天山の巫女ソニン(5) 大地の翼

  • 講談社 (2009年6月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (258ページ) / ISBN・EAN: 9784062155205

作品紹介・あらすじ

ついにシリーズ完結! 三つの国が、それぞれの思惑を秘めて動き出す。個性あふれる三人の王子・王女と、ソニンの運命は? 小学上級から 

みんなの感想まとめ

シリーズの完結を迎え、物語は三つの国の思惑が交錯する中で、個性豊かな王子・王女たちの成長が描かれます。彼らのひたむきな姿勢や信頼関係が、読者に深い感動を与えます。特に、ソニンとイウォルの微妙な関係や、...

感想・レビュー・書評

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  • 意外に早くきてしまったシリーズ完結。魅力的なシリーズを一気読みできるのは、贅沢の一つだと思います。楽しかったです。

    これからの若い指導者たちが、必死にひたむきに己の目指すところを目指し、やりとげたことが何より嬉しい。
    イェラは勇ましく切れるように、クワンは己の在り方にある程度の決着をつけて晴れ晴れと、イウォルは困難な時を前にしても静かに穏やかな笑顔を忘れぬ揺るがぬ器を得て。三者三様の魅力と成長が良かった。彼らが国を治める時代をぜひ読みたいと思いました。

    ロマンス好きーとしては残念な部分もありますが、ソニンとイウォルの間に流れる雰囲気は充分ニヤニヤでした。特に戦に旅立つ前のアレはね! イウォルが可愛かったし素敵だったです!
    その後の、ソニンが手を失うかもしれないという場面が、また萌えました。それでも、その危険を行うことを許したイウォルとソニンの信頼関係とか! その危険さを止めようとして怒ったクワンが、また萌える。なにそれ。今巻の一番格好いいと思ったセリフは、実はクワンの「俺が行こう。それが一番早い」だったりします。

    それにしても、イェラにも言えることですが、二人とも、イウォルにとってのソニンの手の存在の大きさを知っているのではないかという場面が、何気なく描かれていたと思います。
    いや、特にソニンの力を知らなくても、手というものはそういうものなのかもしれません。人と手を繋いで温かさを共有し、言葉ではない何かで伝えあえることの幸福。ソニンの手を思わずとってしまいたくなるような彼女の在り方、それに手を伸ばせずにはいられなかった二人の孤独さが描かれていたと思います。思わぬところで。

    児童文学なんですけれども、大人が読んでも深読みできる奥深さがとても好きです。おまけに萌えてしまって仕方がないです 笑
    でも、本当に印象深いセリフが多い作品だったと思います。
    毎回ちゃんと入れてくれるミンとソニンの会話が、実は一番の宝物のような気がします。

  • 戦を起こすのは偉い、年寄り達で、
    戦場に借り出されるのは弱い若者達ばかり。

    どこか今の世を映す鏡のように、
    でもその泥の中に咲く蓮のように。

    大好きなシリーズ。

    孤独の中で、一人で立ち、凍土を耕していくであろうイェラが好き。

    『厚い雲と北風に、瞳は曇り、唇は凍る。
    涙も言葉も、生まれる前に、氷となって砕け散る』

  • この本を通して、実際の社会の成り立ちや人との関わり方、生き方をまなんだように思います。中学生に広くすすめたいと思います。

  • お気に入りのシリーズ、これで完結です。
    もったいなくて~読むのを延ばしていました。
    この後に番外編も出ています。

    巨山(コザン)、沙維(サイ)、江南(カンナム)という三つの国が並び立つ、古代朝鮮半島を思わせる異世界。
    沙維に生まれたソニンは、赤子の時に才を見込まれて天山に迎えられましたが、巫女としては落ちこぼれ、12歳の時に実家に帰されます。
    末の王子イウォルと出会って侍女となり、宮廷に上がりました。
    これまでのあらすじは、「はじめに」に書いてあります。

    沙維には7人も王子がいて、末のイウォルは影の薄い存在。
    江南の第二王子クワンに心酔して江南に留学、ソニンも同行しました。
    クワンは大胆な性格で庶民に人気がありましたが、イウォルを呼んだのはソニンを個人的に利用しようという意図があってのこと。
    それでも、イウォルは手紙のやりとりを続けます。

