ソロスの講義録 資本主義の呪縛を超えて

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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062161497

作品紹介・あらすじ

激変の時代を読み解く洞察のための思考を養う。二番底の有無、中国の台頭、アメリカの未来…ベストセラー「ソロスは警告する」シリーズ第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • 投資家としてい有名な、ジョージ・ソロスの生の講義の
    記録を書籍化したもの。

    専門用語が多いいが注釈が書かれていて少しわかりやすく
    なっている。

    金融における、政治家の役割や、なぜリーマンショックが
    起きたのか。
    また、中国という国は他の国より経済的政策として
    どのような強みがあるのか。

    その答えは、こちら↓↓
    http://goo.gl/4BE9uE

  • Wed, 13 Oct 2010

    ジョージ・ソロスは超有名な投資家.
    悪名高い面もあるが,昔 哲学者になりたかったということもあり,
    なかなか思想的に面白い面がある.

    実は あのカール・ポパーが大学での指導教官だったというのが,面白い!

    ジョージ・ソロスの大学での講義をまとめたものだけど
    さくっというと 複雑系経済学の本です.
    その内容的には,実務からしからぬ学術的に,けっこうセンスのいい内容.

    もちろん,学術的な厳密さに欠ける点もあるんだけど
    「再帰性の原理」は人間の行動についての重要な示唆を含んでいる.
    人間の意思決定は,意味づけにしたがって行われるし,
    真の事実に基づいてうごくわけではない.

    僕ら自身のあたりまえの感覚からボトムアップに構築すると
    経済・市場の動きはどうなるか?
    ということが,ジョージ・ソロスの再帰性の原理で
    とても,自然な議論だ.

    個人的には 面白かったので,一読をおすすめしたい.

  • ソロス氏が彼の思想とアメリカの現状、未来について語った本。
    訳者前書きにも書かれている通り、この本は講義の形をとっているためか、ソロス氏の再帰性、開かれた社会といった思想が(ソロス氏の他の著作に比べて)わかりやすく述べられている。また、世界経済についてのソロス氏の分析も知ることが出来、初めてソロス氏の思想にふれるという方にはとてもすすめられる本だと思う。ただ、アメリカの政治の現状に対する提言は国民が政治に対する意識を持つべきだという、解決策とは言えないようなものでこの点についてはすこしがっかりさせられた。

  • ソロスの講義を文章に起こした一冊。哲学者の一面があるソロスの考え方や、自ら書いた本は内容が非常に難しいので、この本で入門しておかないと理解できない。

  • 本書の中でソロス自身が、「哲学者になりそこねた人間の悪あがきのような講義だけども」と、いうことを言っていたが、そんな感じの本。

  • 金融投資家として知られる、ジョージ・ソロス氏の中央アジア大学での講義をまとめた本。
    1930年ハンガリー生まれ(81歳?)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス卒。
    2010年6月初版。189ページ。
    訳が上手いのか、そもそもソロスの話が分かりやすいのか、日本語的な部分での読みにくさが少ない。(訳:徳川家広)

    金融投資家として有名だが、哲学者カール・ポパーに師事している通り、
    科学論的な見地から、社会科学全般を把握しようとする視点が印象的。

    第一講義では、「可謬性」と「再帰性」という概念を使って、
    経済学をはじめとする従来の社会科学の欺瞞的な視点を否定している。
    この章は、哲学的な話ばかりなので、やや理解しにくい。
    大学時代に受講した「科学論」の講義を思い出した…。
    しかし、難しい語彙と難しい表現をしているが、簡単に言ってしまえば、ごく当たり前のことしか言っていない。
    問題は、これまでの社会科学がその当たり前を無視したところで、「科学」と認められてきたことであり、その点を否定したいというのが主張。

