- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062183260
作品紹介・あらすじ
香りを“聞く”ことができない砂凪は、自分が暮らす高い山に囲まれた町が、かつて海だったことを知る。意外な事実が砂凪を導く。
感想・レビュー・書評
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数日前に読了。表紙絵がすてき。
いくつかの要素を上手にからめていて、構成はとても整っている。けれど、だからこそ、そこにおさまってしまって良いのかな、という気がした。たとえばウェルテルの道行きの扱いは、前半の砂凪の気にかけ方と比べてあまりにも乱雑に思えるし、作中ずっとひきずっている悠の件も、最後の砂凪のことばですむような話なんだろうか。
はじめの頃の作品にみられたような、身体の奇妙さの感覚があまり感じられなかったのが、個人的には残念。 -
装丁に全てが詰まっている。地層、変わりゆくもの、変わらないもの、淘汰されて消えてゆくもの、化石になって残るもの、成長して違ってゆくもの。
もうちょっと書き込んだほうがわかりやすかった気もするけど…。
最後のセリフを言うために紡がれた物語。 -
いろんなことを詰め込み過ぎている感じ。
香道、近所、性同一性障害、えん罪などなど。。。
特に香道のことはとても詳しく描かれていて、興味深く読んだが、この物語のテーマはとか、著者が伝えたいことは何?とか、いろいろ考えちゃいました。
幼馴染の悠が不登校になった理由を砂凪たちが「聞いてみる?」とか相談しているときに、祖母が「そんなの聞かなくても考えたらわかる」といったことを言った場面が印象的でした。 -
中学2年生の砂凪(さなぎ)、珠季(たまき)、蒼太、悠介は小学生の頃からの仲良し4人組だった。
砂凪の祖母はお香屋をやっていて、両親は店を継がないけれど、砂凪は祖母からお香についていろいろ教えを受けていた。お香は好きだけど、香りを``聞く``ことができない砂凪。
ある時、金魚の掛け合わせがうまくいかなかったからと、トイレに流されかけたランチュウの稚魚をもらい受けて育てることにした。出来損ないの自分とランチュウを重ねてみるように。
そんなある日、小学校の時に4人で埋めたタイムカプセルを掘り起こすために忍び込んだ幽霊屋敷で、ある老人と出会う。かつてはその家に住んでいた老人だが、ある事件をきっかけに、この街を出た老人。耳が遠いし死神みたいな風貌だが、タイムカプセルと引き換えに意外なある事を頼んできた。
個性というには、まだあまりにもでこぼこな中学生たち。
積み重なる時間。
タイトルと装丁で、恋愛ものか?とも思ったけれど、青春成長物語でした。 -
香道は、これまで知らなかった世界なので興味深く読めた。
でも、性同一性障害の友人や冤罪となった住人、化石の発掘、と盛り沢山すぎた感じがする。
「ぼくたちの骨」のほうが、ピントが定まっていたように思う。
この作品も、先が気になりながら読み進められたのは、作者の力だとも思う。 -
4人の中学生。昔は仲良しだったけど思春期を迎えてギクシャクして、でも皆で埋めたタイムカプセルとか、自分達の生活とかを相手に先へと進んでいく青春物語