夕張再生市長 課題先進地で見た「人口減少ニッポン」を生き抜くヒント
- 講談社 (2014年10月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062191401
感想・レビュー・書評
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夕張は我が国で唯一破綻をした自治体だ。イメージは暗い。日本で1番高齢化が進む場所。
しかし本書を読むとそのイメージは一新される。
夕張には希望がある。
希望の種がたくさん蒔かれている。
種を蒔くのは著者である鈴木直道夕張市長だ。
彼の筆致は常に前向き。まるで絶望を絶望とも思っていないかのようだ。彼の言葉には勇気をもらう。
意志とビジョンをはっきり提示する。
これは有能な人間なら出来ること。鈴木市長もしかり。しかし難しいのはそのビジョンの実現へのプロセスである。
彼はそれを真正面と搦め手からと両面から攻めているようだ。国を動かすためには王道だけでは不可能。彼の繰り出す“作戦”は決してテキストには書いていない。彼の持つ発想と環境を最大限活かすこと。
これは社会をサバイブすることに必須のスキルだ。這い上がりたい人間は限りある環境の中でこそ自由を追求しなければならない。
そんな人物が前向きに見据える夕張は希望の街である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まさか東京都職員をしていた自分が破たんした夕張市長になるとは夢にも思わなかっただろう。
しかしその行動力はすごい。応援したいです。
まずはふるさと納税か? -
若くして夕張市長となった佐藤直道市長の熱意・取組に心を動かされました。夕張市が日本・世界の最先端の取組みとして成功していくことを見守っていきたいと思います。また、もっと日本の未来、政治とか問題意識を持たないといけないと感じさせた一冊でした。
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20141202読了
2014年出版。著者は1981年生まれ、2011年より、財政破綻した夕張市の市長職に就いている。副題どおり、少子化、高齢化、そして債務…夕張市は、人口が減少していくこれからの日本社会の姿。そういう意味で「課題先進地」。市長になる前(東京都職員で夕張市に派遣されていた時期)と市長になって4年目の現在に至るまでの夕張の変化を追っていく。●行政が決定したプランを通告するだけでは、住民の側は賛成か反対かのみで議論が深まらない。選択肢を示し、決定までの過程を説明し意見交換するステップが必要なのは、住民自身の問題として受け止めてもらい、行政と住民がともに考えて結論にたどりつくため。こういった行政任せにしない態度づくりが重要なのは分かる。が、なかなかそうもいかないものだよね…しかしお尻に火がついたらやれるのだから、行政・住民の両者が本気になるかどうかにかかっているのだろう。ただ、こまめに住民と行政が対話をするシステムは、大都市よりも夕張市のような自治体(人口1万人以下)の規模が適正なのではという気がした。行政と住民が建設的に議論して、小さくても暮らしやすい街をつくり上げることができる、それがある意味、人口が少ないことの強みなのかも。●夕張市・北海道・国の「三者協議」は、専門性と継続性を維持するため、市長・知事・大臣という政治家を排除した、役人レベル(実務レベル)の話し合い。協議の中で政治判断が必要になったら、政治家が判断する。●コンパクトシティ計画がどのように進むか、気になるところ。住み慣れたところを離れる決断はなかなか難しいものだから。だからこそ、強権的に推し進めるのではなく20年という長期スパンで臨み、対話を重視する姿勢には好感が持てる。 -
道民として、財政再生団体である夕張市での取り組みを知るために購読。
人口減社会である我が国以上の課題を先進的に抱える夕張は北海道・日本の将来を考える上でのヒントとなるだろうと思った。
当時に、道民としてまた国民として、夕張の事例を対岸の火事ではなく、私も当事者として考えていかなくてはならないだろう。
その中で、夕張において関心を持った点は以下である。
⒈財政再建と同時に地域再生に取り組んでいる点
⒉国・道・市の三者会談や市民参加など、関係者皆を当事者として巻き込んでいる点
⒊その中心で人々を惹き続ける鈴木市長のリーダーシップ
この本をきっかけにこれから自分に何が出来るか、夕張の事例をどう活かすかを考えていきたい。