    第二講義以降では、この視点に基づいて、従来の金融・経済理論を否定し、
    現実を正確に理解するための、新しいパラダイムと理論的な枠組みが必要だと主張。

    より具体的には、現在の国際金融市場は放任主義が過度に進んでおり、
    政府によるコントロールがないため暴走し、
    その結果としてのバブル崩壊で壊れてしまっており、
    これを、従来とは違った形で再構築しなければならないという話。
    これまでに読んだ浜先生や、榊原氏などの話とも通じるところがある。

    どの著者についても言えるが、
    結論として、アメリカの世界金融市場における地位の低下、
    中国の地位の向上、
    その現実を直視した上でのシステムの再構築。

    話が哲学的・概念的なので、なかなか理解が難しかったが、
    表面的な現象だけでなく、
    「社会科学とはいかにあるべきか」という点から議論を始めた結果として、
    その背後にある社会の変容について結論付けているので、
    議論が深いと思った。

    とはいえ、全て理解できなかったので、再度読み込んで理解したい。

  • 経済学の本として、クーリエ・ジャポンで薦められていたので、読んでみたら、どちらかといえば哲学と政治経済の本でした。
    それゆえ、というべきか、とても分かり易くて面白い本でした。
    ソロスさんが引用するのポパーやヘーゲル、マルクス、フロイト、ケインズ、フリードマン、とメインストリームなので、考え方を追いやすいし、わからない専門用語も脚注が下についているのですぐに参照できて、読みやすいです。
    今まで出会えなかったのは、投資家、ということで、やはり学問のメインストリームに乗っていなかったから、引用・参照・比較検討・反論されて来なかったというだけなのかもしれません。
    この本のおかげで私もポストモダニズムの混沌から抜け出し、少し大人になれそうな気がしました。

  • 哲学者になりたかった男 ソロスが、
    リーマンショックを預言的にとらえた考え方を披露。
    全てを掴みきれたわけではないが、
    いわんとすることが何となく見えた気がした。
    一言で言えば、歪んだ認識が、歪んだ状況を生む。
    まとめると『哲学者 世界を象る 枠みつけ』といったところでしょうか?

  • f(現実) → 認識
    f(認識) → 現実

    よって再帰的なフィードバックループが起こる。そういう話。
    市場がファンダメンタルズと近い値を示すのは市場が優れた物差しだからではなく、単に市場がファンダメンタルズに影響を与えているから。言われてみれば当たり前のように思えるんだけど、言われてみるまで思いもよらなかった。

  • 10.10.16読了
    池田
    時間2h
    評価○

    講義録と称した5章構成の語り口調で、ソロス自身の思考(哲学)と近未来の経済について述べている。


    第一講座より
    ・「再帰性」自然科学ではなく社会科学は、観察する側観察される側が共に意志をもった人間である。よってその複雑性が事象の予測不可能性につながる
    ・「可謬性」人間は自分がおかれた状況に関する情報を収集する際によく間違いを犯す
    経済学モデルに対する反論
    ・認知機能 現実⇒認識
    操作機能 認知⇒現実
    認識=思考 と 現実を逆方向に結びつける
    ・バブルのメカニズム
    ・社会科学を自然科学と同列で評価する(にた論理だてできているから良いとする)ではなく
    再帰性を考え評価するべき

    第2講義から
    ・超バブル(1986ごろから成長を続け、サブプライム危機後も弾ける事なく生き残っている)
    ・流動性先行の増大(ケインズ、市場リスクが高まると認識されるとなるべく流動性の高い現金などを持とうとする)
    ポラティリティ(価格の上下変動)が大きくなりすぎ
    ・市場原理主義では。。
    国際金融システムを作り直すべき

    第3講座から
    ・開かれた社会とその敵(カールポパー)
    ・啓蒙主義=理性を全面的に信頼
    再帰性の無視
    ポストモダン主義の言う「啓蒙の誤謬」
    1984(ジョージオーウェル)
    ・ポストモダン主義
    個人主義、普遍主義を非難
    ・開かれた社会
    個人の自由 (中国にない)

