だいにっほん、ろんちくおげれつ記

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 53
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062139434

作品紹介・あらすじ

孤高の作家・笙野頼子の戦いはさらにヒートアップ!ロリリベ、国家に加え二次元評論家まで!熾烈なバトルを強烈なイメージで描出した闘争の書。グレードアップした第2弾、待望の発射。

感想・レビュー・書評

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  • 「おんたこ」に支配された「だいにっほん」シリーズ第二弾。2060年、死んだ人間が帰ってきはじめた千葉県S倉市。『だいにっほん、おんたこめいわく史』で語り部のひとりだった火星人落語家・埴輪木綿助の妹・埴輪いぶきは、具体的な死因は覚えていないが火星人少女遊廓で18歳で殺された死者だが、古墳の御霊に助けられて戻ってきている。唯一の友達は、もっとも古い死者である浄泥という女の子。

    いぶきは、死者の対応に追われる役所の人たちをボランティアで手伝おうとしたり(蘇ってきた少女遊郭で死んだ少女たちがロリぺドたちに復讐するために美少女フィギュアに憑依する儀式のお手伝い)、作家・笙野頼子の授業を聞きに行ったりして暮らしている。

    笙野頼子は御年104才になっており、発狂してはや半世紀、本当は藤枝静男論を書きたいのに、マネージャーのように出入りする「読者」たちがそれを書かせてくれないので仕方なくウラミズモむけの原稿を書いたりしている。

    相変わらず、突拍子もなくて全体像を把握しきれないが、1作目で謎だった「火星人」というのは、別に本当に火星から来たわけではなく、どうやらなんらかの差別を受けている層の通称的なものらしいとようやくわかる。天皇制を天王星と言い換えたりしているのでその流れか。スーツというのはまだよくわからない。あと1作、最後まで読めばもう少しわかることが増えるかしら。

    2007年の本を今読んでいるというのに、まるで今現在進行形の現実の話とだぶって怖くなる。そのうち笙野頼子の本を読んでいるだけで逮捕される未来が来るかもしれない・・・。

  • 「だいにっほん、おんたこめいわく史」に続く、三部作の第二作目。
    理解できているか、と聞かれたら自信がないのだけど、読んでいて元気が出てくる。

    おんたこの支配する(とはっきり言えないけれども、実質支配しているのと同じ)世は恐ろしい。
    いまの世の中に通じる怖さ。

    大事なことは「俺」を忘れないでいること。
    「俺」が「俺」であることを自覚しておくこと。

  • 適当に手に取ったのだが、3部作の3冊目なのだった。ロリだのおんたこだの、火星人遊郭だのという世界観自体になんの注釈もあるはずなく、でもま、それなりに面白かったです。

  • 時は2060年、ロリコン礼賛(女性は商品)、ネオリベラル主義で贋の左派論客の左畜が跋扈し、自分達の主張を相対化するため西洋近代哲学を誤用する「おんたこ」が支配する「にっほん」国のS倉は、おんたこに敵対する「みたこ」教の教えを元に、蘇った「火星人遊郭(火星はただ単に地方の意)」で死んだ少女をフィギュアにつめた復讐フィギュアを量産している。殺されて蘇った少女いぶきの「にっほん」では女がするのは禁じられている自分語りの「だいにっほん、ろんちくおげれつ記」と、前シリーズで発狂した笙野頼子(100歳超えて生存中)の書く「にっほん」を描くノンフィクションの「だいにっほん、ろんちくおげれつ記」、2つの視点で物語は進行する。笙野頼子の小説は、自分の周りの社会の矛盾を小説という虚構世界に、その矛盾と憤った部分をもの凄く拡大して再構築する作家だと思うのだが、このシリーズも延々と続いた「論争」とその周囲が背景で、この「戦闘物(?)」は全部読んできてるけど、正直もうお腹一杯です(笑)。

  • メモ:無理かも

  • 笙野節って言うのだろうな。もう これでもかっこれでもかっと叩き込むように打ち付けるように言葉がほとばしる。国をお上を政治家を足元からバカにし尽くして笑いまく    …ってるんだよね。これはかなりの知的レヴェルを求められるな、読者に。無教養でノンポリなワタクシにはいささか難しゅうござります。

  • 孤高の作家・笙野頼子の戦いはさらにヒートアップ!ロリリベ、国家に加え
    二次元評論家まで!熾烈なバトルを強烈なイメージで描出した闘争の書。
    グレードアップした第2弾、待望の発射。

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著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』『笙野頼子発禁小説集』『女肉男食 ジェンダーの怖い話』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2024年 『解禁随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笙野頼子の作品

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