戯史三國志 我が槍は覇道の翼

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062171984

作品紹介・あらすじ

君に大望はあるか?"江東の虎"孫堅が問う。とるべきは野心の槍か、義の翼か。呉の"いぶし銀"程普の怒りが、悩みが、悦びが、誰も読んだことのない三國志の扉を開ける。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第2作目の本作は、呉の国を描く。

    孫堅、孫策、そして孫権と、三代の主に仕えた程普を主人公に据えて、
    孫家の興隆、苦難の時期、そして呉という国の勃興期を描く。
    最後のクライマックスが赤壁の戦い、というところも三国志ファンにはたまらない。(赤壁の戦いでの、孔明と周愈の描き方もちょっと違う味付けとなっている)。

    前作と比べて、文もストーリー展開も一段とパワーアップしており、何より登場人物たちの熱き志が描かれているのは嬉しい。
    劉備・曹操に比べて、比較的地味目な孫家三代の主である孫堅、孫策、孫権のキャラクターがとても魅力的に描かれている。

    次作が楽しみ。
    順番的には、蜀になるのだろうが、劉備・孔明・関羽・張飛などの主役級は主人公にはしないはずなので、誰が主人公になるのだろうか?

    早く死んだため、孔明の陰に隠れてしまった、鳳雛こと「龐統」あたりはどうかな?

  • 孫家3代に仕えた、程普の長い旅路の物語。もう廖淳(廖化)の物語並に渋くて硬派。最後の「三つの旗のうち最後まで翻っていたのは、正統でも大義名分でもない、野心の旗であった。」がめちゃ好き。野心の旗=孫呉のことなんだけど、帝国設立に関して何の論理も持ない呉、野望と夢で立った呉国が最期まで残るなんてエモいよなぁとこの一文で思った。
    孫家の重鎮として働くうちに、いつしか古株過ぎて周瑜に不満を隠し切れず、老害になりつつあったことに苦悩する程普殿がめちゃくちゃ良かった。
    あと廖淳サイドだとどう見ても赤壁で戦死してるから彼に無事を知らせてあげて欲しかった(汗)
    この時代に通信手段がなかったことが変なところで惜しまれたけど、その後の蜀と呉の関係的にも悲劇は免れなかっただろうから、廖淳程普親子のお別れはあの瞬間である意味良かったのかもしれない…

  • 三部作、全て読了。今作は、程普の話。三冊全て読むと、より立体的な作品郡になる。
    今年の夏は(もう夏終わっちゃったけど)、三国志の夏だった。「我が」シリーズの探索。文庫ももちろん単行本ももう売ってなくて、古本で探して、集めて、読んだ。上野の三国志展にも行った。曹操のお墓発見!
    ふ~。お腹いっぱい。スマホで、「真三国志」やろっと♪

  • 私の涙を返して欲しい(爆)
    今回の主人公が孫家三代に仕えた程普。
    周瑜・黄蓋・魯粛に比べてやっぱりマイナーな人物ですが、この作者にかかればとても魅力的な人物に大変身!(嫉妬もするし、ずっと仕えていた&育ててきたといプライドから段々「老害」化するも妻子の言葉で気づいて身を正すとか人間臭いところも)
    ずるいわー、マジでずるい。
    前回「糸」で陳宮が不可解に思った程普の行動の真意がこの本で解ったり、汜水の戦いでは今回は孫堅側からの見方と1つの事をいろいろな側面で読めるのは面白かった。

  • 呉の参謀でもあり武将でもある程普の、孫堅・孫策・孫権3代にわたる臣としての道程。見込んだ主・孫堅が若くして目前で倒れてしまった絶望感、孫策のもとで周瑜の台頭による無力感と嫉妬心。一見地味な程普ですがその人生を見事に魅せてくれました。特に周瑜との軋轢と葛藤、わかりますわかります。そしてそれを乗り越えたのは真似できません。さすがです。しかし、孫権は出来過ぎwwの、美味しいとこ総取りww。

  • 「我が糸は誰を操る」の陳宮の時も「そこいくかぁ~!」と思いましたが今回は呉の武将の中でも長老の域に入る孫家三代に仕えた程普さんです。

    正直、呉の知識に明るくない私に程普さんを持ってこられちゃ
    「わかりませ~ん!!」しか出てこない。

    孫家三代に仕えたって聞くと黄蓋さんの方がピンとくる。

    ほぼ無知識で読みましたが・・・うん、面白い。。

    まず何が面白いかというと・・・若い!!
    孫堅も程普も黄蓋も韓当も朱治も…みな若い!!

    私が気付くとすでに彼らは老けこまれているから(かたや死んでいるし)
    この若々しさはかなりイメージが変わるかも。

    主役の程普さんは戦闘力も高く戦術戦略にも長けていてかなりバランスの良い武将。

    この本ではそれに人間味がプラスされてとても読みやすく感情移入もできる。

    ラスト間近はもう・・・。

    私個人の読みどころは・・・孫堅がカッコイイ!!
    それと前作の主役・陳宮や曹操とのリンクもあってちょっとしたお得感。

    そして呉の家族的な温かさが羨ましく思えました。

  • 孫堅、孫策、孫権と代替わりしていく呉を、程普の視点で見ていく。呉の人物たちが丁寧に描かれている。
    個人的には、周瑜と孔明の対峙にゾクゾクした。次が楽しみ。

  • うっほ~~~!!!!
    今度は程普ときましたか。呉好きには堪らんですな。
    堅パパ以下、皆、若い!!!!(当り前か)
    策兄もほぼイメージ通りだし、堪能させていただきました。
    敢えて突っ込むなら、愈河と凌統忘れんといて欲しかったですな。愈河りんは呂範とセット販売だと思っているので、ほんとに残念。凌統は凌躁パパが甘寧に殺された~て文章はあったので、あと一文!あればっ。
    つか、朱然もいないんだけどさ。
    地味に、前作と繋がってますよね。とにもかくにも、今後の活躍が楽しみです。
    魏、呉ときたので、次は蜀かしら~。お使い孫乾か、糜竺・糜芳兄弟あたりでどうでしょう?

  • 程普主人公というより「程普の視点から見た孫家三代」。派手な活躍がないキャラクターをどう主人公にするのかと思ったら、志半ばで倒れる孫堅・孫策を描くためには必要な視点なんだな、と思わせられました。
    話に生かされていないエピソードがあったけど、今後に書かれるものに生かされるのかな?

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著者プロフィール

吉川永青
一九六八年東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。二〇一〇年「我が糸は誰を操る」で小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。同作は、『戯史三國志 我が糸は誰を操る』と改題し、翌年に刊行。一二年、『戯史三國志 我が槍は覇道の翼』で吉川英治文学新人賞候補。一五年、『誉れの赤』で吉川英治文学新人賞候補。一六年、『闘鬼 斎藤一』で野村胡堂文学賞受賞。近著に『新風記 日本創生録』『乱世を看取った男 山名豊国』などがある。

「2023年 『憂き夜に花を 花火師・六代目鍵屋弥兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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