父は信長

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 18
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062122115

作品紹介・あらすじ

新視点の"信長小説"。トルコ学者が鮮やかに描く、乱世の父と子。信長の胸奥に肉迫する、信忠の痛切な想い!新視点から描く信長と信忠。

感想・レビュー・書評

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  • 織田信長の嫡男で、織田家の家督を信長から引き継いでいた「信忠」を主人公とした歴史小説です。この本を読むまでの織田信忠に関する知識は、本能寺の変の日に明智光秀軍に殺されたという程度でした。

    この本では、信忠が本人の父である信長の命令により、多くの戦いにプレッシャーを受けながら総大将として働いてきたこと、自分の父の考えていることを理解するために、勉学に励んでいたことも記されています。

    早すぎた死のために活躍することができなかった信忠の姿が、この本を通して少し理解できた気がしました。

    以下は気になったポイントです。

    ・五徳は、信忠にとって二つ年下の、本当によく気の合う弟であった。同じ母から生まれていた(p39)

    ・大納言兼任で、右近衛大将の官職を得た信長は、部門の誉れと言われる「秋田城介」の職を信忠が得たことに喜び、「城之介」と呼ぶようになった(p53)

    ・信長を脅かしていた武田家を最終的に滅ぼしたのは、ほかならぬ信忠であった(p58)

    ・武田の旧領は、甲斐・信濃・駿河・上野の4か国であった、甲斐は河尻秀隆、上野を滝川一益、信濃は幾人かの家臣、駿河は徳川に与えられた(p66)

    ・松永久秀は、管領細川晴元の家老、三好長慶の家臣だったにもかかわらず、13代将軍足利義輝を攻め殺して、畿内の支配者に成り上がった(p111)

    ・信貴山に立て籠もった松永久秀を、信忠は父から4万の大軍を預かり、総大将として敵に当たった(p112)

    ・信長は、太政大臣、関白、征夷大将軍のいずれも明快な回答をせず、4年前に正二位の位階はそのまま、右大臣の官職を辞していた(p178)

    ・高松城の救援に対して、明智光秀に、細川・中川・高山らの寄騎を伴って先発することを命じた(p203)

    ・朝廷は、いつでも京に入ってくる勝者に官位を与えるだけ(p242)

    ・信長の宗教に対する考え方は、どんな仏もデウスも自由に信じさせようとしているが、他人が信じていているものをあげつらったり、政に口を出したりすることは許さない(p250)

    ・暦の策定は、朝廷の専権事項であったが、信長はこの年、天正10年の12月の後に閏月をいれることを申し入れた(p253)

    ・信忠の旗本には、22年前に、桶狭間で今川義元の首級を上げた、毛利新左衛門もいた(p269)

    2015年5月14日作成

  • 織田信長の嫡男である織田信忠についてのお話です。
    父信長の考えが理解できず、葛藤する中、徐々に成長し、最後、二条御所で討死するまでが描かれています。

    この本は信忠を中心に書いていますが、幼馴染である鎌田新介や徳川家康の嫡男である信康、そしてその信康の妻であり信忠の妹である五徳などもよく出てきます。

    多少、歴史的事実と違う点もありますが、作者も述べているように、信忠に対する思い入れで書いている部分もあるので、読んでいて、あまり気にならなかったです。

    ↓ ブログにも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_c128.html

  • 信長の嫡男、信忠が中心。側近の新介、妹の五徳らと、大きくまたそれゆえに理解できぬ父の姿に苦悩していますが、清々しい印象の信忠です。
    信忠は優秀な人物だったようですし、最近は良い意味で再評価されてきていて嬉しいので、いろんな作家さんが注目して欲しい人物です。

  • 嫡男・信忠の話。

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著者プロフィール

1953年、東京に生まれる。東京大学大学院東洋史専攻博士課程単位取得退学。大阪市立大学文学部助教授、東海大学文学部助教授、東京外国語大学外国語学部教授などを歴任。東京外国語大学名誉教授。トルコ歴史協会名誉会員。専攻はオスマン帝国史、トルコ近代史。著書にTurkish Nationalism in the Young Turk Era (Leiden: E.J.Brill, 1992; Tansel Demirel訳、Jon Turk Donemi Turk Milliyetciligi. Istanbul: Iletisim, 1994)、『トルコ近現代史――イスラム国家から国民国家へ』(みすず書房、2001)、『オスマン帝国はなぜ崩壊したのか』(青土社、2009)、『憲法誕生――明治日本とオスマン帝国 二つの近代』(河出書房新社、2015)ほか。訳書に、ジェム・ベハール『トルコ音楽にみる伝統と近代』(東海大学出版会、1994)、監訳書 に、M・シュクリュ・ハーニオール『文明史から見たトルコ革命――アタテュルクの知的形成』(みすず書房、2020)ほか。

「2021年 『オスマンvs.ヨーロッパ 〈トルコの脅威〉とは何だったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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