長い終わりが始まる

  • 講談社
3.14
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本棚登録 : 838
感想 : 160
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  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062147873

感想・レビュー・書評

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  • 大学のマンドリンサークルを舞台にした人間関係に不器用な女の子の恋と青春。

    すごくよかったです。この主人公の不器用さに共感します。
    コンミスになれなかったことへのこだわりや、「教育」の対象にされてしまうことへの鬱憤や・・そんな色々な葛藤があってもサークルから離れられないどろどろした感じをよく描けています。

    男からいいように利用されてしまう不安定さもせつなかったです。

    「いいね。女は才能の惚れてもらうってのができないから」・・・これわかるー。せつない。ひとつのことをつきつめるような生活していると女はなかなか恋人できないんだよね。

    「他人とうまくやる」ことも「音楽をつきつめる」こともほどほどにすればいいんだけどね。

    主人公のサークルに対する依存ぶりはちょっと病的な感じもしましたが。最後の「誰からも好かれたことがない」という独白は痛々しいです。カウンセリングを受けて自分を大事にすることを学んでほしいなあと、小説ながら思ってしまいます。

  • あっという間に読了。
    主人公の女の子のようなエキセントリックさは自分にはないけれど
    主人公の女の子が好きになる男の子の魅力というのには妙に共感。
    個人的に、胸がぎゅっとなる描写が所々にあった。

  • 音楽系サークルに属する女性の、人付き合いや物事に対しての考えで構成されている1冊。最初、一人称なのか三人称なのかわかりにくかった。主人公に結構嫌悪感を抱いてしまって全く感情移入出来ない作品だったけど、田中くんとセックスするシーンが妙にリアリティがあってこちらの頬まで赤らんでしまった。この人の作品、感想は?と聞かれると答えに詰まる類のモノが多いのだけれど、これは特にそうだった。言いたいことはなんとなくわかるのだけれど、うん。

  • 購入日:2008/08/07
    購入者:kdm

  • 「時に滲む朝」の隣にあった、生サイン本。

    ついつい買ってしまった娯楽小説。


    話は就職活動を控えた大学4年生のちょっと人とはズレた女の子の、恋に対する、サークルに対する、人との接し方に対する物語。

  • 「サークルとは、世界のことだ」

    この人の小説って、あーそうだよね、そうなんだよね、というリアルな部分と、文学な部分のバランスがすごいなと思う。
    すごい好きなんだけど、時々すごいむかつく。それって結局すごい好きってことなんだけど。可愛さあまって憎さ百倍テキナ?

    人間は、生まれた時から、長い終わりが始まっているし、人間関係も、出会った瞬間から、長い終わりが始まっている。
    だから居場所や思い出をつくって心地よく生きようと日々がんばって、そのわりにそういうのをあっさり捨てて新しい世界に飛び込んでいける。ちょっとの罪悪感と解放感とさみしさと、隠し味の安心と一緒に。何かが始まった瞬間に、終わってしまうことを誰もが知っている。アルバム、寄せ書き帳、プリクラ帳、引退のときの色紙、その数だけ終わりを経験している。
    ここもきっとそうなるんだろーなーって薄々気づいてるのに、また新しいコミュニティではちょっとがんばってみたりして、なんか空しくても、誰かと関わらずには生きていけない。
    そんな中に、そう捨てたもんじゃないなにかがキラリと光っていたら、人生大成功。

    そういうのがなんにもない人も、たぶんいる。

    なにか大切かもしれないもの、好きだったかもしれない人を失くしてしまったあと、そのことを悲しいとかさみしいとか、そういうふうに揺り動かされる気持ちを忘れてしまって、好きでも大切でもなんでもなくなる。心の底からどうでもよくなる。
    何であんなことに夢中だったんだろう?あんな人のこと好きだったんだろう?
    そのうちなんにもなくなる。何もかもが薄くて軽い。
    それは人間としての欠陥なのか、とか悩みながらも、ホンネは愛したいし愛されたい。みんながうらやましい。だけど、こんなぽつんと一人立ちすくんでいるみたいな自分もほんとは嫌いじゃない。誰のトクベツにもなれない自分て、トクベツっぽい。でもそうじゃないのは自分が一番よくわかってる。だからさみしい。そういう自分もすこし気に入ってるから、変えられないし変わらない。
    うっとうしくもいとおしく、何より人間らしい葛藤。イラッとして納得。
    合う合わないが激しそうです。



    「あの、電線がいいよね」
    小笠原は、空を指した。
    空に、黒い線が何本も走る。無制限なはずの空を区切る、邪魔なようにも思える線が、世界のルールを作っていた。
    「うん。言われるまで、気がつかなかった」
    「なんで気がつかなかったの?」
    「勝手に頭が、電線なしの風景の像を結んでしまってたんだろうね。空とか雲とか木とか家とかの方が、印象深いから」
    田中は、鉄塔と鉄塔を結ぶ線を、しみじみ見ている。
    「ふうん。あれ、五線譜みたいだね」
    「うん、音符を乗せられそう」


    しかし、男の生理感覚に偏って成立しているセックス文化は、おかしい。射精でなんか、セックスは終わらない。

  • 未読

  • ナオコーラさんいわく「居場所がない、と感じている人に読んで欲しい」ということで、とても気になります。

    ナオコーラさん好き。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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