が躍った。高級感漂う建物と充実した書架が目に浮かぶ。
ラストはまさかの流れとなった。生まれながらに特異な人生を歩まざるを得ない人々の集団に恐れおののいている。 -
『麦の海に沈む果実』
わたしが少女であったころ、
わたしたちは灰色の海に浮かぶ果実だった。
わたしが少年であったころ、
わたしたちは幕間のような暗い波間に声もなく漂っていた。
開かれた窓には、雲と地平線のあいだのはしごを登っていくわたしたちが見える。
麦の海に溺れるわたしたちの魂が。
海より帰りて船人は、
再び陸で時の花びらに沈む。
海より帰りて船人は、
再び宙で時の花びらを散らす。
三月から始まる三月の王国へ、二月の終わりに転校生がやってきた。
破滅をもたらす「二月の転校生の伝説」に戸惑う彼女の名前は、理瀬。
「この三月の国の趣旨に添わない生徒は、いつのまにかいなくなる」
王国の王である校長の「お茶会」に、ファミリーの憂理、黎二、聖と共に招かれた理瀬は
かつてのファミリー・麗子の生死を確かめるため降霊術を行う。
学園の諸所に現れる麗子の影。そして次々と起きる"不慮の死亡事故"に、
天使のような容貌を持つヨハンとファミリー達は校長への不信感を募らせる。
王国での様々な出来事に心を塞ぎこんだ理瀬は、ハロウィンパーティの最中
校長から「黒い紅茶」を受け取る。
はあ。早くも終わってしまった!
レビューを残すにあたり何もかもを省きたくない、エレガントな小説でした。
幻想的な世界を脳内に描画させてくれる点において、恩田陸は
稀代の作家なのではないかと思わせてくれる作品。
既視感の描写ってあまり好きじゃないんだけど
(ほらほら気になるだろ?伏線ですよー☆彡って感じがして)
これは気にならなかった。鮮やかに締めてくれた。
理瀬も、脇を固めるファミリー達もそれぞれいい味を出していて
みんな愛おしい。
学園のイメージもモンサンミッシェルを想起させるようで好き。
ネクロポリスといい恩田さんはモンサンミッシェルの雰囲気好きなんじゃないか。
結論として、当然のように長くなるブックレビュー。名作です。
師走に良い本に出会えて良かった。
「『三月は深き紅の淵を』というのよ。赤い表紙で、ちょっと小さめのサイズ。作者名は書かれていないわ」
「―思い出したんだね?」
「ええ、パパ。何もかも」
指の隙間から、灰色の湿原に、水色の花吹雪が散ってゆく。 -
2月の終わりの転校生、理瀬。
学園に潜む影、彼女が失った記憶、消える生徒の謎。
彼女がこの学園にきた理由とは。