進化の運命-孤独な宇宙の必然としての人間

  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (730ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062131179

作品紹介・あらすじ

人間はたまたま生まれたのか?生命は必ず"知性"にたどりつく!カンブリア紀生物研究の世界的権威が天文学から分子生物学、考古学まであらゆる知見を渉猟して明かす進化の本質。

感想・レビュー・書評

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  • カンブリアの生物研究で著名なサイモン・コンウェイ・モリスの本は、「進化の運命」というタイトルから、生物の収斂現象に着目し、生物の進化のランダム性の考え方に反論します。

    生物の進化の歴史がメインかと思いきや、最新のDNA研究や宇宙物理、そして地球の惑星物理にも言及します。そしてこれらの条件から、地球の環境が生存共存にとっていかに「制約の多い」環境であったか、その中で何世代も生き残れる種に必要な条件はおのずと限られてくる、という論点で「収斂」が説明されます。そして近年生物進化を説明する上で重要なファクターとして扱われている眼をはじめとした感覚器官についての説明も忘れられていません。

    この本の中ではスティーブ・J・グールドが唱えた進化のランダム性、つまり「カンブリア紀以前に地球の歴史を巻き戻し、その後再生しても同じ環境は再現されない」という意見ははっきりと否定されます。さらには地球外に知的生物が存在する可能性についても、「地球型惑星」に限って可能性があることが示唆されます。

    かなり大胆な意見がありますが、それ以上に著者の科学に対する誠実さを感じます。つまり科学的に正しい、とされること、立証されたことへの敬意ゆえに、自身の意見も断言はせず、覆される可能性を認めています。
    そして進化に関わる非常に幅広い話題の、それぞれの引用をきっちりと示している姿勢が巻末の200ページを超す参考文献に現れています。

    自然への敬意に溢れ、地球が、そしてそこに住む生物が、どのように歴史を紡いできたか、その問いに全力で答えようとしてくれている本だと思います。

  • 生物の収斂に関する描写は大変面白い。が、本著のミソはそこではないかも。ようは、所謂「科学」という概念は、西洋的な、というかキリスト教史観的な概念と切り離すことは出来ないんだなといった印象。非宗教的な科学者を批判するサマは大変宗教的であったり、そもそもさ、「科学」の力でも生物はいかに誕生したか判別つかないんだよね。つうことは全然その辺がボンヤリしてる「イメージとしての宗教」と大差ない。面白いね。

  • 生命の発生は必然か偶然か、といった問題から、さらに人類は必然の形態か、意識の発生は必然かを問います。分子生物学的観点と考古学、生物学的な観点から、これらは必然であり、いまの人類がいなくとも、高度な文明は必ず発生しただろう。ということの述べているのでが、やや論拠に無理があるような気がします。
    文章はわかりやすく時々ユーモアも交えていて面白く読めますが、深く心をえぐるものがないのが残念。最後の方は無理やり読み終えたくなる。というわけで星三つです。

  • まえがき ケンブリッジのサンドイッチ
    第1章 イースター島をめざして
    第2章 あの大暗号のさらなる秘密
    第3章 至るところにネバネバ:生命は宇宙のさだめ?
    第4章 生命の起源:絞りだすのはスープか浅知恵か?
    第5章 ただ一度の幸運? 不思議な星、地球
    第6章 みんな極端になっていく
    第7章 見る収斂
    第8章 宇宙人の収斂?
    第9章 人間型生物は地球人だけか?
    第10章 綴じられた進化:あまねく見られる収斂
    第11章 進化進学は可能か?
    第12章 最後に

  • 『進化に制約があり収斂がどこにでも見られるのであれば、私たちに似たものが出現するのはほとんど必然的だということを明らかにすること。』
    が本書の目的だそうです。 
    本書の1/4を注釈に割き。 くどいくらいに収斂がいかにして発生しているかを説明してます。 
    睡眠効果抜群です。 完全に流し読み。

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著者プロフィール

SIMON CONWAY MORRIS
1951年生まれ。ロンドンで育ち、ブリストル大学を卒業後、ほとんどの学究生活をケンブリッジ大学で送る。現在、ケンブリッジ大学教授。専門は古生物学。カンブリア紀の進化大爆発の痕跡をとどめる「バージェス頁岩動物群」の研究で知られる。王立協会員。著書に『カンブリア紀の怪物たち』(講談社現代新書)がある。

「2010年 『進化の運命-孤独な宇宙の必然としての人間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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