おまめごとの島

著者 :
  • 講談社
3.32
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本棚登録 : 263
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062193597

作品紹介・あらすじ

恋と結婚を諦めた……
アラフォー女性

家庭から逃げたい……
アラサー主婦

過去をひた隠す……
30代イケメン

不器用な大人たちが
小豆島という大きなおうちで巻き起こす
笑いと深い感動にあふれた「絆」物語。

親友を頼り、東京から小豆島へやってきた内向的30代イケメン・秋彦。島内のホテルで仕事を始めるが、恋も結婚も諦めたアラフォー女性・言問子と、家庭から逃げ出したいアラサー主婦・真奈美の間で、彼を巡りイザコザ発生。さらに東京育ちの美少女の出現で波瀾万丈の予感!? 平穏に生活していた島の人々を巻き込んで、島へ逃げるしかなかった秋彦の内面が明らかになっていく……。「家族」って何だろう? いちばん大事なものって何だろう?

デビュー作『お父さんと伊藤さん』(小説現代長編新人賞受賞作)は
メディア、書店員、読者から圧倒的高評価!
次代を担う新鋭・中澤日菜子の家族小説。

感想・レビュー・書評

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  • 一冊を通して遥ちゃんの成長がすごい!
    小学生の子供にどれだけ助けられてるんだ…大人達!
    しっかりせぃ!

    改めて周りを見ると人ってたくさんの人達に助けられながら、力を借りながらやっと生きてるんだなぁ。
    何気に居てくれる身の回りの人に感謝だなぁ。

    山本さん、いい(*^^*)

  • 無駄なイケメンと言われてしまう秋彦が、
    友人を頼って小豆島へ渡ってくるところから始まります。

    東京での過ちから、二度と恋はしないと決意していても、
    家庭に不満だらけの主婦に追いかけられてしまったり…。
    それが、整いすぎた容姿のせいなのか、
    その優柔不断で情けない性格のせいなのか…。
    共感はできなくても、なんか憎めないひと。

    それにしても、娘の遥が小学生というには無理がある。
    父親が頼りなくて、しっかり者にならざる負えないのはわかるけれど…

    そして、秋彦は東京であったことのすべてを、今、遥に話す必要があったのかな?と。
    遥がもっと成長して、自然に受け止められるときまで待ったほうが…とかね。
    まあ、結果として遥が”逃げちゃダメなんだ”と、
    父親の心を理解できたからいいのかもしれませんが…。

    同じ後悔を抱え島に来た言問子、
    秋彦をフォローしてくれる友人忠興、
    不愛想だけど情に厚い山本のおじさん。
    ”イケメンなのにどんくさい”秋彦のギャップが、
    つい助けてあげたくなっちゃうとこなのかな~

    ”おまめごと”って響きが、とてもかわいいいです♪

    棚田の美しさが印象的で、いつか訪ねてみたいです。
    ちょっとドタバタ感はありましたが、楽しく読めました。
    メルマガ・ミネコが笑えた~。

  •  30~40代。世間的には一人前の大人として自立しているべき年齢。けれど……。
     小豆島を舞台にして、アラフォーの男女とアラサー女性の3人の視点で描く、オトナの成長物語。

          * * * * *

     大人ってどんな人間のことだろう。落ち着きがあり、地に足の着いた生き方ができている。そして、人に迷惑をかけずに生活しているのは何より言うまでもないことでしょう。

     常識的な大人はみんな日々そうあろうとして生きている。しかし何かの拍子にあるべき道を踏み外してしまうこともある。そうして知る世間の厳しさ。精神的・社会的に受けるダメージの大きさ。そこから再起を図るためには?

     肝要なのは「間違えたところまで戻ってやり直す」こと。そして何より、「まめごと」をきちんとこなすこと。
     いいことばが心に響きました。
     
     秋彦・言問子・真奈美。いずれにしても色恋沙汰で道(倫?)を踏み外してしまいました。
     秋彦と言問子の幸せな未来は仄めかされていますが、真奈美の針の筵は当分続くことに。軽率な真奈美にはいい薬だと思います。
     作者の用意したそれぞれの結末がよかった。
     それにしても山本さん、なかなか魅力的なキャラでした。

  • びっくりするくらいイケメンな青年が島にやってきた。けれど彼はどこかぼうっとしていて過去もひた隠しにする。そんな彼の存在が女性たちのあいだで(彼の意図なく)さざ波をたてていく…
    というような筋書きをいえば恋愛もののようですが、それはまだ淡い描写で、そういった恋情よりも人と人との絆や、自分が自分として歩みなおそうとする道行きを描いていく、暖かくて楽しい物語です。
    独特のテンポある文章といきいきした登場人物のおかげでとてもコメディチックではあるものの、けれど深く登場人物たちが背負ってきた「枷」を描き、その枷からいろんなかたちで羽ばたこうともがく姿がとてもリアルに描かれています。

    島っていいな田舎っていいなっていう小説では、ありません。場所に関係なく、しっかり地に足をつけて生きている人々、そしてそうあろうと歩み出している人々のたくましくもいとおしい、そういう感慨を抱く物語、でした。

