- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062191418
感想・レビュー・書評
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西鶴の娘おあいは父が自分勝手だと反感を持って育ちました。初め、父への厳しい目線が続き、読むのが気重でしたが、次第に父親なりに注がれる愛情に気づき、互いの気持ちが通い合うようになっていきます。この辺りが読んでいて心が暖かくなります。多彩な登場人物を丁寧に書き分けて、上手いなぁと唸らせます。西鶴の生き様や活気ある大阪の描写など見所も満載です。最後の数ページに至り、目頭が熱くなりました。いい小説ですねぇ。
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井原西鶴は寛永19年(1642)生まれで、松尾芭蕉や近松門左衛門と同時代を生きた俳諧師でもあり浄瑠璃作者でもあった。若くして妻を亡くし、娘と大坂に暮らしながら、全身全霊をこめて創作に打ち込んだ西鶴は、人間大好き、世間に興味津々、数多の騒動を引き起こす。ほんま、はた迷惑なお父はんや。日本初のベストセラー作家にして娯楽小説の祖・井原西鶴。娘との日々の暮らしから、謎に包まれたその人生に迫った。直木賞受賞第1作!
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盲目の娘から見た、父、井原西鶴像。
最初はストーリーの起伏に欠けて入り込みにくかったが、歌舞伎役者が絡んできてからは、娘の父を見る目もぐんと大人びてきて、西鶴の姿がより立体的に見えてきた。遊び好きなだけでなく、俳諧の世界で認められたくてもがいている人間的な西鶴には、親しみを覚えた。 -
従来の商売人としての西鶴だけでなく、
芭蕉にも嫉妬し、己の表現に苦悩する西鶴。
知らざれざる娘から見た新しい西鶴像! -
井原西鶴と娘の物語。盲目の娘、おあいがせつない。
元禄の大坂の町人の言葉が、懐かしい。おばあちゃんの使う言葉と、ほぼ同じ! -
関西弁を読むのに慣れなかったけど、面白かった。
どこまで事実に基づいているんだろう。
西鶴に本当にこんな娘がいたのかな。
松尾芭蕉や近松門左衛門もさらりと登場して楽しかった。 -
阿蘭陀西鶴ここにあり!
洗練されてもいないし、高等なテクニックがあるでもない、でも温もりや人間のおかしさがそこにある。
西鶴の作品はまさに彼の人柄でできていたのかと思うと、嬉しくなった。
おあいちゃんもかわいいねぇ。 -
BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー「ブックサロン」で登場。
http://harajukubookcafe.com/archives/440
ゲスト朝井まかてさんの最新作。
「別の作品のための資料調べで元禄時代の風俗文化を調べたかったんです。それで、ああそうだ、井原西鶴はそういうことをすごく書いていたと思いだして、学生時代以来にもう一度読んだんですね。そしたらやっぱりこの人自身(井原西鶴)についても書きたいなとなってきまして。出会いですね。」(朝井まかてさん)
原宿ブックカフェ公式サイト
http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
http://nestle.jp/entertain/bookcafe/ -
井原西鶴の生き様が、その娘あおいの視点で描かれる。盲目のあおいに、音や匂い、手触り肌触りを使うことを教えた母親のセリフが良かった。「自分で掴まなあかんのや。己が生きてるこの世界がどんなとこかを」初めはいなくなってほしいと思っていた父西鶴のことをしだいに好ましく思うようになるあおい。それにつられて私も西鶴のことが好きになっていった。あおいの作る料理がとても美味しそう。天地明察の主人公算哲さんが少し話題に上がって嬉しかった。
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井原西鶴と盲目の娘おあいの間に通う情の時の流れによる変遷。淡々とした表現ながら、松尾芭蕉への敵愾心、あるいは嫉妬、近松門左衛門への複雑な思いなど面白く読んだ。