- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062142052
感想・レビュー・書評
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「「日本一の村」を超優良会社に変えた男」を本棚に登録しました。/ http://booklog.jp/item/1/4062142058
読了。
もったいない。読後、そのような想いをまずもった。
本書で取り上げられている岩手県滝沢村の元村長柳村純一氏の講演を先日、聞く機会があった。その日は、複数の登壇者があったが、私がもっとも関心をもったのは柳村氏で、さらに深く滝沢村や柳村氏のことを知りたくなり本書を手に取った(私は政策よりも人に関心がある。他の登壇者の皆さんも立派な方々だったが私の食指が動いたのは柳村氏だった)。
日本一の人口を誇る村、滝沢村の行政改革がどのように進んでいったのかを知る上では、入門編のテキストとしてよく書けた内容だと思う。柳村氏の講演では聞けなかった行政改革に関わる実践やエピソード、氏の来歴(氏が社会党の労組出身で社会党公認の村議だったということには驚いた)などいくつかの知りたかった点について知識を得ることができた。
しかし、ほぼ政策が成功した面だけに視点をあてて記述が進むため、滝沢村の行政改革について多面的な見方ができなかった。例えば、反対者はどのような人々だったのか、誰が強硬に抵抗したのか、その理由は何か、特に地方自治体の運営を考えるときに重要な存在であるはずの議会についての描写が、薄かった。ひょっとしたら書くことがなかったのかもしれないが、仮にそうだったとしても村議の名前が一人も出てこないのは不自然すぎる。国、県、近隣市町村との関係、県内の政治家との関係なども見えなかった。
また、失敗した施策、例えば民間人助役の登用については、触れられるもののあっさりとした書き方で終わっている。失敗から学ぶことは多いと思う。多くが記されていないのは残念だ。滝沢村がどんな村であるのかについての説明も十分とはいえない。読者が自分で調べればいいのかもしれないが、簡単にでも滝沢村の歴史を記しておけば、行政経営・ニューパブリックマネジメント導入の先駆事例?としての滝沢村のイメージをよりはっきりさせることができたのではないか。
別に私は荒さがしをしたい訳ではない。ただ、単なる成功談として終わらせるのはもったいないのではないかと感じるだけなのだ。岩手県滝沢村と元村長柳村純一氏は、もっと掘り下げることができる取材対象ではなかったのかとの思いが消えない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
たとえ手段をまねたとしても それだけでは同じ道はたどれない
大事なのは、内部の改革
ひとりひとりが 内に秘めた熱い何かに気づき、変わらなければ、いくらイイコトを真似ても、それは「かぶれてる」だけ。
真似るのは手法ではなく 信条と心情
それが根本になければ 金と時間と労力を無駄に使うだけ
みんなのなかにくすぶってる 熱い気持ちに 火を放つ、そんなリーダーを待ちながら、自分自身を変えていこう。 -
書籍番号
M110129-031-9784062142052 -
本書は、岩手県滝沢村の元村長である柳村純一氏の滝沢村役場改革の成功談と失敗談が綴ってあります。柳村氏は、現在のように行政経営というものが騒がれる前から、行財政改革に着手しており、当時の反発は酷かったと想像できます。しかし、そのような環境で、情報公開、組織のフラット化、ISO取得、行政経営品質向上運動等の取り組みを行ってきたことは、柳村氏の尽力によるものです。このような改革派首長が、全国のいたる市町村で出現していけば地方分権の流れも容易になるのかなと感じました。もう少し、失敗談を載せて欲しかったと個人的に思いますが、内容としては申し分ない1冊です。