- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062147293
感想・レビュー・書評
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ここで紹介される作品はどれも正誤や善悪では割り切れない登場人物の物語。完全な善人も完全な悪人もいない訳であり、リアルな人間を描こうとすると必ず曖昧模糊とした存在になる。故に名作はいつもアイマイであり、アイマイな登場人物が絡み合う西川作品もまた強烈に文学を感じさせるのである。
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私も自宅の本棚からなるべく自分の手垢のついていないものを引っ張り出してページを開き、狙いを定めて言葉の狩りにでてみたところ、そこは案の定、探す前に獲物が飛び出してきてくれるような豊かな狩場でありましたが、しかしあまりの豊かさに私は溺れ、のめりこみ、幾日も日常に戻って来れないほど、その森は深かった。
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2012年4月27日(金)、読了。
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夏の青少年より、オトナこそ古典を読むべき!
「全ての人生は絶筆である。だからその日まで、垢抜けない、気に食わない、汗にまみれた自分だけの一着をまとって泥の中を転がり続けようではありませんか。」の一文が気に入りました。 -
西川さんの文章好きだなぁ。
なんかねぇ、この本は、
文豪と呼ばれる作家との距離を縮めてくれるような感じでした。
他にもこういった本を読んだことあるけど、
素敵な文章と一緒だと文豪たちは私たちに近くなる。
「トロッコ」は一度読んだけど、今回読んでもやっぱり面白かった。
他には「痴情」、「人に尻尾をつかませるべし」、
「海と毒薬」、「めし」あたりが好きでした。
どれもすごく人の匂いがちゃんとしていてすごい。
女の狡さ、男の狡さ、人の狡さ。あとその憎めなさ。
面白いよねぇ。うん。
レビューはどれも素敵。
だけど書き下ろしの「もう夢は見ないけど」というエッセイがすごく好き。
「一様に能力の高い作家というものは、少年ほど実直ではないからである。そんな面倒な体当たりもせずして彼らは、いけしゃあしゃあと、自分の知りもしない世界を知った風に書く。」
「母殺しをしなくとも母殺しを書く。これが作家だ。」
ここらへんがもうほんとに、そうなんだよね!と全力で頷く感じ。
このエッセイに出てくる少年の動機とか、
西川さん同様全然わからないけどこの少年がすごく悲しい。
私たちは、私はふらふらぐらぐら、踊らされるのだ、小説に。
誰かが作りだした出来事に。
物語を、するりと生みだしていようが、
めっちゃ苦労して生みだしていようが、
力のある作家というのはほんとうに怖い。怖くてすごい。
あと西川さんの映画に対する姿勢が好きだなぁ。
私はこの人の書く小説が好きだけど、
やっぱり映画監督なんだなぁって思いました。
で、この人の撮る映画も好きなのでそれがとても嬉しい。 -
まだ見てないけど。
ちょっと西川監督の作法みてみたいんだよね。このひと優等生なのかな? -
名作はいつもアイマイ、っておれもそう思う。
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この本はゆっくり読んだ。
取りあげられている作品が読み応えがあるのと、著者の解説文の説得力に納得したのと、彼女の映画に対するスタンスに理解が深まったのと、3方向から楽しめる仕掛けになっていたので。
総合点で☆5つ。