    巨山は野心的な王に支配されていて、侵出の機会を狙っています。
    江南と組んで沙維を征服しようという意図のもとに、江南と条約を結ぶ運びに。
    巨山のイェラ王女は、一人娘で気丈ですが、父王に面と向かっては逆らえない。
    ソニンが最初に会ったときには、孤独で傲慢なおてんば娘でした。

    江南を訪問したときにも美しくなっていましたが、この作品では沙維を訪問。
    さらに華やかになっていて、沙維で人気を集めます。
    ところが巨山の王は、翌年、やはり兵を進めてきます…
    イェラ王女は帰国間際にそれを予言するような発言をソニンにしていて、その真意は?
    ソニンの誠意が出会った人に通じて、それぞれの良さが、きらっと輝きます。

    かって陰謀をたくらんだレンヒが書き残した手帳を葬るために、天山へ行くことを願い出るソニン。
    もとは巫女だったレンヒが悪用した知識を持ったままでいることが辛くなったのです。
    巫女たちは、才能はなくとも素直に育ったソニンに再会し、対照的なレンヒを思い出して、その意味を語り合うのでした。

    こんな少年少女達が、三国の争いの要になることは、現実には少ないでしょう。
    作品のなかでも立場や出来ることに制約はありますが、国の内外の争いを自分のこととして受け止め、出来ることを精いっぱい模索する。
    大きなうねりの中で、人の心が通い合い、苦しみの後にその先へ行く道が見えてくる。
    そんな希望を感じられる作品です。

  • ★あらすじ
    大陸からつきでた半島には、沙維、巨山、江南という3つの国が並び立っている。
    その中の沙羅の国で、天山で巫女になるべく、乳児のころから修行を続けてきたソニンだったが、ついに夢見の力をコントロールすることができるようにならず、12歳の時に「見込み違い」として、山を下ろされた。
    家族のもとにもどり、普通の農家の娘としての生活を始めたソニン。
    ミンという親友もでき、下界暮らしにも慣れてきた頃、ひょんなことから沙維の国の末王子、イウォルの元で働くことになる。

    ★感想
    ソニンは↑のように、生まれてすぐから超ストイックな生活と育てられ方をしていたため、欲はないし、裏表もない、超素直でまっすぐな娘なわけです。
    そんな彼女の影響で、気むずかしいイウォルをはじめ、隣国の王子や王女も変化していきます。
    ソニンがつないだ彼らの交流は、緊張状態にある三国の関係をどう変えていくのか……という、冒険ファンタジーです。
    これの1巻が菅野さんのデビュー作で出世作なんだね! これでいっぱい新人賞もらってらっしゃいます。
    5巻シリーズの1冊ごとにソニンは窮地におちいるんですが、児童文学だけに、確実に乗り越えられることがわかってるので、ハラハラしつつも安心して読めます。
    ハリポタみたいに、いきなり主要キャラが亡くなったりとかはありませんのでね^^;

  • なるほどそういうラストか〜!
    ちょこちょこ会って欲しいような 男子3日会わざれば〜のソニンバージョンで王子をビックリさせたいような。。

    残りの外伝はクワン王子とイェラ王女の過去編なので
    二次創作でも未来の話を読みたくもあるが 素敵な結末でした

    いよいよ戦争が始まって 一市民の目線でも辛いけれど 指導者側の目線もまたキツイものがあったなぁ。。
    大臣の息子が辛い。。

    ソニンが元巫女ということで 教訓のような 人の性質だったり タメになる台詞や考えが散りばめられたファンタジー作品ゆえ 是非とも未成年の子達に読んで欲しいなぁ
    知識で知っていることや言葉を 具体的に体験することで実感する事は多いし

    そしてホントにミンの発言はハッとさせられる
    ミンはどんな大人になるのかな


    『戦の決定権を持つのは もちろん王や権力者と呼ばれる人々ですが それを支持し 命令以上に相手を攻めたりするのは こうした普通の人々なのではないかとソニンは思いました 自分たちのふだんの憂さ晴らしをするように…悪口を言って盛り上がる…』

