- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062178402
作品紹介・あらすじ
インテリアコーディネーターの吉居杏子は大手ハウスメーカーを辞め、南青山の小さな設計事務所で働く34歳。元同僚・山本浩一郎とは6年間交際している。結婚も考えるが、浩一郎の態度がはっきりしない。そんなおり、新潟でひとりで暮らす祖母に大変な事件が降りかかる。人生の転機を迎えた30代女性の姿をさわやかに描いた長篇小説。
感想・レビュー・書評
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青木奈緒さん、2002.11刊行(2005.11文庫化)の「動くとき、動くもの」は祖母幸田文が訪れた現場を辿る道であり、砂防の現場から自然と防災について考察した作品でした。今回、2012.11発行の「風はこぶ」を読みました。ドイツ語ぺらぺら、家づくりの仕事をしている吉居杏子34歳が主人公、そして造園の専門家 杉崎和眞が物語に深みを与えています。人にとって家とは何か、住むとは、暮らすとは何か、地震による家の倒壊、家財の喪失などを目の当たりにしながら、新しい風に向かって生きて行く、そんな物語です。
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設計建築事務所で働く女性のお話。
描写がすばらしい。 -
大手住宅会社から、小さな設計事務所に転職した照明コンサルト吉居杏子の恋愛物語。釣船のオーナーの六さん、彼女の祖母たちが活き活きと描かれている。『歩み入る者にやすらぎを、去り行く人にしあわせを』という物語に登場する言葉が、この小説の隠れたテーマかもしれない。
中越地震で倒壊した祖母の家から見つけ出した、祖父の歌声が録音されているカセットテープ、結ばれなかた恋と結ばれようとするふたつの恋、小説としては構成上の甘さを感じる面もあるが、作者のたおやかな感性を感じることができる作品にはなっている。 -
全体的に優しい流れの小説。
主人公、杏子の育った環境や家族、かかわっている人たちが皆、杏子を優しく見守っていて気持ちよく読み終えた。
最近、自然災害を取り入れた小説が多く、その部分が私個人としては残念。 -
ウィルス感染ものを2作続けて読んだ後で、これを読み始めたときは、ちょっと物足りないかも…なんて思ったけれど…主人公にすごく共感するわけでもなかったけれど…読後はとても満足な温かい気持ちになっていた。
人の有り様を丹念に描いた良質の映画を観た後って感じかな。 -
インテリアコーディネイター杏子は長年交際している元同僚との今後に不安を抱いている。
そんなおり祖母が一人暮らす新潟で震災が起きる。
30台女性が震災を機に、恋に、仕事に、人生の転機を迎える。
全体にちょっとばらけた印象あり。
【図書館・初読・1/9読了】 -
★主人公の杏子さんと同じ世代になった。いろいろ悩むことも多くあり、もしかしたらエールをもらえるかもしれないと思い出し、本棚からひっぱってて再読。
生きること、暮らすことは住まいにも直結しているのだなぁとしみじみ。私が大切にしたいものは、月日を重ねていくことに意味があるもの。使い捨てではなく、育てていけるもの。
月並みだけれど焦らずにやっていこうと思えた。(2015/1/8)
★幸田文さんのお孫さんということと、タイトルに惹かれて手にとる。
どうやら最近の私は、建築、住まい、都会の暮らしと山里、その延長にある生き方(?)に大きな関心があるらしい。
とにかく杏子さんの行く末が気になり、ひたすらページをめくってしまったので、今度はゆっくり時間をかけて読み返そうと思う。(2012/12/2)