  • ★3.5

    ホテルを経営する友人の忠興を頼り、東京から小豆島に
    やってきた無駄にイケメンの秋彦。
    忠興のホテルで働き始めるが、同僚で家庭から逃げ出したい
    アラサー主婦・真奈美と隣家に住む恋も結婚も諦めた
    アラフォーの言問子との間で、彼を巡りイザコザ発生。
    さらに、東京から娘の春かがやって来た…。
    平穏に生活してた島の人々を巻き込んで、
    島へ逃げるしかなかった秋彦の内面が明らかになっていく…。


    無駄にイケメンの秋彦は、道にも人生にも迷ってばかりの方向音痴。
    内向的過ぎで、魚の目が怖くて見られないというヘタレ。
    余りの気弱過ぎ・駄目っぷりにイライラする程だった。
    真奈美は、島産まれで島しか知らず、今の生活から逃げ出したくて
    東京から移住し、一人で「まめごと」で生きてる言問子の事を、
    「おままごと」と、言い放ち秋彦とのロマンスを夢見、
    子供を利用してまで色々と策を巡らす。
    真奈美の言葉や行動の全てが腹立たしかった。嫌だったなぁ。
    それぞれが異なる方向に駄目な人達。
    駄目と駄目がクロスして思わぬ展開に…。

    島しか知らない人と移住者立場も環境も抱えた悩みも違ってる。
    しかし、それぞれが現状を何とかしたくて足掻いてる。
    重いテーマも含んでるけど、それらをとってもユーモラスに描いてる。
    イラッとしながらも、何度も吹き出してしまう。
    深刻なはずなのに笑ってしまう。
    だからこそ、所々に散りばめられたシリアスなシーンや深い言葉が、
    胸に突き刺さりジーンとさせられた。
    そのバランスが絶妙だった。

    何でも撮ってメルマガ発行するメルマガばばあのミネコさん面白い!
    そして、山本三兄弟もとっても素敵!
    瀬戸内ならではの島から島へも楽しかった。

    「おままごと」に「おまめごと」
    美しい自然と家族愛と人と人の絆
    読み終わった時は、爽やかで温かい気持ちになっていた。
    近年、移住者が増えてる小豆島で本当にありそうなお話。

    言問子の前日譚「ことこと電車」も読みました。
    これも、読んで良かったなー。

  • デビュー作のお父さんと伊藤さんで、いいなと思い楽しみにしていた二冊目の著書の舞台は小豆島!
    わたし小豆島大好きです。小豆島だけでなく瀬戸内海の島々、主に豊島がでてき、直島やら犬島、男木島も名前が出てきたりとその土地を旅したものからするとなんか嬉しくなる!
    さてさて。ムダにイケメンで物静かな秋彦は東京から訳ありで小豆島で暮らすことになった。メルマガミネコに週刊誌のごとく追われ笑、島の生活に不満を持つ真奈美と、結婚やら恋愛を諦めた言間子とのごたごたに巻き込まれながらも秋彦は過去を消化できずにいて、そこに東京からこれまた美少女と以外形容できないくらいの秋彦の娘の遥がやってきて大波乱。
    文字通り生死を彷徨いハッピーエンド。
    という普通な話だったけど、感情移入しやすいし、本物の悪い人がいないってのがいいよね、みんな憎めない。島特有のコミュニティーの描写とか。(でも小豆島って大きいからあんなに島の中の人外の人とかなさそうな気がしたんだけどな)
    そこそこに面白かったです。この著者はセンスがいい。じわじわくるような、そう、メルマガミネコのババアとかね笑。そのセンスに次回作にも期待します。

  • 東京から小豆島に逃げてきた男の物語。島民や隣人、娘を通して、主人公な過去が明らかになっていって、こじれていた娘との関係も徐々に修復されていく、島民にも変化が、という内容でした。

  • 軽い読み物かと思ったらそうではなかった。意外と重い感じの展開で一気に読み切りました。

  • 一つひとつ、ていねいに人間関係を積み上げていこう、と思いました。
    落ち着いてじっくり読みました。

  • 見かけたら忘れることのできないイケメンは、ちょっとひくほど頼りない。
    才色兼備にもほどがある小学生の彼の娘は、かかわる人たちのこころを意図せずつかんでしまう。
    瀬戸内の三兄弟は現代の村上水軍だ。
    なんて魅力的な設定!

    言問子は他人とはおもえなかった。
    アラフォー、何かから逃げてきた独身、簡素なひとり暮らし。
    好奇の目、かけられる言葉。あわれみ、いたわり、さげすみ。
    島へは観光で行ったきりだが、連帯感は伝わる。
    友好的なのは "通りすがりの" ヨソ者だから。
    ウチを守るのはニンゲンの本能。

    家族とは? 生活を営んでいくとは??
    フォーカスしすぎると重くなるが、イケメンが絡むたび可笑しく
    軽快なコメディとして愉しめた。
    最後の逃走劇はもはやコント。痛快\(^-^)/

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著者プロフィール

1969年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務の後、劇作家として活躍。2007年「ミチユキ→キサラギ」で第3回仙台劇のまち戯曲賞大賞、12年「春昼遊戯」で第4回泉鏡花記念金沢戯曲大賞優秀賞を受賞。13年に『お父さんと伊藤さん』で第8回小説現代長編新人賞を受賞し、小説家デビュー。著書に『おまめごとの島』『星球』がある。

「2017年 『PTAグランパ! 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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