    「…巨山のヤツだから嫌いだとか 江南だからダメだとかさ 一人ひとりは みんな違うじゃん…だって沙維の人間だって 同じ町に住んでる人間でも一人ひとり違うじゃん 何百万もいる人が、みんな同じわけないよ…家族だって みんな同じじゃないしさ」

    「いつか人が鳥のように空を飛び 天空の気象も 遠い地での出来事も 手にとるように分かるようになれば わたしたちのような能力は必要とされなくなる…科学の進歩はいつ大きな事故を起こすとも知れず 技術は突然暴走し ふいに逆流することもある」

    「…自分には何もないということを知っている 驕ることも 力に溺れることも 人を見下すこともない だから強いのです 何も持っていない人間だけができることが あるはずです」

    「…わたしは力のある子を伸ばすことしかできなかった おまえは…そうでない者が生きてゆくために必要なこともちゃんと教えていたのだ」

    「…きっと昔の人は 人の一生を 何もない辛いところから だんだん暖かく だんだん豊かに だんだん幸福になってゆくものだと考えていたのね だからそれを毎年思い直すために 新しい暦は 一番辛い季節から始まるのよ」

    「老人が号令を下し 戦場で若者が死ぬ その逆はありませんよ 若い為政者の後ろには たいてい海千山千の黒幕がいるものです」

    (結局…も内側から崩れていったようなものだ…力を…富を築いたが それは民を幸せにしなかった 自分たちを幸せにしない力や富のために「働け」「戦え」という王を 民が信じるわけはない…王は民を信じ 民は王を信じている それ以上の強さがあろうか?)

    「…人間のうち7割は流されやすいってことさ まわりの動きや噂や 自分の欲にさ…状況や環境次第なんだよ …王様によって…どれだけ差別と貧困によって苦しむ子供をなくせるかということなのだ」

    (たくさんの人がまねするということは もともとそういうことをやってみたかった人が多いってことなんだ)

  • すごく良かった!でもこれで終わりかと思うと寂しすぎる…。

  • 気持ちの良いハッピーエンド。ソニンとイウォルとクワンの三角関係は決着しないの!?なんて、思わなくもないですが、そこはまあ、ソニンとイウォルの絆が強すぎるので…。クワン王子派の私としては、ソニンが彼の魅力に気づいてくれることを願っています。
    7割の話が気になった。人はほとんどが環境に流されると。現在の日本を見ていても納得できるなあと思う。流されることを拒んで全力で踏ん張った自分を肯定してもらえたようで嬉しかった。

  • イェラの精神力の勝利?ヘンに寵愛を受けないのが良い。

  • 読み終わりたくないのに、読み終わってしまった。


    三国を巻き込んだ戦争も、決定的な打撃を受ける前に、
    イウォル、クワン、イェラという次代を担う若い世代が知恵を絞り身体を使って、止めることができました。
    最終巻ということもあって、ぎゅっと詰め込んだ感じがしないでもないですが、明るい未来を感じさせるラストでした。

    外伝も2冊出ている模様。
    ソニンの外遊録かしらん。

  • ソニンシリーズ最終巻。

    いやー、よかった!
    それぞれの国の王子や王女、それぞれの立場で成長していっている。
    いろんな角度から物事を捉え、多数に流されず本質を見抜く力。国王であるとか関係なしにそういった人でありたいな、と背筋を正される思いがしました。
    ソニンは王のもとを離れ、見聞を広めようと旅立つようですがその後もぜひぜひ!書いてほしいなぁ♪
    数年後、今よりも大人になった王子や王女がそれぞれの世代になり再びソニンと一緒にいろいろなことに挑んでいく、そんなストーリー、心待ちにしております(笑)

