もみ消しはスピーディーに

著者 :
  • 講談社
3.20
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本棚登録 : 83
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062191685

作品紹介・あらすじ

警察組織を監視するはずの監察官が不祥事を起こしてしまう。たまりかねた警察トップは、アメリカで発展を続ける諜報企業「リスクヘッジ社」を、監察を含めた組織全体を監視する役割で、第三者機関として採用する。リスクヘッジ社vs監察。組織内の不正をどちらが先に発見するか。監察が先んじれば不祥事がまたまた明るみに出て、リスクヘッジ社は不要、日本から撤退ということになる。しかもリスクヘッジ社は、警察トップのほんの一握りしか知らない密命を帯びていた。即ち、監察を出し抜いて不祥事を隠蔽し、不正を「無かったこと」にしなければならないのだ。情報社会における国民生活の安全をも揺るがす、壮大なスケールのインテリジェント・バトルがはじまった!

感想・レビュー・書評

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  • 今月25日に発売だそうです。読者モニターでお先に読ませていただきました。評価は、深いようで深くない気もするし、よくわからん、というところ(^_^;)。

    現在、日本版NSCと呼ばれている国家安全保障会議の発足により、各行政機関が持つ機密情報が集約化されている。その機密性を保持するため、リスクヘッジ社はK庁を皮切りに、外務、防衛といった省庁にも入り込み、情報統制力を強化する予定だった。
    そうなれば、アメリカのNSCと対等の立場となり、現在ではできていないトップシークレットの情報を交換することができる。今の日本の情報統制力では、アメリカは情報の共有を渋っている。体制の甘い日本側から漏洩する可能性を危惧しているのだ。(略)
    このようして、リスクヘッジ社は少しずつ外堀を埋めていき、やがて、情報統制力が強化された日本は、多少の自由を犠牲にした大きな安全を手に入れる。(270p)

    昨年末矢継ぎ早に強行された特定秘密保護法や国家安全保障会議の発足。そして今夏の集団的自衛権の解釈改憲。それらの現実とシンクロするように、K庁の情報統制力を民間外部委託によって強化される「小説」が出来上がってしまった。

    TPPも結局は日本経済がアメリカ経済に「取り込まれる」過程に過ぎないとしたら、遂には日本安全保障もアメリカ安全保障に取り込まれる過程を、作者はまるで日本の老舗企業がアメリカ発祥の国際的な大企業に取り込まれるように描こうとしている。

    もちろん、見た目には警察組織のよくある不祥事隠蔽小説の体裁を、少し軽く描いているだけのようにも見える。

    そういう軽い描き方がかえって恐ろしい。

    作者の他の作品は知らないが、作者の「ホントの意図」が町田の誤魔化し方と同じように測ることが出来ない。単なる「流行としての情報統制」を描こうとしているのか、それとも腰を据えて日本の闇にメスを入れようとしているのか。今のところは、単なる前者のような気がする。
    2014年8月22日読了

  • 警察の不祥事をもみ消すリスクヘッジ社の設定がブラックでワクワクした。監査官と記者がリスクヘッジ社のもみ消しに気づき始め、リスクヘッジ社よりも先に不祥事を明らかにしようとする。監査官に不祥事を明らかにして欲しいような、リスクヘッジ社が早くもみ消して欲しいような…どっちが勝つのかハラハラした。

  • 警察組織を監視するはずの監察官が不祥事を起こしてしまう。
    たまりかねた警察トップは、アメリカで発展を続ける諜報企業「リスクヘッジ社」を、監察を含めた組織全体を監視する役割で、第三者機関として採用する。
    リスクヘッジ社vs監察。
    組織内の不正をどちらが先に発見するか。
    監察が先んじれば不祥事がまたまた明るみに出て、リスクヘッジ社は不要、日本から撤退ということになる。
    しかもリスクヘッジ社は、警察トップのほんの一握りしか知らない密命を帯びていた。
    即ち、監察を出し抜いて不祥事を隠蔽し、不正を「無かったこと」にしなければならないのだ。
    (アマゾンより引用)

    何かどっちに肩入れしたらいいのか分かんないお話でした。

  • 警察の不祥事。揉み消す民間企業。
    アメリカの意向を受けた監視社会への地ならし。
    結果、不祥事が減ることは良いのか。
    監察官のプライド。自浄能力の無さ。
    どちらが主人公なのか分からない。
    揉み消しを阻止して「奴等を出し抜いた」も情けない。暗躍するので活躍も少ない。スーパー能力過ぎる気もする。アイアンメイデンが思わせ振り過ぎた。エンターテイメントだけであってほしい。

  • 警察の不祥事を揉み消す民間会社と監察やマスコミがからんでもっとスリリングな展開を期待したけれど、わりとあっさりだった。揉み消しで警察を辞めた人たちが出会う場面はブラックで良かった。

  • 帯にあったほどの面白さはないが、暇つぶし程度にはなる。もう少し攻防が面白いと良かったかな。

  • (収録作品)不祥事、もみ消します/二つの不正/酸っぱい葡萄

  • ★★☆☆☆
    見えない"もみ消し"
    【内容】
    警察の監査官の不祥事が発覚し、監査官を見張る、「リスクヘッジ社」が導入された。
    この「リスクヘッジ社」の真の目的は不祥事を"もみ消す"ことだった。

    【感想】
    本書で読みたいのは、"もみ消し"だと思う。
    しかし、"もみ消し"はあっさり終わります。てか、もう終わっちゃってます。
    読者が読むころには、ハッキングして終わっておきましたけどなにか?って感じ。

    そりゃないわー。
    大事な所をすっ飛ばしたご都合小説の出来上がりです。

  • 惜しいなぁ、なんか惜しい…。主人公男のが良かったんじゃないか?硬派か軟派かなんかこの中途半端感は何なんだろか。ちぐはぐなんだよね、何かが。題材がいいだけにもったいない。

  • うーん、テーマは面白いけど結構野放しなイメージ

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著者プロフィール

1985年神奈川県生まれ。25歳のときに書いた『グレイメン』で2011年に国際的小説アワードの「ゴールデン・エレファント賞」第2回大賞を受賞。’12年に同作品が日米韓で刊行となり、26歳で作家デビューを果たす。『エウレカの確率 経済学捜査員 伏見真守』は、経済学を絡めた斬新な警察小説として人気を博した。また’18年に『60(ロクジユウ) 誤判対策室』がドラマ化され、『20(ニジュウ) 誤判対策室』はそれに続く作品。その他の著書に『小鳥冬馬の心像』『法廷外弁護士・相楽圭 はじまりはモヒートで』『ため息に溺れる』『キリングクラブ』『第三者隠蔽機関』『本と踊れば恋をする』『この色を閉じ込める』『断罪 悪は夏の底に』『いたずらにモテる刑事の捜査報告書』『私はたゆたい、私はしずむ』『闇の余白』など。現在は医療系企業に勤めながら、執筆活動に励む。

「2022年 『ゾンビ3.0』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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