山姫抄

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 28
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062158336

作品紹介・あらすじ

山に消えた女たちの「山姫伝説」が残る奥深い田舎町で、女は一風変わった男とともに暮らし始めた。男の秘密と凶暴性が徐々に顕わになっていく。小説現代長編新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 閉鎖的な村社会で、村の伝説と凶暴性を秘めた夫との暮らしに苦悩する女性の物語。

    二〇〇九年 第四回小説現代長編新人賞受賞作。

    第一章 旅の人
    第二章 蟹
    第三章 山
    第四章 煙火
    第五章 神社
    第六章 沼
    第七章 山姫(一)
    第八章 山姫(二)
    第九章 落雷
    第十章 白い蛇
    第十一章 桜の幽霊

    水商売から足を洗い、恐怖から逃げ流れつき、智顕の内縁の妻になった一花。

    棲むことになった村には、御母乳山伝説があり、山の神に見初められると山姫として消息を絶ってしまうという。

    夫の智顕から滲み出る狂気に、逃げたい気持ちと絡めとられてしまいたい衝動とが錯綜する一花。

    閉鎖的環境と狂気、操作不良の感情がひとりの女の人生を左右する。


    読みにくくないので、違う作品も読んでみようかと思います。

  • 村社会の閉塞感。まさに鳥籠に閉じ込められた様な感覚となり、気付くと物語にグッと引き込まれている。ひょんな事から読書中に著者と一席設ける幸運を得たのだが、オチを言われそうになり苦笑してしまった(笑甲殻類が苦手なもんで、この独特の世界感が妙にリアルに感じてしまう。次は『流転の薔薇』を読んでみよっかな。

  • 加藤廣さんの著書と勘違いしたのは読み終わってから。
    今まで読んだことのない家、家族の闇、場合によってはどこかにありそうな、話。賞を得たということでページはスラスラと進んだ。

  • 13/11/24 何が言いたいのかわからない。

  • ホラー、なのかな?蟹の幻覚・・・エロい。これがデビュー作とは、凄過ぎる!!ついつい先が気になって、ほとんど一気読みでした♪

  • 小さい頃、海辺に漂う水死体に取り付く蟹を見た。一花はその蟹が目の前に現れると、そこには住めない焦燥感に取り付かれ街々をホステス稼業で流れ歩く。
    地方の小都市の店でめぐり合った男は口の重い男だった。しばらくは田舎もいいかもしれないと共棲みを始める。
    男は流れ者の父の強烈な血を引いて、恐ろしい男だった。失踪したという妻は殺されたのではなかろうか?
    在所の人々は異分子を受け入れない。閉鎖社会は自分たちの利益に反することは隠蔽するのだ。知っているけれどいわない・・。

    女は逃れたいのに、逃れられない。この山奥には昔も女が逃げ込んだのだろう。神話は現実に伝承していくのか。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京育ち。日本大学芸術学部文芸学科中退。日本推理作家協会会員。2009年、『山姫抄』(講談社)で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『泣きながら、呼んだ人』(小学館)が盛岡のさわや書店が主催する「さわベス」1位を獲得。2011年に刊行した『嫁の遺言』(講談社)が多くの書店員の熱い支持を受けベストセラーに。その他に『蛇の道行』(講談社)、『四月一日亭ものがたり』(ポプラ社)、『ひかげ旅館へいらっしゃい』(早川書房)、『ごめん。』(集英社)など。昨年刊行した『カスタード』(実業之日本社)は奇跡と癒しの物語として多くの読者を勇気づけ、本作はその続編にあたる。不器用だけど温かな人情あふれる物語には、幅広い世代にファンが多い。

「2022年 『ロータス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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