    本編とは別に外伝が2冊ほど出ているようなので、(その後のお話でないのが残念ですが・・)こちらも早く読みたいと思います^^

  • 朝鮮半島風の三つの国が舞台で、三つの国のそれぞれの王子と王女は、誰も戦争を望んでいなかったのに、いよいよ戦争が始まってしまう。彼らはそれぞれの立場から、戦争を広げないために努力をするが……。シリーズ完結編。
    というあらすじだと、「王家もの」か、という感じですが、実はこのシリーズのだいご味はそこではなく、一般の人々の目線を常に意識し、観察している王子付きの女官、ソニンが主人公であるということです。王家の人々ももちろん観察対象なのですが、一般の庶民の人たち、それも三国のそれぞれの人々が戦争をどのように考え、敵国、味方の国をどのように考えているか、ということがきちんと描かれている作品を初めて読んだ気がします。
    「流される人が七割」というように本文にありましたが、「流される」ことは決して悪いことではなくて、それによって大きな勢いができる、ということなんですね。大きな勢いは善悪のどちらにでもなる可能性がある。その大きな流れをつくる可能性の大きい人がこの世界では王家の人々になっていて、それがどう流れていくか、それをどう変えていくか、ということが描かれています。
    読み終わって、この世界にもっとひたりたいと思いました。これで終わりなんてもったいない。もっと味わいたい。作者はこれがデビューのシリーズなので、次回作に期待です。おすすめですが、「彩雲国物語」の茶州までが好きな方には特におすすめ。ちょっと「イイコ」の元巫女のソニンが、「世界」を見る視点を味わってみてください。

  • 6:最終巻。何の違和感もなく読める本文の中に、リアルの世相がぎゅっと凝縮され、時にはデフォルメされて描かれている。そんな「ふつう」がきちんと描写されており、イウォル王子やクワン、イェラのような国の一角を担う存在からミンやソニンの家族など市井の人々まで公平な視点で見つめる作者さんの冷静さと思慮深さが心地よいのだと思いました。
    何かひとつのよい思い付きが、誰かの善意が、ひとりの善人が国を変えるのではない。無責任な希望と夢を叩き売るのではなく、光と影両方を見つめてゆく一貫した姿勢が素晴らしい作品でした。

  • あああ~~~~~~~やはあり三国三竦みの図展開するのね…。
    クワン王子とソニンのあーだこーだなシーンもっと欲しかった…。

  • 面白かった!

  • 2018/1/6

  • ついに三国で戦が起きた。でも、この戦に価値を見出さない各国の王子、王女が、自分たちのできることを行い最小限になるように画策する。金や力を欲するための戦いは、民のためにはならない。自らの人生を歩もうと一歩を踏み出したソニン。自らの国のことを知ってるかと問われたら、怪しい。

  • 2016.12.28
    三国の若き為政者がみな人ひとの命を大切にしていること、地方の言い伝えやしきたりを大切にしていること、そしてそれが三国を幸せにしたことに満足‼️
    ムサの牙をおそれず、手紙をとったソニン。どこまで信じられるのか。二度読みした好きな場所だ。
    楽しい読書しました‼️
    結局、巨山も江南も内側から崩れていったようなものだ。巨山は力を、江南は富を築いたが、それは民を幸せにしなかった。自分たちを幸せにしない力や富のために「働け」「戦え」という王を、民が信じるわけはない。
    ってこれ、今の日本じゃない?安倍晋三とか森とか…舛添とか…
    日本にイウォル王子やパロル王が現れて欲しいです‼️

  • 20160429

  • 落ちこぼれの巫女と言いわたされ、すべてを失ったところから始まった少女の物語―。里におりたソニンは、三つの国を知り、そこに生きる人々と交わり、悩み・悲しみ・希望・喜びを実感しながらひとりの人間として豊かな人生を歩む道を見出してゆく。感動の最終巻。

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著者プロフィール

1969年、福島県南相馬市生まれ。2002年、「橋の上の少年」で第36回北日本文学賞受賞。2005年、「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、改題・加筆した『天山の巫女ソニン1 黄金の燕』でデビュー。同作品で第40回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。「天山の巫女ソニン」シリーズ以外の著書に、『チポロ』3部作(講談社)、『羽州ものがたり』(角川書店)、『女王さまがおまちかね』(ポプラ社)、『アトリと五人の王』(中央公論新社)、『星天の兄弟』(東京創元社)がある。ペンネームは、子どものころ好きだった、雪を呼ぶといわれる初冬に飛ぶ虫の名からつけた。


「2023年 『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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