- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062172066
作品紹介・あらすじ
世界史は、謎の殺人事件から始まる一種のミステリーである。イエスはなぜ殺されたのか。その死と復活を記した福音書の物語は喜劇なのか。常識を覆しつつ紡がれる、まったく新しい「世界史」という物語。
感想・レビュー・書評
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キリスト教を宗教として考えると、「神」を信じるかどうか、というところで議論は止まってしまうかもしれませんが、ある種の哲学や思想として考えると、その時代背景や出どころをあれこれ考える議論につながっていくことができるんですね。
ギリシャ哲学とキリスト教を同じフィールドで考えたことがなかったので、なかなかおもしろかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<大澤社会学 近代の謎に挑む>
何という面白さ!
何という知的刺激!
これぞ読書の醍醐味だ!
一度読むだけでは勿体無い(充分理解できない)。
何度でも読み、読書ガイドとして活用するのも良い。
生涯の友となり得る傑作だ。
「普遍性の中に潜む特殊性」という謎を資本主義に探り、その資本主義を超える構想を得ようとする壮大な意図に基づいて開始された歴史探究の旅。
その記念すべき第一作。
資本主義が誕生する以前の歴史、資本主義の胎児期をキリスト教に定めて、キリスト教の持つ「不思議な」特殊性と、それが一番普遍性を獲得してゆく過程を哲学•社会学の最新の知見を総動員して暴いてゆく。
その論考のスリリングなこと!
動員されるのは、レヴィナス〜ハイデガー〜田川建三〜ブルトマン〜真木悠介〜ウェーバー、ときている。
これ以上強力なラインナップは考えられない。
現代社会は、古代におけるひとつの謎の殺人事件(キリストの刑死)という謎=ミステリーからスタートした。この歴史ミステリー=謎を解剖する手つきはあまりに鮮やかで且つアクロバティックだ。
まるでミステリー小説のようだ。
大澤の凄さは、資本主義の濫觴であるキリスト教の謎に迫り、返す刀で資本主義超克の方法をそこから見出すという二段構えの企てを、力技でやり切ってしまうところにある。
彼は決して歴史に沈潜して、歴史ミステリーを楽しむ歴史愛好家とは対極に位置する。
得た知見を全力で大胆不敵に、現代社会の課題に応用する常にアクチュアルな社会学者なのだ。
複雑な現代社会の課題を解決するという使命感が、この膨大な知的作業を支えている。
橋爪大三郎との「ふしぎなキリスト教」の明快だが極めて大括りの議論に飽き足らない向きは、本書を手に取るべきだ。
キリスト教の持つパワーと不思議さが身に染みること請け合いだ。
あまりの面白さに、他の本が読めなくなっても、それは自己責任ということで。
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<世界史>の哲学 古代篇
(和書)2012年01月11日 10:38
大澤 真幸 講談社 2011年9月21日
興味のあることが主題になっているから凄く面白かった。
イエスとソクラテスの類似点、差異を指摘していたり、兎に角興味深い。関係性を丁寧に指摘していてなかなか良い読書ができました。
こういうことは自分自身で考えてみなければ駄目だろうとも思いました。決して知識としてだけではなく。 -
ギリシャ哲学から読まないとさっぱりわからん。
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(チラ見!)
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ユダヤ教~キリスト教世界を知るための必読の一冊
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特異でありながら普遍性を帯びることとなった近代への問いの解を、キリスト教を軸に追求。この古代篇では特にイエスの死を中心に据え、ソクラテスの死と比較したり、フーコーやハイデガー、レヴィナスなどの言葉を引用したりしつつ、「推理」を展開していく。
そう、まるでミステリーを読んでるような「謎解き」の爽快さを感じながら読み進めてしまうのだ。歴史書でも思想書でもなく、ミステリーとして楽しむべきでありましょう。 -
世界史とは言っても、キリスト教の起源に特化している。