叛徒

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 267
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062193313

作品紹介・あらすじ

新宿署の通訳捜査官・七崎隆一は、正義感から義父の罪を告発したが自殺に追い込んでしまい、職場でも家庭でも居場所がない。歌舞伎町で殺人事件が起きた直後、息子の部屋で血まみれのジャンパーを発見した七崎は、息子が犯人である可能性に戦慄し、孤独な捜査を始めるが――。

家族を巡る贖罪の警察小説は、衝撃の結末を迎える。
『闇に香る嘘』がミステリー界を揺るがせた新乱歩賞作家、早くも第2作!

感想・レビュー・書評

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  • 著者の作品は2冊目。
    主人公があまり聞き慣れない通訳捜査官であることに興味を持ち、手に取った1冊。
    新宿署の通訳捜査官である七崎は、自分の師であり、義父の不正を暴いたことで、義父を自殺に追いやり、同僚からは「同僚を刺す人間」として距離を置かれていた。
    そんな中、歌舞伎町で中国人が殺される事件が起こる。
    第一発見者の中国人の取り調べで通訳をすることになった七崎。しかし、この第一発見者の王もかなり怪しい人間であることに疑問を抱く。
    そして、自宅の息子の部屋で目撃証言にあった水色の龍の模様の入ったジャンバーを見つけたことで、今回の殺しに自分の息子が関わっているのではないかと、疑心暗鬼になっていく七崎は取り調べで嘘の通訳を重ねていく…
    義父が取り調べで、通訳と見せかけて、否認していた被疑者を脅し、無理やり送検したことを密告した七崎だったが、今回の事件で義父と同じ罪を犯す。しかし、それは大事な息子を守るためであり…と言った心の葛藤が描かれるが、どうにも共感が出来ない。七崎の独りよがりの目線で描かれるせいか、事件や関係者が全て裏がありそうな描き方を中盤でしているのに、読み終わってみれば、ほとんどの人が悪い人ではなかったと言うのも腑に落ちない。
    前作を読んだ時にも感じたが、歪んだ人間像を描くのが得意な作家さんなのだろうか?
    だとしたら、きっと私はまだこの作家さんを理解してないのかもしれない。だから、何となく読後感がすっきりしない。

  • 前回読んだ下村作品「刑事の慟哭」で主人公だった田丸刑事が登場し、繋がってる!と少し嬉しくなる。

    通訳捜査官なる人たちが居ることを本書で初めて知る。

    同じ職についていた義父の不正を告発し、自殺に追い込んでしまった主人公の七崎。
    ある殺人事件に自分の息子が関わっているのでは…と単独で捜査を進める。

    話の中で出てくる外国人技能実習制度、実際はもっともっと闇が深そうだ。

  • 義父を内部告発した主人公の刑事が、今度は息子が犯人では?と葛藤する話。自分にも息子がいるので、親の気持ちが痛いほどよくわかった。

  • 安定の下村先生

    全てが伏線

  • 叛徒 とは中国語でパントゥ?と読み、裏切り者という意味だそう。
    中国人研修生の制度の闇を追及していて、多分これ現実世界で実際起きている話だと思うんですが、なかなか解決していない。この辺の話は新宿歌舞伎町を舞台に読み応えがあった。
    けど、誤解があるとはいえなぜ主人公は嘘をつくのか。結果的に捜査がややこしくなっただけでは?その辺の心情を理解できなかった。
    家族の問題を絡めるために、息子を不登校にしたり、いじめの首謀者が自分の上司の息子にしたりしていたが、こちらの話はツッコミどころが多く、あまり得意ではないんでしょう。
    美人の黒河内さん、美人とくればどうして無駄に脱がせて縛ってみたり、SMクラブでバイトさせてみたりするんだろう?謎。
    中国人研修生の制度の闇と、その他の部分の描き方にギャップがあった。悩んだけどすいませんが☆3で。

  • ドキドキさせられ終盤まで読み進められる。最後は、この結果だといつもは納得いかないが、今回はすんなり受け入れられる。因果応報であるべきか。

  • 絵に描いたような幸せイッパイの家族のプロローグから、嫌な予感が(笑)何かが起きる!何が起きる?ってドキドキしながら読み始めました。

    1章の最初から打って変わって嫌な雰囲気で、あぁ~何か起きた!て、読み進めるのが怖いぐらい。

    通訳捜査官、七崎が息子の部屋で見付けた血の着いた上着から事件の犯人にさせる訳には行かないと、、立場を利用し嘘に嘘を重ね、堕ちていく姿はハラハラしました。

    正義を貫く事で大事な人の命を奪うとしても、貴方は貫きますか?「正しい」とは何か。

    通訳捜査官という職業を通して上手く纏まっていました。

  • いろんなネガティヴな出来事が重なりどこまで酷くなるのかと心配しながら読んだ。こんな終わり方なんだ。ネタバレになるので、これ以上は感想は書かない。

  • 面白かった。最初は家族崩壊してて暗くて嫌だったけど。

  • デビュー作から少し落ちるかな。もひとつでした。

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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