ふじこさん

著者 :
  • 講談社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062139496

感想・レビュー・書評

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  • 短編集3作
    「ふじこさん」「夕暮れカメラ」「春の手品師」

    大人が思っているほど子どもは子どもではない。
    特に家庭の空気感には敏感だと思う。
    リサに対等に接してくれるふじこさんは素敵な人だと思った。
    3作とも救われる話でよかった。


    「春の手品師」
    闘わず逃げ出しもせず生きていくのは難しいことだからね

  • 父の愛人と正妻の娘、っていうありふれたテーマですが、大島先生が書くとどこかほのぼの感を拭えないのであった
    なんでかな・・・作風かな・・・

  • 読メでどなたかのレビューを読んで面白そうだったので図書館へ。
    とにかくよくわからん何かにモヤモヤして生きるってのは、思春期に誰もが経験することだな。
    そして生きることには明確な回答はないのだということを伝えてくれる誰か(何か)があらわれるのは稀である。
    その点ではこの子たちはまあ幸せなんじゃなかろうか。
    ふじこさんの話はまあ普通に面白かった。
    おばあちゃんのは若干不安が拭いきれない。
    手品師のは一体なんだったのだろう。
    ものすごい面白い作品ではないが普通に面白い。
    読んで良かったとは思う作品。

  • 離婚を前提に別居している父と母。息苦しさを感じながら日々を過ごす、小学生のリサ。
    ある日気まぐれに父が暮らすマンションを訪ねたリサは、父の恋人であるふじこさんに出会った。
    周りにいるどの大人とも違うふじこさんに、リサは次第に救われていくのだが……

    表題作『ふじこさん』に、おばあさんの写真を撮り続ける『夕暮れカメラ』、空き地で見かけた手品師についていく『春の手品師』を収録した短編集。総合的に良作。

    <収録作品>
    ふじこさん/夕暮れカメラ/春の手品師

  • 十代の頃は一日がとても長くて色んな事を考えていたのを思い出した。
    私もふじこさんのような大人に出会っていたら何かが変わってたのかな。

  • リサの目線から描かれていること。しかもそのリアリティが胸を打ちます。こういう描写はなかなかお目にかかれないです。
    リサの目に映る大人たちは、厳しく裁かれています。その裁きを毅然と受け止めるふじこさん。大人になることへの道筋を、リサはふじこさんに見て取ります。けっして教わったわけではない、存在が導く生き方。
    物語は短編集で、それぞれ違ったニュアンスがあるのは書かれた年代がちがうせいでしょうか。
    私はリサが愛おしくなりました。

  • 子供が成長する過程では家族だけでは息苦しくてむしろ関係のない第三者的な大人が見ていることが必要なのかな。ふじこさん、遺影撮影中のおばあさん、手品師、看護師、関わり合い方は違っても主人公である彼女たちにとってはその時期必要な大人たちだったんだなあ。

  • 子どもをちゃんと一人の人間として扱ってくれる大人は少ないです。
    子ども扱いされると苦しい子どももいます。
    子どもだって一人一人違うのですから。
    ふじこさんのような大人と出会うことで心を圧迫していたつまらないことが吹き飛んでしまうんですね。
    読後、心に新しく爽やかな風が吹き込む感じがしました。

  • 絶望のむこうに見つけた、やさしい光の物語ゲームに熱中し、カレーを立ち食いする--ふじこさんは私の見たことのない、「へん」な大人だった。生きていくことの魅力をやさしく明るく描き出す注目作。
    -----
    表題作を含む短編集。
    ふじこさんは、離婚した父親の恋人らしき人で、それが私(小学生)と出会ってからの物語。仲良くなるわけでもなく、よそよそしいわけでもなく、人間対人間として自然体の付き合いが素敵。
    ふじこさんのサバサバした感じ、好きだなぁ。
    結果、恋よりも椅子と運命の出会いをして、ふじこさんは旅立ったけれど、そのアフターストーリーもきちんとまとまってて、読みやすかった物語。