    第4講座から
    ・代理人問題 最近まで注目されてこなかった
    ・市場の見えざる手のの背後の政治の見える手
    ・没道徳的である事(市場)は非道徳とは違う
    ・政治は道徳的であるべし 市場主義による混同で、没道徳ではだめ
    ・市場原理主義は世論操作プロパガンダ
    ・開かれた世界の維持は国民次第

    第5講座より
    ・2番ぞこのリスク
    金融システムを延命している
    回復局面が続くと大丈夫と一般的な認識になるが、、、、
    規制の再導入の局面=利害を異にする世界が強調必要なため困難
    ・アメリカが最大の敗者に、中国が最大の勝者に
    ・中国がの経済システム 投資は経済的ではなく政治的に行われている
    ・中国がの天然資源を狙った、以前の帝国主義的行動



    目次
    ■第一講義 人間不確実性の原理
    恩師カール・ポパーとの出会い 
    哲学者志望からトレーダーの道へ
    人間はなぜ「誤る」のか
    解明された「バブル」のメカニズム
    合理的期待の理論を嗤う

    ■第二講義 「再帰性」と金融市場
    金融市場の二大原則
    金融規制当局の役割
    「強い中央銀行」が中国を発展に導いた
    政府のコントロールは「悪」ではない!
    効率的市場仮説を一掃せよ

    ■第三講義 開かれた社会
    政治家の主たる目的とは
    現実を誤解した啓蒙主義
    ブッシュ時代に現実化した『1984』の悪夢
    情報操作の時代
    オバマ大統領への懸念

    ■第四講義 資本主義VS.「開かれた社会」
    代理人は「誰」のために働くのか
    「見えざる手」の背後に潜む「見える手」
    公共道徳の没落
    営利行為と化した「医者、弁護士、ジャーナリスト」

    ■第五講義 未来へ向けて
    「二番底」の可能性は消えていない
    規制もグローバル化しなければならない
    凍結状態に陥ったヨーロッパ経済
    中国のウィークポイント ほか

    ソロス,ジョージ
    金融投資家。ソロス・ファンド・マネジメント会長。1930年ハンガリーに生まれる。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス卒。1956年、アメリカに移住後、証券会社勤務を経て、投資会社(後のクォンタム・ファンド)を設立。以後、世界一ともいわれる運用実績を上げ、今日までに1兆3000億円ともいわれる莫大な資産を築き上げる。1992年には、ポンド危機に乗じて100億ドル以上のポンドを空売りし、莫大な利益を得たために、「イングランド銀行を破産させた男」としても有名になった

    徳川 家広
    1965年東京都生まれ。翻訳家。慶應義塾大学経済学部卒。米ミシガン大で経済学修士号、コロンビア大で政治学修士号取得

  • 要・再読

  • まず、「ブラックスワン」との類似性に軽い驚きを持った。

    「私たちの住む世界の複雑さは、私たちの理解力を超えている」

    「科学的法則はその本質において仮説です。法則の真実性は決して証明できず、ただ検証によって反証されるだけなのです。」

    まさにブラックスワン的世界認識だ。

    その誤謬性を前提として、道徳の必要性を説くとともに、市場原理主義を嫌悪する。

    「市場原理主義に対する私なりの定義は、『市場価値による、他の社会生活、特に政治への不当な審判』というものです。」

    「経済理論を学べば、利己心や利潤動機を道徳的に承認したくなってきます。利己心でもって正直、誠実、他者への配慮などと置き換えてもよいような気持ちになってきます。」

    解決方法として、市場参加者としての役割と有権者としての役割の区別が必要という。

    「市場の参加者としては利己的でかまいませんが、有権者としては公共の利益に導かれるべきなのです。」

    最終講義でリーマンショック後の二番底とアメリカの凋落、中国の台頭を予見し、新しい世界秩序の必要性をとく。

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