骸骨ビルの庭(上)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 625
感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062155311

作品紹介・あらすじ

住人たちを立ち退かせるため、八木沢省三郎は管理人として骸骨ビルに着任する。そこは、戦後、二人の青年が子供たちを育てた場所だった。食料にも事欠き、庭で野菜を作りながら、彼らは命を賭して子供たちと生きた。成人してもなおビルに住み続けるかつての子供たちと、老いた育ての親、それぞれの人生の軌跡と断ち切れぬ絆が八木沢の心を動かす。すべての日本人が忘れられない記憶。現代人が失った純粋な生き方が、今、鮮やかに甦る。

感想・レビュー・書評

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  • 「人間は何のために生まれてきたのか。自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ」。
    主人公の八木沢省三郎が単身赴任で大阪・十三の骸骨ビルにやってくる。
    様々な背景のあるビルやその関係者の住人たちとの対話の日々。
    ここまで相手に胸襟を開かせるヤギショウさんに共感。決してヒーローでもなんでもない、ただのオッサンなんだけど。
    生きる力を与えてくれる宮本輝の世界。

  • 宮本輝さんの大ファンです。登場人物たちの喋る大阪弁が好きです。なじみ深い十三が舞台というのも興味深いです。下巻の展開がどうなるのか楽しみです。きっと再読間違いないです。

  • 読みながら、ギスギスして乾いたものがすっと潤う感覚が味わえる。心の糧(良い面の)になれる小説に出会えるって良い経験。上巻だけだと残っている謎もあるけど、ここまででこれだけ感動できるのはすばらしいよ。
    下巻も大期待です。

    (上巻がサイン入りってうれしい)。

  • どこでこんな話のきっかけを仕入れてくるのだろうかといつも感じるくらいに具体的で心にせまる物語だ。魂魄(こんぱく)や嫉妬がキーワードに下巻へと続く。読み応え充分だ。

  • う〜んいい、ページがすすむ。
    ゆっくり読まないともったいない。どこに惹かれるんだろう? 読んでいるとき、居心地の良さを感じている。
    赤裸々すぎる部分もある。身につまされるところもある。現実的なところもあれば、ありえなさそうなところもある。混沌としたところがあり、ミステリアスな部分もある。
    だから、どんな結末が待っているのか、とても気になる。
    心の問題にきっちりした答えはないかもしれない。それでもいい。
    先を急がず、下巻はゆっくりといろいろと考えながら読んでみよう。
    様々な思いが頭を巡る物語は、いい小説の条件のひとつではないだろうか

  • 戦後の大阪・十三を舞台にした、血のつながらない親子の話。
    読んでて、心がほっこりしました。

  • 特に明記してある訳じゃないけど、この小説って「にぎやかな天地」で、松葉が船木に "次に作りたい本" として挙げていた内容なのでは・・・

    宮本さんの小説で、流転の海シリーズのような続き物以外で別作品とリンクがあるのは少し珍しい気がします。

    で、お話自体はどういう着地点になるのか現時点では想像がつかないので下巻に期待。

    食べ物の描写がおもしろい、というのだけメモっておく。

  • 宮本輝は、たっぷりの時間のある時に、文章のひとつひとつを鑑賞しながら読むのが正しい読み方だな…。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99151731

    2016年度関西を舞台とした小説でも取り上げました。

  • 八木沢省三郎は住人たちを立ち退かせるために『骸骨ビル」に住み込みの管理人として入った。
     そこは、戦後、2人の青年が捨てられた子供たちを育てた場所だった。
     来た当日に「おどし」の封書をもらい、逃げ出すつもりが、逃げ出しそびれて、彼は住人と深く付き合うことになる。
     「平成6年2月12日」から始まる彼の日記がつづられていく。
     早期退職をして、第2の人生を自分なりに作っていこうとする八木沢との時間が、「骸骨ビル」に住むことになった彼ら一人ひとりの口を開かせていく。前編では全ては語れられないし、「おどし」の真相もわからない。そして、「骸骨ビル」の立ち退きの話はどうなるのか。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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