  • 子どもの視線で見る大人の世界はどこか悲しい。
    子どもは、大人が思うほど子どもじゃないし、想像以上にいろんなことを
    分かっていて、そして、見たものを自分の中で無理やりにでも消化して
    大人に気を使って調整している。
    そうやって、大人の世界に少しずつ移行していくのだろう。

  • 良かった。特に表題作がいちばんかな。

  • 全体的にひんやりとした雰囲気
    でも最後にはぜったい救いがある

    「『臆病なんだわ。どっちつかずで。いつもいつも。私のことも芙美子さんのことも本当に何も見ていないんだから。私は良い子であり続けなければならない。芙美子さんも良い人であり続けなければならない。私が学校さぼっていること、もう芙美子さんは知っているの。どうしていいかわからなくて困っている。私も困っている。私、今日、家に帰れなかった。わかるでしょう?でも死ねない。完璧に消えるくらいしか残っていない。でも生まれてきてしまった私を完璧に消すなんて出来やしない』
    『完璧に消す』
    『私がここで生まれてここに居たことを誰も覚えていなくて痕跡もなく私が消滅する。ここを初めから私の存在しない別の世界にしてしまうの』
    『それで君は何処へ行くの』
    『何処へ行けるんだろう』」

    私たちはみんなどこへも行けない

  • はじめての大島さんの本。

    「夕暮れカメラ」
    絵に描いたような平和な家族って、どこかに無理があるに違いない。
    気づかない振りして、どこまで行けるのか考えさせられる。
    ちなみに実は個食が好きである。現在5人家族の母(セコンド主婦)であるのに。たまに個食ができる日は幸せである。
    藤岡くんちの理想的な食卓にも無理があることを知って、なんだかほっとしてしまった。

  • ふじこさんは面白かった。ふじこさんのような人に出会えるのはいいな。でも主人公が冷め過ぎ。そんな小学生いるー??だからこそふじこさんみたいな明るいキャラクターがいかされてるんかな。
    他ふたつの短編も主人公暗すぎて読んでて疲れた。
    いつもの感じと違うなー

  • 両親が離婚をするにあたり、娘のリサの親権をめぐって、オトナはああだこうだとうるさく
    まだ小学生のリサの頭は今すぐにでもパンクしてしまいそうだった。

    ふじこさんに出会ったのは、そんな時だった。

    周りのオトナと同じように接してくれるふじこさん。
    ちょっと変で、でも言っていることはちゃんとしてる、ふじこさん。

    ふじこさんと出会えたから、あのとき苦しかった日々を超えられた。


    他短篇
    ふじこさんって名前がいいよね。
    もっと深刻な話を想像してたけど、ほんわかしている話。

    繊細な少女時代は大事だね!

    本にコーヒーこぼしてごめんなさい\(~o~)/

    他短篇は世界観がちょっとついていけなかったかも)^o^(

  • そんな大人になりたいって思う。子供扱いしない公平な。

  • 登場人物たちのそれぞれの物腰の描き方がいい。
    多感な時期の子供を、人としてあたりまえに接する。忘れずに見習いたいねー。
    印象的だったのが、「壊す」という行為自体が正しい結論を現していて面白かった。「壊す」=「悲劇」は単に客観的な視点なんだねと。

    大島作品から感じ取れる、理論と能動の混ぜ合わさる静かなカオスを秘めた感じが好きです。強い自分、弱い自分、そんなのいろいろあって当たり前で、人生において受け入れる自分自身という器を感じろと、自然に語ってくれてるようで力を得ます。

  • ふじこさんをイタリアに向かわせた椅子は、どんな椅子だったんだろう。
    ふじこさんの作った椅子に座ってみたいと思った。
    他の2編はよくわからなかった。

  • 友達ともいえないし、知り合いというには遠いようななんとも形容しがたい人間関係の話は好きだなぁ。そして大人向けの話で子供が主人公だと、なお面白い。このお話は前回読んだ同じ著書の『それでも彼女は歩きつづける』よりずっと面白かった。デビュー作の『春の手品師』も収録されてるけどそっちは初々しい感じが印象的だった。

  • 短篇集。表題作ふじこさん他2作。どの短編も優しくていい子の女の子の話。ただどうしようも出口がなく、キューッとなっているところにやってくる大人との交流が描かれている。共感。

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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