- Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062168908
感想・レビュー・書評
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豊臣方となった三人の二代目、上杉景勝、毛利輝元、宇喜多秀家。他の歴史物と違う点は、堺屋太一氏ならではの、対局的な視点から書かれている事にある。なるほどと思う視点が多々ありました。さすがですね。
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いつの時代でも、跡を継ぐってのは、大変だ!
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山陰中央新報で読む。戦国を生き抜くにあたり、先代ほどの才覚なくして国盗りには至らぬ三人。才覚云々より、二代目の立場は難しい。先代が育て、忠誠を誓ってきた重臣たちは皆二代目より歳上で、なかなか統率をとりにくい。若造の当主には経験なく、仕方なかろう。宇喜多秀家は、いくら幼くても「僕」はいただけない。僕ちゃんは、お福の操り人形。上杉景勝は、最後の最後まで尼になった仙桃院に頭上がらず。母君たちがやたら情報を得て、先見に明るい。途中から、小説というより歴史書になってしまった。
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三人はそれぞれの信念に基づいて家を残した。
歴史的に有名な三人がどうやってそれぞれの家を残したのか
今まで知らなかった部分が分かって良かった。 -
世にカリスマの跡を継いだ二代目はたくさんおりますが、
豊臣政権の五大老のうち、関が原の合戦で西軍に組した
上杉景勝(謙信)、毛利輝元(元就)、宇喜多秀家(直家)の
3人の二代目を主人公にした大河小説。
3人の奇妙な巡り合わせは、
戦国屈指のカリスマの二代目として、
信長と戦い、秀吉の味方となり、家康と戦い、
最後に負けたといぅこと。
物語は、上杉謙信が逝って、
上杉景勝が2代目を継ぐ(御館の乱)ところから始まる。
上巻は、明智光秀に謀反の気概が沸き立つところまで。
下巻は、本能寺の変~秀吉の死~関が原の合戦で了。
起と承は、織田信長編(上巻)、転は、本能寺の変編、
結は、秀吉の死編といぅことで、ふつぅの小説であれば、
豊臣政権の五大老になったところで、めでたしめでたし、
ってところでそぅが…、歴史はもぅ一回りしたからね~。
でも…、
長めのエピソードとなる関が原の合戦編まで描かれると、
物語の主張が、とどのつまりはわからなくなったかも…。
上杉景勝と宇喜多秀家は、マザコンちっくだし、
毛利輝元は、決められない男(優柔不断とは違ぅ)だし、
景勝の母仙桃院と秀家の母お福を主人公にした方が、
面白ぃ作品になったかもなんて思いますた…。
主人公の3人+αの登場人物が、
めまぐるしく絡み合い、展開する複雑な構成だったけど、
お話そのものは、史実をトレースした感じだったので、
読み易かったけど、深みはなかったかな~。
それでも、本能寺の変~清洲会議にかけての転の部分は、
冷や冷や感も伝わってきたし、よかったと思います。 -
上杉、宇喜多、毛利の二代目を描く下巻。
信長の死、秀吉の死、家康の繁栄の中で3人の二代目が如何に苦労したかが解る。同時進行のため、日本全体がどの様だったかが判り面白い。
が、全体的に盛り上がりに欠ける。宇喜多家に関しては二代目より母親の方がメイン。上杉家も同様。毛利家は二人の叔父。それぞれの苦労話のような小説だった。 -
あまり取り上げられることのない3人の2代目から見た戦国時代の生き残り方。3者3様、人それぞれ。2代目は大変!
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三人の二代目→上杉景勝、毛利輝元、宇喜多秀家の三者から見た戦国から関ヶ原以後まで描いた歴史小説です。
視点は面白く、あまり描かれない三人について知れたのは面白かったです。特に毛利元就を読んだ後なので毛利輝元についてよく分かりました。
偉大過ぎる父親や祖父を持つが故の苦悩がよく描かれています。
ただ若干、現代の問題や組織のあり方に関して、比較しつつ描かれていたり、その原型をこの時代に求めている考えも描かれたりしていますが、無理もあるのではと考えました。もう少し理論的裏付けや資料的裏付けもあればなぁと思わざるを得なかったです。
もう1つ感じたのは、津本陽さん著「宇喜多秀家〜備前物語〜」でも感じた事ですがやはり豊臣秀吉や徳川家康を中心に描かれ、この二人に引っ張られて描かれているような感じを受けました。
これは仕方がない事かもしれませんが。
三人については非常によく分かり、視点も面白かったので余計にそう思います。 -
下巻は秀吉目線の展開でした。
上巻は、毛利、上杉、宇喜多家の視点から天下の状勢を見ていたのですが、下巻ではその展開が薄れてしまっていたのが残念でした。
出来れば、上巻の様に三家の視点から秀吉の天下取りの様子を描いて欲しかったところです。
関ヶ原の戦に関しては、比較的三家の目線でサラッと流しているのに、秀吉が天下を取るまでを秀吉目線で展開しているところがちょっと・・・。
恐らく、この作品の読者であれば、秀吉がどの様にして天下を取ったのか位は分かってるはずですので、それを三家の視点から見るとどうだったのかという展開にして欲しかったですね。
ただ、単純な小説風ではなく、当時の状況を現代風の政治・経済視点で捉えて展開している点は、堺屋氏らしい作風で興味深かったです。